1人遊園地、それは涅槃へと続く道 『浅草花やしき編』
世の中には、1人〇〇というものがある。1人カラオケに1人焼肉。1人旅行に1人水族館。まぁ、なんでもありますよね。意味合い的には本来2人以上で遊びに行く場所に1人でいくことの意味だと思います。出生や絶命の時は大抵1人なのに、人は1人で生きてはいけないのね……。
で、その中で1番難易度が高いと思われるのが、個人的には遊園地です。想像してみてください。元気にはしゃぐ子供達と、紙のマップを見て「次どこ行こっか」と話す恋人たち。その中に無表情で混ざる24歳成人男性。楽しい光景の中に一つだけ混じる明確な異質物。
だけど、行く前はそんなこと考えついてなかった。遊園地なんて大学2年の時に富士急ハイランド行ったぐらいでそれ以降一度も行ったことない。で、急に絶叫マシンに乗りたくなって行ってみるかと思い、友達を誘ったものの全員に振られた。お前ら本当は予定なんか無いだろと言いたくなるぐらい誰も来ませんでした。
で、本日行ったのが浅草花やしき。理由は単純に久々な浅草行きたかったからです。ちなみに、写真は撮ってません。1人遊園地で写真とか虚しい以外の何ものでもない気がしたので。
で、受付のお姉さんに「大人1名でっ!」と妙に勢いよく発音して場内へ。普段職場の人としか話していない弊害と遊園地の中に入るという妙なテンションが効きました。
で、入った瞬間、早速後悔が頭を過ります。子供を連れた親たちが大半。1度、池袋のちいかわ展に行った時、周りにカップルと女性二人組しかいなかった記憶があるのですが、その時とはまた違う孤独感。まぁ、どちらも僕が異質物というのは一緒だったのですが。
ただそれも当たり前で、まず、設備の大体が大人向けではなく、子供を連れた大人向けなんですよ。メリーゴーランドや白鳥の乗り物など、目に見える全てが小学生向けというか。
で、周りのほとんどが子どもとカップルぐらいしかいないと察した時、初めは気まずさで気持ちが萎んでいましたが、僕は覚悟を決めて心を無にすることを決めました。来てしまったものは仕方がない、ならば、せめて料金の元は取ろうと。そのためにも人の目を気にしない。
その為にも涅槃になることが大事だと感じまして。涅槃とはサンスクリット語でニルヴァーナ。全ての煩悩が亡くなった安らぎ、悟りの局地の事ですね。それを身につける為の修行だと、この虚無を乗り越えた先にあるもの、それが涅槃なのだと思いました。
つーわけで、まず劇場で5人組の男女が踊ってたのでそれを眺めることに。たくさんの子どもや親子連れが一緒にお兄さん方と踊ったりしてる中、僕は踊ってた白髪のお姉さんが可愛くてぼーっと見とれていました。子供達やその保護者の中に一人だけドルオタ紛れ込んでる、みたいな気味悪さがあった気がする。
で、その次に行ったのがかシラサギ。
空飛ぶ自転車みたいなのでペダルを漕ぐと上下に乗り物が動くという、アトラクション。遠心力で身体が傾くのでちょっとスリリングだったものの、大の大人が怖がるほどでは無い。市街地に遊園地があるので、高いところから見えるビル群が現実を感じさせました。
お次はカーニバル。高速でぐるぐる回るアトラクションですね。これも遠心力で身体が傾くので怖いと言えばまぁ、怖くもありますが、全然耐えられます。正直、このふたつまではそんなに激しくないので何も感じない、まさに無、涅槃への道に近づけた気がしました。多分動画のくまの人形と同じ顔してたと思います
そして、個人的に本日のメインだったローラーコースター。どこにでもあるジェットコースターなんですが、かなりのスピードと上下運動が合ってなかなかのスリリング。前の方の悲鳴を聴きながらじっと安全バーと恐怖を握りしめてた。終わった後、ちょっと放心状態になってましたね。ちなみに、声は出ませんでした。叫び出すほど弱くないから、ただ恐怖を噛み締めていた。
ディスク・オー。乗って真っ先に出た感想が「ごめんなさい」でした。調子こいて絶叫マシン乗って「ごめんなさい」。こんなん余裕だろと舐めてかかって「ごめんなさい」。回転が増していくに比例して早く終わってくれ解放してくれと泣きそうになぎながら安全レバーを強く握りしめて手汗を感じて、ここで器具がぶっ壊れたら、鳥になれるのかななんて思って、でも回転は止まってくれないんですよ。イジメ?
知ってますか? 人が本当に恐怖を覚えてる時、綺麗な悲鳴なんて出たりしないんです。不審者に襲われた人が大声なんて出せないように、絶叫マシン乗ったところで口から声なんて出ず、心の内で「ごめんなさい」って泣き言を漏らすだけ。
しかも、タチが悪いのは一人で乗ってるから、乗った事実を誰かのせいにすることも出来ないんですよね。あなたがした選択でしょ?って悪魔が微笑んでやがる。その声がひたすら脳内にリフレインして、就職先にスーパーを選んだことぐらい後悔した。
で、回転がようやく終わってきて、感情が抜け落ちた顔をしながら出口を向かいました。老けた、という言葉が相応しかったきがします。そもそも、身体を拘束されて、空中を遠心力でぶんぶん振り回されるって普通に考えたら拷問だろ。
まとめ
1人遊園地、でした。フリーパスがあることを知らなくて、乗ったのは4つのアトラクションだけだったんですけど、メインが子供向けなのが多かったので、こんなもんかなと言う感じはしました。さすがにメリーゴーランドとか乗っても楽しくない自覚はありましたしね。
個人的に1人遊園地は人の目を気にしなければ、全然楽しめるんじゃないでしょうかと思います。ただ、行くなら富士急ハイランドとかの方が絶対楽しいと思う。ここ、大人が楽しむと言うよりも子どもを連れた大人が楽しむ場所なので。成人男性が一人で行くと不審者になる。アトラクションに遊びに来た!よりも遊園地に来る子ども見に来た!の方が説得力のある感じしましたし。
ちなみに、涅槃には全く近づけた気がしません。感動を分かちあえない虚無があるだけです。強いていえば絶叫マシン乗った後に来る放心状態、あれはちょっと悟りを感じました。
てな感じで今度は富士急ハイランド行こうと思います。では。
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