なんちゃってキャンピングカー(バン)でメキシコへ⑥子犬ちゃんレスキュー物語
クリスマス直前のある朝、仲間の一人が2匹のパピーを見つけてきました。段ボールに入れられて共有トイレに置き去りにされていたそうです。
生まれたてのパピーではなく生後2か月くらいになっていたので多分授乳が終わるまで手元で育てて、でも自分たちでは面倒みれないから北米人がたくさんいるキャンプ場で拾ってもらおうとしたのではないかと思います。
パピーたちを見つけてきた友達はあと数日でアメリカに戻ってしまう。しかもアパート暮らしなので飼うのは絶対に無理。キャンプに来ている人たちの中で飼ってもらえそうな人を探そうともしましたが、最初は可愛いー!飼いたーい!と引き受けて、でもキャンプが終わったらそのまま置いて行ってしまう可能性の高そうな人ばかりでした。
アメリカに連れて帰ってシェルターから里親を探してもらおう、という結論に達するまでに時間はかかりませんでした。
そんなわけで、くまとスクラフィという2匹のわんこたちと始まった私たちのキャンプは突然4匹のわんことの生活になりました。キャンプはワンコだらけ!パピーたちごはんももりもり食べて元気いっぱいです。
くまとスクラフィはパピーたちをすんなりと群れの一部として受け入れてくれました。でもくまはパピーが苦手なのでいつも遠巻きにして様子をうかがうだけでなかなか近づこうとはしません。
スクラフィはパピーに慣れているのでクールに見守っていました。うちに来た時は2か月のパピーだったくまにいろいろ教えて教育したのはスクラフィ兄ちゃんでした。
アメリカへの入国準備
私たちの帰国の日も近づいてきたので、獣医さんへ行ってワクチンやアメリカ入国に必要な書類の準備をすることになりました。
キャンプから1時間ほどで行ける大きな街ラパツ(La Paz)に英語を話す獣医さんがいるとキャンプに来ている人から教えてもらいました。早速、パピーたちを連れて行ってきました。
とても良い獣医さんでワクチンの接種やアメリカ入国への必要な書類も1日ですんなりと全部整いました。この後に私たちは再びメキシコに来ることになるのですが、パピーたちのためにこの獣医さんに来ていたおかげで命拾いをすることになるとはこの時は夢にも思っていませんでした。
私はこれをパピーの恩返しと信じています。
アメリカへ帰る日がやってきました。運転中は安全のためケージに入れられたパピーたち、騒ぐこともなくすぐに寝てくれてワンコ4匹との長距離ドライブはとてもスムーズ。もちろんくまとスクラフィもいつものようにバンに乗ったら爆睡でした。
来るときはゆっくりと5泊6日かけてきた道のりでしたが、帰りはパピーたちが一緒なので超特急。2泊だけでアメリカ国境までたどり着きました。パピーたちが無事にアメリカへ入国できるのかとにかく心配で一刻も早く国境を越えたかったのです。
国境大渋滞をぬけてようやく私たちの番がやってきました。ドキドキしながら入国審査のオフィサーにワンコが4匹いるんだけどと報告すると、あっそうといってワクチンの証明書も見ずにあっさりパス。思いっきり拍子抜けしました。
アメリカ入国が予定よりも大幅に遅れたのでその日はサンディエゴに一泊。パピーたち、記念すべきアメリカ初のトイレ休憩とホテル滞在はサンディエゴになりました。
よいホテルが見つかり生まれて初めて人間のベットで寝ることになったパピーたち。ここはどこなの?と興味深々でした。興奮してなかなか寝ようとしないパピーたちとは対照的にホテル慣れしているくまとスクラフィはあっという間に夢の中。ワンコ4匹ですんなり泊まらせてくれたホテルに感謝です。
北カリフォルニアにあるバークレー(Berkeley)の自宅に戻り、その足でスクラフィをアダプトしたサンフランシスコのシェルターへ向かいました。
ところがサンフランシスコのシェルター(SFSPCA) は驚きの塩対応でパピーを引き受けることはできないし何もしてあげることはできないからお引き取りください、の一点張り。何とかしてあげようという気持ちがみじんも感じられない門前払いを受けました。
その時私たちのやりとりをみていたシェルターのお客さんが、すぐ近くアニマルシェルターがあるので行ってみたらいいよと教えてくれました。ファミリードッグレスキュー(Family Dog Rescue )というワンコ専門にレスキュー活動をしている小さなシェルターでした。
このシェルターちょうどその日はサンフランシスコのカストロ地区でアダプションフェア(里親探しのためのイベント)をやっていました。フェアに行って責任者の方に面会するとその女性は二つ返事でパピーたちを引き受けてくれたのです。このシェルターの創始者の方でした。
私も南米からワンコたちを連れて帰ってきたことがあるのよ。この子たちをレスキューしてくれてどうもありがとう、
と反対にお礼を言われました。
こうして無事にパピーたちはシェルターに保護され、その後それぞれ別の家族に引き取られていきました。
ぶちのある子はゲイカップルに引き取られ、カストロで最も甘やかされているパピーといわれるほどかわいがってもらえているそうです。
そしてベージュの子は発達障害を持つお嬢さんのいるおうちで、彼女がゆいいつ心を通わすことができる姉妹として生活しているとのこと。成長したパピーとお嬢さんがぴったり寄り添っている写真を見せてもらいました。
次はくまの4回目のメキシコ旅行記の始まりです。
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