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持続可能なモビリティへの転換のために
case | 事例
米コンサルファームのアーサー・D・リトルの調査レポート「The Future of Mobility 5.0」によると、技術の進歩にもかかわらず、自家用車から公共交通機関、徒歩、自転車、シェアモビリティなどの持続可能な移動手段へのシフトは、期待されたほどには実現していない。持続可能なモビリティ自体が「交通渋滞」にはまり込んでしまったのではないかと同レポートでは問いかけている。
未だに都市部では乗客輸送距離の約7割、地方では約9割が自家用車によるものである調査結果から、レポートでは交通手段の習慣を大幅に変える必要性が強調されている。その中で、25万人以上の都市では、約4割~7割程度の市民が、実現可能な代替手段があれば、少なくとも1台の車をあきらめることを検討すると回答していることから、適切なインフラとサービスがあれば、持続可能なモビリティへの移行は実現可能であることが示唆されている。この約4~7割の市民意欲の差は地域差にあり、中東や中国では7割、欧州6割、米国5割、日本は約4割となっている。レポートでは、持続可能なモビリティを倍増させるための有効なソリューションについて、交通部門の気候変動政策、コンパクトシティの推進、重層的な公共交通、新しいモビリティ、MaaS、無人運転、デマンドマネジメント、資金調達といった領域について概説している。
このようなレポートを尻目に、豪ブリスベンでは、公共交通機関をほぼ無料(乗車1回につき50セント)にするという素晴らしい試みが大成功を収めている。8月5日から9月5日までの間に1,500万回以上の公共交通機関の利用があり、利用回数は14.5%増加し、中でもフェリー利用への影響が最も大きく、利用回数は40%増加したと報道された。
insight | 知見
原文の記事のタイトル(Sustainable transport is stuck in traffic – but in Brisbane cheap public transport has been a huge success)からブリスベンの事例なのかなと読み進めましたが、ADLの調査レポートのポイント紹介でした。こういうタイトルの書き方もあるんだと勉強になりました笑。
ADLの調査レポートでは、地域別の市民の意欲差がとても興味深いです。記事には細かく紹介されていませんが、調査結果によると「代替交通手段があれば自家用車を手放す」意欲のある市民は、欧州、米国、日本とも2020年に比べて2023年に1~2割程度減っています(特に日本は大幅減)。それに対して中国は2020年より2023年のほうが意欲ある市民が増えています。
「代替交通手段があっても自家用車を手放なさない」と思う市民の割合は日本が最も多いのは国民性でしょうか。面白いですね。