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都心に匹敵するようになった都市のフリンジ地区

case | 事例

NZオークランドの都心CBD地区から車で20分ほど離れたセントラルパーク・オフィス地区は、2018年に投資会社が取得した6.2haの物件であるが、パンデミック後の2020年にロックダウンが解除されるやいなや、住宅地区からの近さ、人口密度の低さ、オフィス賃料のコストパフォーマンスの高さからテナントを惹きつけ、ニュージーランの交通庁、国営鉄道会社であるキウイ鉄道などのオフィスのほか、化粧品ブランドからレストランブランドまで多様な商業テナントも入居するようになった。この立地は将来の成長可能性が高く評価されている。

セントラルパークは、オークランドのCBDからのアクセスがいいだけでなく、主要な鉄道路線や南部高速道路の主要交差点に近く、公共交通機関と道路網が整っている他、十分な駐車場が確保されていることが魅力的な要素となっている。地区は社会ニーズの変化に合わせて、オフィスビルの新設、未利用の駐車場のフード&ビバレッジプレシンクトへの転換、共用ゾーンの強化、歩行者アクセスの改善など、大規模なアップグレードを実施してきた。特に、フード&ビバレッジプレシンクト「The Green」は、テナントとその従業員にとって大きな付加価値となっている。また、ホテルや住宅開発のための土地の分譲や、オークランド鉄道運行センターのオフィスビルの建設など、追加価値を創出するための開発も進んでいる。将来的な住宅分譲は、複合用途地区の価値提案の一部であることを投資会社は考えている。

都市周辺部(フリンジ)の商業スペースの需要増加は、都市中心部に依存しない新しいオフィスライフの形を提示しているのだ。

insight | 知見

  • 都心や副都心以外のオフィス集積地区の開発で、うまくいっている事例をこれまであまり見たことがありませんが、パンデミック以降はこのような地区が増える方向にあるのだと思います。

  • 成功のポイントになるのは、住宅地区への近さや公共交通の利便性もさることながら、魅力的な商業の集積が重要になりそうですね。