『切に願うことは、必ず遂ぐるなり。』社長ヒストリー連載 第4回
こんにちは。芝園開発株式会社と申します。
駐輪場・駐車場の運営や自治体コンサルティングをしている会社です。
今年で創立36年目を迎え、代表取締役の交代や新ブランド「LIXTA」の創設といったビッグイベントもあり、社内はてんやわんやしつつも、前へ前へと進んでいます。
「これから」に向かいつつ、わたしたちの「これまで」にも目を向けよう。
創業からこれまでの歴史を知らない社員と芝園開発のルーツを共有しよう。
そんな目的をもって社内報で連載が始まったのが「社長ヒストリー」です。
noteには、その内容を一部加筆・修正しつつ、月に2本ずつお届けしていこうとおもいます。
この記事の続きです
「信用」という高い壁
今やサイクルコインパーキングでは当たり前となっている「短時間無料サービス」。このサービスはとある商業施設のお客様駐輪場から始まりました。当社が初めて大手企業とお仕事をさせていただいた思い出深い駐輪場です。当時の記憶を紐解いてみましょう。
1998年に誕生した機械式時間貸駐輪場「サイクルコインパーキング」を普及させようと努力をしていた頃の話です。とある大手企業が運営している商業施設の付置義務駐輪場(お客様駐輪場)に悩みを抱えていることを耳にしました。その問題とは『駐輪場に不正利用者の自転車があふれていて、買い物客が駐輪場を使えず困っている』というものでした。
※当社受託前の駐輪場の様子。まるで自転車の墓場状態だった。
私は「サイクルコインパーキング」を活用してもらうチャンスと思い、解決策として2つの提案を持ち込みました。
ひとつは、“お客様駐輪場を有料化したうえで、最初の90分を無料にする”。もうひとつは、“買い物利用のお客様が100%無料で駐輪できるよう駐輪時間と料金のバランスを調整する”というものでした。
しかし、これまで取引実績のない中小企業の言うことですから信頼が足りず、ドアを閉められてしまいました。
営業活動は完全に頓挫。そんな時期でした。
私は青年会議所時代の先輩から「奉仕団体の会長に就任するのだが、海老沼君、幹事役を頼まれてくれないか」とお声かけいただきました。お世話になっている先輩の頼みですから、私も引き受けることにしました。
多忙な日々に時間を割いての幹事職は、当然のように仕事にも影響しましたが、「引き受けたからには」と精一杯誠実に仕えました。
私の働きに先輩は「助かったよ」と喜んでくださり、「お礼にお前の仕事を手伝ってやる」と、なんと夢破れたあの大手企業へ働きかけをしてくださるというのです。まさに救世主の登場です。
件の商業施設は多くのテナントにより運営されています。後から知ったことですが、私が仕えた先輩は長い間その「テナント会」の会長をしていた時期があり、大手企業との信頼関係と広い人脈を持っていたのです。
先輩は企業役員の方々に大局から見た「サイクルコインパーキング」導入の価値をお話ししてくださいました。一度は閉じたドアが再び開かれた瞬間でした。
「三方よし」の施設が生まれる
再び得た商談の機会です。
はじめのうち、大手企業の担当者は「うちの商業施設の駐輪場なのだから、お客様だけに使ってほしい。だから、買い物をしてくれた人に2時間無料のサービス券を発行しよう」という考えをお持ちでした。商業施設の運営者としては当然です。
しかし、それでは行き場を失くした自転車が街中にあふれてしまうと思った私は「視点を変えましょう」と申し出ました。
「社会的企業としての視点に立ってみませんか。駐輪場を地域の人々に対して解放するんです」
そして再度、最初の90分は無料で、その後に課金をする駐輪場を提案しました。「地域の人がこちらの駐輪場に駐めてくれる習慣をつくれば、『ついで買い』の需要も生まれるはずです」
この説得が功を奏したのか、2000年(平成12年)5月に念願の機械式時間貸駐輪場が開設されました。この駐輪場は、買物に来られたお客様は必ず駐められて、かつ、利益も生み出してくれるという、お客様・大手企業・施設運営者であるわたしたちにとってまさに「三方良し」の施設になったのです。
当社にとっては、この駐輪場での成功が大きな実績となり、これを皮切りに大手企業とのお付き合いがどんどん広がっていきました。
機械式時間貸駐輪場「サイクルコインパーキング」は、名実ともに買い物自転車に優しく、放置自転車削減に寄与できる仕組みとして、同業他社も含めて全国に広がっていきました。
私はとても幸運な男ですが、人に尽くすことは自分にも還ってくることを身をもって実感したときでもありました。
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出典:社内報『きゃぷちゃー』21号_2021年2月号
writting:芝園開発㈱ 管理部 広報デザイングループ
芝園開発のホームページ
https://www.sibazono.co.jp/