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2030年までにメタバースが世界700都市で実装されると予測

case|事例

現在のところ、メタバースの実装事例は少ないが、2030年までにデジタルツインの拡張を中心に何らかの形で導入が進み、導入都市数は700都市に及ぶだろうと、ABIリサーチ社は最新のレポートで予測している。

ABIリサーチの副社長は、メタバースについては過剰な誇張や概念のあいまいさがあるが、都市の分野では価値を生み出すユースケースやアプリが生み出されつつあるとして、期待を寄せている。特に都市分野では、電子政府における市民のシームレスな体験の提供やバーチャルツーリズム、スマートインフラの設計などでメタバースの強みが発揮されると話す。自治体にとっては、メタバースの導入によって市民の関与や参加が強化されることや、効率的効果的なインフラの設計、運営、メンテナンスによってコスト削減が進むことが期待できるという。

また、ネットゼロやサーキュラーエコノミーについても、デジタルツインとAR、VRを組み合わせることでメタバースの導入メリットが発揮されると見込む。特に、グリーンインフラの炭素貯蔵能力の評価や炭素排出量の追跡、炭素クレジットの管理などにおいて、高度なモデリングやシミュレーション、分析が可能になると推察されている。

世界的にまだ都市での実装事例はさほど多くないが、独自のメタバースを持つソウル(韓国)やメタバースビジョン2040を策定したタンペレ(フィンランド)、新しいエネルギー供給網の整備を新たな都市開発で進めているローマ(イタリア)、Unityやディズニー、EAというった企業のお膝元でメタバースの開発拠点としての地位を築こうとしているオーランド(アメリカ)などが先進的な事例と言える。FacebookがMetaへ社名を変更してメタバースへの熱狂が高まったが、すでにメタバースへの投資の熱意は衰え始めているという指摘やメタバースの重要性が過剰評価されているというような指摘もあるが、都市サービスを改善するツールとしてのメタバースは依然として注目されている。

insight|知見

  • 国土交通省がPLATEAUで3D都市モデルの構築を進めていますが、USECASEを見るとまだどういう分野への技術適用が可能かということを探っている段階で、オープンデータの性格の方が強そうです。

  • 記事にあるようにデジタルツイン環境の構築は、バーチャルツーリズムのうような仮想体験とリアル体験を結ぶような付加価値をもたらしそうですが、何よりも精緻な都市環境のシミュレーションを可能にすることが大きなメリットになるように思います。箱崎などの大規模な開発でスマートシティの導入を見据えている場所で実装されることを期待しています。