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115. どうしてわたしはこんなに物に囲まれているんだろう!|Stay Home編③

bonsoir!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。コロナ禍で緊急帰国して体が安心したのか起き上がれなくなったわたし。今号は動けなくなって、布団の中で気づいたことについて。


今号はこちらの続き。

持つものも持たず(人にあげたり捨てたりしながら)、逃げるようにフランスを出国したわたしは、その反動か日本に帰国してから体の背面が板のようになり動けなくなった。

体がものすごく重たい。まるで鉛を背負っているようだ。荷解きもそこそこにひたすら横になる。図らずも、こんなにしっかり横になったのはいつぶりだろうと思った。時折、わたしの体に少し遠慮がちそうに触れながら、娘が横で退屈そうにしている。ごめんよ。今日は本当に無理なんだ。彼女には悪いが、動かない正当な理由を手に入れたわたしはなんだかちょっと幸せだった。あぁ、わたし、本当はずっと休みたかったんだよな。

やることがない。
いや、やることはあるのだが、できることが特にない。
なので、ひたすらぼーっとぼーっとしながら天井を仰ぐ。
部屋の中に目をやる。当時住んでいたのは、畳の香りがする典型的な日本家屋で、襖から漏れてくる太陽の光にトロトロとしながら、「あぁやっと、やっと帰ってきたんだな」と思った。でもそう思えば思うほど、さらに体は重たくなって、わたしの意識はずいぶん体のことを忘れて遠くへ行ってしまったのだなと思った。

体の重さを感じる。
感じれば感じるほどに、体がどんどん引き戻されていく。そして、ぼんやりとしていた家の中の風景が鮮明な色や形を持ってせまってくる。

・・あれ?

・・・あれ?

このウチにはどうしてこんなに物が多いんだろう。
どうしてわたしはこんなに物に囲まれているのだろう・・。

まるで長い眠りから迫るが如く、後ろから誰かに大きく肩を叩かれるが如く、はっと目が覚める思いだった。

そもそも、生活する上でこんなに物が必要なのだろうか?だって、フランス生活は旅行用スーツケース2つで生活できていて、かつ帰国時も土産物は持ち帰ってこれなかったもののまたスーツケース2つにおさめて帰って来れたじゃないか。

ということはつまり、わたし達に必要な物はスーツケース2個分だけってことではないか!というか、ここにある物の多さってそのままわたし達が管理している物の多さということ。なんて、なんて、管理コストが高い生活を送っていたんだわたしは!そう思ったらゴゴゴゴゴーーーっと内側から熱が湧いてきた。

「捨てよう!わたしたちの最適な生活のサイズ感に戻そう!」

このあと、人生最大の大断捨離しながらのお引っ越し劇が始まるのだが、その源泉はこの時に感じた熱だったのだった。「捨てながら引越す=すてっこし」というライフスタイルコンセプトを作るに至ったのであった。



時は2023年3月24日。
3年を経て、今またお引越し、いやすてっこし中。
3年前ほど盛大にというわけではないけれど、随分すてっこし上手にはなってきたなと感じている今日この頃。このあたりもまたレポートできたらいいなと思っています。

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