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乗客のために必要な公共交通機関とデジタルプラットフォームの統合

case | 事例

英マンチェスター大学の専門家グループは、イングランドの大都市圏の乗客輸送当局は、より良いサービスを乗客に提供するためには、シェアリングサービスを含めて都市圏の公共交通システムを戦略的・一元的にコントロールすべきだと主張している。Policy@Manchester(調査に基づいて政策立案者に問題提起することで世界中の生活を改善することを目的としているマンチェスター大学の機関)で掲載された記事において、専門家らは過去15年間に、Uberのような配車サービス、Berylのような自転車シェアリング、Limeのような電動スクーターレンタル、Citymapperのような移動計画アプリなどのデジタルモビリティプラットフォームが都市社会で一般的になった経緯を概説している。

その経緯を踏まえて、「これらは、既存の公共交通機関の組織を『破壊』し、競争を生み出すものとして捉えられることが多いが、これらのプラットフォームは、公共当局によって既存のシステムに戦略的に組み込むことによって公共政策の優先事項に対処することができる。特に自家用車利用からのシフトを加速させることで、持続可能性の課題にも取り組める。」と主張しており、英国運輸省(DfT)のような機関が明確な立場を打ち出す必要があると提案している。戦略の構築にあたっては、プラットフォームと既存の交通システムをどのように組織化すべきか、また、どの交通サービス、インフラ、データソースを公的管理下に置くべきかを決定する必要があり、そのためには、統合当局や交通当局、中央官庁との間で、困難かつ継続的な対話を支援する枠組みが必要であるとしている。

研究者らは、政策立案者が既存の都市公共交通システムに関連して複数のプラットフォームをどのように組織すべきかを検討する際に役立つ枠組みである「都市デジタルスタック」を開発した。このツールは、複数のプラットフォームが既存の都市の意思決定者や公共交通システムによってどのように形成されるかなどを踏まえて、既存のインフラとデジタル形式のインフラの管理にどのような社会的、政治的課題が生じるか、また、データの組織化と所有権にどのような影響があるかを検討し、戦略や計画を策定することを支援するものである。

https://www.manchesterworld.uk/community/digital-platforms-and-public-transport-must-be-integrated-for-passengers-to-get-around-4882339

insight | 知見

  • 公共インフラとして整備されてきた幹線的な公共交通システムと、近年急速に浸透してきた枝葉・末端の移動を支えるシェアリングモビリティシステムは、乗客の利便性や公共政策達成のためにより効率化・一元化されるすべきですよね?という専門家の問いかけだと思います。難しい問いかけで簡単な解はないのですが、検討の枠組み(都市デジタルストック)が示されています。

  • リンク先にあるの動画で都市デジタルストックが紹介されていますが、公共交通政策が目指す目的・解決すべき課題を明らかにすることから始まる6つのステップが提示されています。

  • 参考になる枠組みだと思いますが、「検討しよう」というところにたどりつくまではどうしたらいいのか、考えてしまいます。