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見えない場所から住まうを支える。人に地球にやさしい断熱パネル誕生への想い【フィアスホーム開発担当者インタビュー1】

みなさん、こんにちは。LIXIL住宅研究所note編集部です。
今回は、フィアスホームの家づくりを担当している開発担当者にフィアスホームの最大の特長の一つである高気密・高断熱を実現するオリジナル高性能パネル『e-panel』についてインタビューしました。開発の背景やその特長など面白いお話が聞けましたのでその内容を紹介します。

答えてくれた人
オリジナル高性能パネル「e-panel」開発担当者

断熱性が軽視されていた過去

Q.『e-panel』開発の背景を教えてください。
日本は地震が多い国です。なので建物の耐震化は関心が高く、住宅性能としてあたり前の品質として普及してきました。一方、断熱性は軽視されており、世界各国と比較しても遅れているといえます。

2000年に住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)が施行され、住宅の性能に関する表示を共通のルールで評価する住宅性能表示制度ができ、住宅の断熱性や耐久性など耐震性以外の性能についても質を求められる時代へと変化してきました。

お客様ファーストの施工性を目指して

Q.なぜパネル工法だったのでしょうか
当社は、FC(フランチャイズチェーン)本部として地域ビルダーの加盟店とともに住まいづくりに取り組んできました。

地域の加盟店とともに高性能住宅を普及させるためには、あつかいに慣れていて、より施工性を高められる在来工法(伝統的な木造軸組み工法)をベースにした方がよいと考えました。

この在来工法をベースに、より耐震性を高めるために筋交いではなく構造用合板を使用したパネル工法を選択し、さらにこの構造用集成材と金物工法で構成するハイブリットな木造軸組み工法を採用しました。

一方、断熱性を確保するためには断熱材を選定する必要があります。多くの断絶材からコストはもちろん、現場の施工性・施工品質のばらつきを抑え、素材の性能値を施工後も損ないにくいなど、さまざまな条件を考慮し、フィアスホームとしては樹脂系の断熱材を採用しました。その結果、当社オリジナルの断熱パネル「e-panel」へとつながりました。

Q.現場施工性とは具体的にどのような点でしょうか
「e-panel」は協力工場で構造用合板と断熱材を一体化した構造用集成材(柱・梁)を製作して建築現場に納品します。工場では柱、間柱に密接するようにパネルを生産するため、建築する住宅ごとにハンドメイドで生産しています。

一方、現場では工場でプレカットされた構造用集成材を金物工法で強固に接合することで、躯体(建築する住宅の構造体)の施工精度を高めることができます。工場で製造されるため、躯体とパネルがぴったりと隙間なく施工することが可能になるとともに、建物の耐震性を十分に確保することができます。

グラスウールなどのやわらかい断熱材を現場で施工するのと違い、既に成型された断熱材を充填するため、バラツキが生じにくいのが特長です。正しい位置に正しくパネルを設置するだけのため、施工する職人の熟練度を必要としません。

また、工場で事前に施工するので現場で発生するゴミを極力減らすことができます。ゴミ削減は環境にやさしいだけではなく、整理された現場になるため、工事のしやすさ、安全な現場確保にもつながります。

性能も意匠性も諦めてほしくない

Q.その他に特長はありますか
高気密・高断熱住宅を重視するお客様からは、断熱性能の高さを確保するために窓などの開口部が小さくしなければならないことや、冷暖房の効きが悪くなるので大きな吹き抜けが作りにくいといった間取りや意匠性に制限があることなどのご意見が多くありました。

確かに以前の高気密・高断熱住宅ではそのようなことが常識だったと思います。フィアスホームの「e-panel」ではそうした負のイメージを払しょくするため、開口部の断熱性が劣らないように窓にはガラスが3枚のトリプルガラスを採用したり、光や熱、風などの自然エネルギーを有効活用するパッシブ設計を採用するなどの創意工夫を行っています。
これで開放的で間取りも自由にできる高気密・高断熱住宅を実現しました。

シミュレーションで納得の家づくりを

Q.省エネや快適性などの性能は目に見えないものだと思いますが、どう違いが分かるのでしょうか?
省エネや快適性などの性能を目で見ることはできません。快適性や省エネなどの性能は、実際に体感したり、かかった電気代を見ないとわかりません。ましてや自由設計の家では、Aさんのお宅はそうだけど、私の家は?と同じように比べることができません。

当社が家づくりで重要視しているのは快適性を少ないエネルギー消費で実現することです。たくさんのエアコンを設置することは省エネ面から望まれませんし、寒さ・暑さを我慢する住まいというのも大きな金額を投資することに見合わないと思います。

フィアスホームでは、お客様の要望と快適性や省エネ性を両立できるように『快適室温シミュレーション』という形で事前の見える化を進めています。

お客様の建築エリアを想定し、外気温の影響が大きい真冬と真夏を例に設計段階でシミュレーションを実施し、確認いただきます。同時に年間光熱費も確認いただきますので、快適性にかかる経済的な負担が低いことも事前に数字で確認することができるようにしています。

快適性という主観的で目に見えないことなので、事前に確認せずに建築を進めてしまう方も多いようですが、数十年と住まい続けていくためにとても重要な性能ですので、見える化し、お客様に納得いただけるように努めています。

より良い家づくりへ

Q.今後どのような商品やサービスを考えていますか
日本の住宅の断熱性はまだまだ世界に比べて遅れています。熱中症やヒートショックなどの健康被害と住宅の断熱性は少なからず関連性があると言われていますし、最近では光熱費の高騰も問題になっています。

私たちは、人にも地球にもお財布にもやさしい家づくりを目指し、フィアスホームのオリジナル高性能パネル「e-panel」を多くの方に届けられるよう、さらに極めていきたいと考えています。