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タリン旧市街の2025~35年の開発計画は地域住民増が基本的な方向
case | 事例
エストニアのタリン旧市街の2025年から2035年までの開発計画案の目標は、文化遺産を保護しながら、高品質な生活環境を創出し、起業活動が活発な文化生活を支えることとされている。計画は旧市街の価値と可能性を再考する機会だと市は捉えており、計画の中心にあるのは、旧市街を現代のニーズに合った魅力的な住宅地として発展させることになっている。これに基づき、主要街路での公共空間のアクセス改善や旧市街での幼稚園の設置計画が進行中である。タリンの15分都市の基本的な考え方に従い、日常生活に必要なサービスが住民の家の近くにあることを実現していく。
計画の優先事項は、旧市街を快適で活気のある生活環境としての魅力を高めることで、旧市街においてコミュニティを支援する生活環境を整え、都市全体の空間を活性化させることで、地域住民の数を増加させることが目標とされている。開発によっては、地域住民の日常生活を豊かにするだけでなく、訪問者にとっても旧市街をより多様で興味深い場所に変えていく。具体的な目標としては、ペーパーカンパニーの登記やビジネス・商業目的の事業所登録を減らし、実際の人口を増やすこと;旧市街内の文化、スポーツ、レクリエーション、教育機関の数を増やすこと;住民に生活環境やサービスのアクセスに満足していただくこと;住民の大多数が徒歩圏内で必要なサービスを利用できるようにすること;文化施設や文化製品を販売する小売空間、循環経済に基づくビジネス、創造的な活動のための空間の割合を増やすことなどが挙げられる。
計画は、ユネスコの世界遺産サイトの管理原則に準拠しており、公開協議が2月末まで続き、計画はユネスコの承認を受ける予定となっている。フィードバックをもとに必要な変更が加えられた後に、市が計画を採択し、次年度予算において開発計画の優先事項を反映させる。開発計画は、2025年2月28日までタリン都市計画部のウェブサイトで閲覧可能(エストニア語)。
https://www.tallinn.ee/en/news/tallinns-old-town-development-plan-2025-2035-opens-public-discussion
insight | 知見
福岡には「博多旧市街」と行政が名称を付けているエリアがありますが、博多旧市街の活性化はイベントを通じた観光的な振興が基本的な方向ですので、タリンの「住民を増やす」という方向性は参考になると思いました。
住民を増やすことが目標になることによって、観光イベントではなく、地域の生活サービスを良くして公共空間を豊かにすることが行政の施策になります。これは「暮らすように旅をする」ことが広がっている現代において、観光客にとっても魅力的な地域づくりになるのだと思います。