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公園の運営と維持管理に必要な継続的かつ追加的な資金調達

case | 事例

(米ロサンゼルス郡の持続可能オフィスのシニアアナリストであり公園プランナーLau氏の論考)
公園は、我々のコミュニティにおける生活の質を維持・向上に重要な役割を果たしている。公園は、レクリエーションの機会を提供し、心身の健康を改善し、持続可能性を推進し、社会の結束を育む。公園は地域経済の活性化にも貢献している。 適切に管理された公園は、周辺の不動産価値を高め、観光客を誘致し、地元のビジネスを活性化させることができる、また、無料または低料金でレクリエーションや社会とのつながりの機会を提供することから、地域社会において公平性の実現に向けた取り組みの中心的な役割も果たしている。こうした重要な利点があるにもかかわらず、公園は、その継続的な運営と維持管理のための資金調達いおいて、しばしば重大な課題に直面する。新しい公園の開発には助成金や資金調達プログラムが利用可能だが、日常的な維持管理や長期的なケアに対する持続的な支援は著しく不足している。公園が安全で、誰もが利用でき、有益な場所であり続けるためには、運営と維持管理のために継続的かつ追加的な資金が割り当てられることが不可欠である

公園の維持管理にかかる継続的な費用を優先し、そのための資源を割り当てる資金源はほとんどない。連邦政府、州政府、地方自治体、民間財団からの助成金は、新しい公園の建設に重点が置かれることが多く、緑地スペースの設置は一度限りのプロジェクトとみなされている傾向にある。造園、ゴミの除去、修理、スタッフの配置などの日常的なメンテナンスには、自治体の予算を圧迫する可能性があるが、十分な資金がなければ、公園は荒廃し、安全性が損なわれ、利用しにくい場所になり、市民に利用されなくなってしまう。継続的な資金調達ができないと、公園開発への初期投資が無駄になるだけでなく、地域社会にとって重要な環境資源が失われてしまうことにつながる。

公園の運営と維持管理のための資金不足に対処するために、地方自治体はさまざまなアプローチを検討している。自治体予算からのアプローチでは、周辺開発に関連する影響費用の徴収、特定の税措置などの仕組みに賛同が得られる地域がみられる。また、民間企業、地域社会ベースの組織、非営利財団とのパートナーシップにより、官民で公園の維持管理の責任を分担するアプローチがある。その他、地域のボランティアのアプローチで、地元住民が、金銭的な支援や実際の作業を通じて、自分たちが利用する公園の維持管理に貢献するケースもある。しかし、いずれのアプローチにせよ、予算の手当や政策枠組みの考え方において、公園を重要なインフラとして優先し、必要なリソースを長期的に確保するためには、政治的な意志が不可欠である。指導者が公園の多面的価値を明確に説明することで初めて、必要な資金を確保するための幅広い取り組みを活性化させることができる。

insight | 知見

  • 記事にあるような公園のメンテナンスの財政負担に悩む行政と、造園や緑化、建設、遊具設置などの公園関連業界、公園という場に事業機会を見出す商業・飲食業界などの利害関係が一致して、Park-PFIは全国で大いに進められています。

  • 今年いくつかのPark-PFIの計画を首長が発表する映像を見ましたが、賑わいづくりと、施設のデザインに発表の重きがあることに違和感を感じました。記事にあるように、リーダーは公園の多面的な機能とそれを維持していくことの重要性を訴え、その手法としてのPark-PFIであることを示すのがより良いのだと思います。公園が、新たな施設やにぎわいという尺度で評価されるのではなく、地域社会で果たす様々な機能によって評価されることが、行政にとっても関わる業界にとってもプラスになるのではないでしょうか。