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ヘルシンキが観光地の持続可能性評価で世界トップ

case|事例

Global Destination Sustainability Index(GDS Index:観光地の持続可能性に関するグローバル指標)の2024年のレポートが公開され、ヘルシンキが1位に輝いた。トップ5はスカンジナビアの都市で占められており、2位から5位にはそれぞれヨーテボリ、コペンハーゲン、ベルゲン、オーフスがランクインした。アジア太平洋地域の都市の台頭も著しく、シンガポールやシドニーをはじめいくつかの都市が上位40位にランクインした。

GDS Indexは、デスティネーションマネジメント、サプライヤーのパフォーマンス、環境のパフォーマンス、社会のパフォーマンスの4分野、計70指標で持続可能性が評価される。また2024年度から新たに観光地の再生、循環経済の実践、気候変動への対策などの指標が追加されている。

ヘルシンキは昨年も4位で過去から高評価を得ており、環境面で特に優れている。今年は社会パフォーマンスがヨーテボリに次いで2位であったが、それ以外の3分野では1位の評価を得ている。ヘルシンキは、近年、社会的な持続可能性を高めるための投資を強化しており、持続可能性を高めたい地元企業の支援や観光地開発のためのリソース強化などを行っている。

レポートでは今年度の評価を下記のように締めくくっている。

  • レポートの刊行を始めて以来、9年間で観光の持続可能性のパフォーマンスは全体で23%上昇し、TOP10に限ると44%上昇している。一方で、TOP10以外の都市と総合平均の差も28.8%から23.3%へと縮小しており、持続可能性は着実に改善している。

  • 持続可能性を高めるためには、社会的な責任が重要になってきている。地域コミュニティへの参加を促し、地元の経済を支援しているような都市は概してスコアが高い傾向にある。

また、今後、観光の持続可能性を高めるためには、気候変動対策の準備を急ぐこと、ホテル、会場、空港などの第三者認証への対応をすること、オーバーツーリズム対策を行うこと、グリーンハッシングを減らし情報を適切に公開すること、データに基づいて意思決定を行うこと、などが課題となると指摘している。

insight|知見

  • 残念ながら上位40位に日本の都市はランクインしていないようですが、熊本市が最も改善した都市として評価されています。サプライヤーでの循環経済の実践や多様性・社会的公平性・社会包摂などの分野の研修などが評価されているようです。

  • 確かに日本の都市はオーバーツーリズム対策も後手にまわっており、持続可能性を高めるための取り組みが十分ではない気もします。ヘルシンキがどのように社会的な持続可能性を高めるための投資を行っているのかなどきちんと調べてみたいですね。