リバプールのイノベーション地区が都市の知識産業を活性化するビジョンを発表
case | 事例
リバプール都心のイノベーション地区であるナレッジクォーター・リバプール(Knowledge Quarter Liverpool, KQ Liverpool)は、知識産業を強化するための「Blueprint for Growth」という2040年に向けたビジョンと計画を公開した。計画では、今後15年間でリバプールに100万平方フィート(約9万平米)以上の新しいラボとワークスペースを創出し、人材スキル開発、コミュニティエンゲージメント、協力と共創、投資誘致に焦点を当てて、未来の成長に向けた包括的なイノベーションの機会を創出しようとしている。
KQ Liverpoolの2040年ビジョンは、地域の50以上の利害関係者との協議に基づいて作成され、3つの基本的な原則を定めている(1. 集積と協力、2. 増幅と魅力向上、3. 発明と革新)が、リバプールとその周辺地域は、健康、教育、貧困などの問題において深刻な不平等に悩まされており、これらに対処することがKQ Liverpoolの将来計画において重要な役割を果たすと認識されている。計画には、地域の若者の専門分野のキャリア機会について意識を高め、就業を促すためのプログラムの拡大や、スタートアップ企業の規模拡大の支援(ビジネス支援と資金調達環境の簡素化、イノベーション組織の立ち上げや転入支援等)、デベロッパーや投資家との協業によるイノベーション地区の開発、地区全体の交通や接続性の改善を図ることなどを予定している。高成長分野である健康とライフサイエンス、材料革新、AIとロボティクスなどを重点として、ビジネスの成長、雇用の創出、地域への投資を促進する。
KQ Liverpoolによると、2040年ビジョンは、同地区に住み働く人々の生活を改善し、地域住民、ビジネス、訪問者にとって魅力的な場所にすることを目的としており、地域コミュニティの新しいスキル向上を支援することで、KQ Liverpoolで行われているイノベーションを強化し、次世代の科学技術のパイオニアをリバプールに呼び込むことを目指しているとのこと。
insight | 知見
KQ2040のサイトにある計画本文がどうしてもダウンロードできないので、具体的な施策や取り組みの詳細は分からないのですが、イノベーション地区だからといってスタートアップ支援や共創だけを進めるのではなく、地区全体の人材育成への取り組みや、地区の開発、交通や生活環境の改善にも焦点を当てていることは、同種の地区を計画する上で参考になると思います。