NYC各地区の樹冠のファクトシートを自然保護団体が公開
case | 事例
世界的な自然保護団体のザ・ネイチャー・コンサーバンシーは、NYC内地区別の樹冠(木の枝や葉で覆われた土地面積)に関するファクトシートを発行・公開した。ファクトシートでは、各地区各コミュニティ区の樹冠に関するデータが記載されている他、市全体との比較、その地域の樹冠を公平に拡大するための施策などの情報が記載されており、市民やコミュニティが行動を起こすためのツールとして提供されている。
気候変動により、極端な暑さの発生頻度と深刻さは増しており、暑さは米国の気象関連の死因の第1位となっている。NYCは米国各都市同様、ヒートアイランド現象により猛暑に対して特に脆弱であるだけでなく、人種差別の慣行によって、低所得者層や黒人市民がより猛暑の危険にさらされる一因となっている。
NYC都市森林アジェンダでは、NYCの樹冠被覆率を2017年の22%から2035年までに30%まで公平に増加させることを求めているが、公開されたファクトシートでは、NYC各地区での樹冠を増やすポテンシャルについて個々の地区に焦点を当てることで、地域レベルでの機会と課題をより細かく理解することができる。「都市の森林計画において、地域社会の要望、ニーズ、懸念を踏まえて継続的な投資を進めることによって、樹木とその樹冠は、繁栄するコミュニティを促進し、公衆衛生を守り、さらには地域の雇用機会にも貢献することができる」と、プロジェクトの責任者は語る。
insight | 知見
ファクトシートでは最新の実績データが2017年のもので、2010年比の数値と2035年に向けたポテンシャルが記されています。若干古いデータだったので、樹冠被覆を計測するのは航空写真や衛星のリモートセンシングで簡単にアップデートできるのではないかと疑問に思ったのですが、調べてみると意外と手間暇がかかると知りました。
公園内や街路樹など自治体が植樹・管理している樹木については、恐らく自治体は緑化面積などの算定のためにどこにどのような種類の樹木があって、どれくらいの樹高なのかを把握していると思うのですが、そのようなデータを見た記憶がありません。オープンデータ化すれば環境団体や市民がNYCのような議論の根拠にしていくきっかけになるのではないでしょうか。