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アクティブトラベルがアイルランドに変革的な影響を与える

case|事例

アイルランドの国家運輸局(NTA)は、アクティブトラベル(徒歩や自転車での移動)の促進がもたらす変革の可能性を探ることを目的に、徒歩・自転車の移動に関する包括的な調査を行った。今回の調査は、前回の調査から対象が拡大され、ダブリンに加えて、コーク、ゴールウェイ、リムリック・シャノン、ウォーターフォードの都市圏に拡大された。調査は、地方自治体と交通系NPOのSustransと協働で実施された。

調査結果は、アクティブトラベルが渋滞緩和や温室効果ガスの削減に効果をもたらすことに加えて、健康を改善したり経済的なメリットをもたらしたりという点を示しており、興味深い。調査結果の概要は下記の通り。

  • 自動車の削減:徒歩や自転車の取り組みによって、アイルランドの5大都市圏で1日68万台の自動車の削減が見込める。

  • アクティブトラベルへの関心:半数以上の成人が週に5日以上歩いており、その多くが自転車や徒歩での移動を増やしたいと考えている。

  • 経済的効果:徒歩や自転車での移動によって、5大都市圏に年間30億ユーロ(約4,840億円)もの経済効果をもたらすと試算される。

  • 健康改善の効果:アクティブトラベルの促進によって、年間5,844件の重大かつ長期の治療が必要となる疾病を予防することが可能で、医療費の大幅な節約につながる。

  • 環境的な効果:年間16万トンの温室効果ガスの削減が期待できる。

insight|知見

  • クロスセクショナルな効果を定量的に提示して政策決定をしていく記事を読むと毎回感動します。EBPMのようなコトバが流行っていますが、日本の交通計画やウォーカブル政策、公共交通政策でもっとクロスセクショナルな効果の定量的な評価が進むといいなと思います。より多面的な意義が見いだされる気がします。