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063. 新婚旅行で買った絵画が再びフランスへ連れて行ってくれた

bonsoir!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。
今号は、わたし達を再びフランスに連れてきてくれた一つの絵画のお話。

新婚旅行の地、南仏プロヴァンスの小さな田舎町・マザンに6年ぶりに訪れた私たち。前号で、6年前「またここへ来るような気がする」という予感めいたものを感じたのだが、実際にまたフランスに訪れることになった、というちょっと不思議なお話をしました。

マザンでは「スカラベ」という画家の日本人ご夫婦の営むペンションでお世話になりました。

フランスへ行くことが決まった際、久しぶりにペンションの管理人である奥様に連絡をしてみると、おりしも、もうペンションは閉じて日本へ完全に帰国するというではありませんか・・!

ものすごく寂しくなりましたが、ペンションはもう閉じているけれど、まだ日本に帰国していないから泊まりに来ていいよというお返事をいただき、ホッ・・。
夫の仕事が休みの日を確認して、さっそく行ってみることにしたのでした。間に合ってよかった。

さて、6年前の新婚旅行で、この地に何かしらのシンパシーを感じた私たちは旅の思い出に、と旦那様が描いた絵を一つ、買うことにしたのでした。
いつも朝食をとる部屋に飾られていた絵が、まるで窓のように見えてどうしても欲しくなったのです。

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高屋修さんの絵は、単なる額縁に入った絵ではなく、みる旅に再びわたし達をプロヴァンスへ連れてきてくれるような気がしたのでした。


わたしはnoteで旅行記を読むのが好きなのだけれど、最近、素敵だなと思う記事に出会った。それがこちら。ウエマツチヱ|フランス生活研究中さんの記事です。

“旅行後にどれだけ余韻を楽しめるかは、自宅での再現性なのかなと思いました。旅のおさらいといいますか、自分で実践することで、思い出はより鮮明になります。植物、色、本の3アイテム以外でも、例えば、香水や調味料など、五感を刺激するものも良さそう。旅先で買った調味料を使って、旅行中に食べた料理を再現したりなども、素敵だと思います。”
- 旅の余韻を楽しむための3アイテム より引用-

「再現性」

この言葉に、そうそう、それそれ!とまるで自分の痒いところに手が届いたような爽快感を覚えた。そう、再現性なのだ。旅の余韻を上手に「日常」へと流し込んであげると、その旅は非日常という、日常から断絶された思い出ではなく「暮らしに活力を与える思い出」として日々の生活の中で生きてくれるのだ。

話を新婚旅行のことへ戻そう。日本へ帰国し、また再び日常の気忙しさに紛れたわたし達の元へ美しく額装されたマザンの風景が届いた時の感動を今でも覚えている。

「額は少し地味ですが、新婚生活のリビングにはあまりギラギラしたものではないものの方が良いでしょう」

高屋さんがわたし達の生活を想像しながらオーダーしてくださった額縁もとても素敵で、殺風景だった我が家のリビングの壁にとてもよく馴染む「新しい窓」が生まれたのだった。それからプロヴァンスでの生活を求め、新婚生活を過ごした便利なマンションを後にし、筑波山麓の里山へ新しい暮らしを求めた。引っ越して間も無く子どもを授かり、彼女のハイハイ探索期が始まるとあの「新しい窓」は高みへ高みへと追いやられ、すっかり埃をかぶってしまった時期もあったけれど。

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毎日毎日わたし達の暮らしと共にあったこの絵は、再びわたし達をフランスへ連れて行ってくれた。

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再びフランス滞在を経験し日本へ帰国すると、里山から新婚時代を過ごした便利な地域へと戻って来ることとなった。そしてこの絵はまた、「新しい窓」として息を吹き返し、暮らしに活力を与える存在として、リビングの真ん中でわたし達を見守ってくれている。

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テレビ台の上は、フランスを思い出す「再現」の場所。

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毎年高屋さんから個展のお知らせとともに届くカレンダー。これが届くと年末になったなぁという感じがします。今年の表紙は富士山でした。

日本に本帰国された高屋さん。画家人生として最後に選んだ地は日本。富士山の麓。次個展へ行った時には、マザンの赤土やバントゥー山と共に日本のシンボル・富士山が並んでいくのだと想像すると楽しみです。

↓高屋修さんのホームページ。絵の考察などもあり、ワクワクしながら読めます。


さぁ、明後日からはアドヴェントが始まりますね。クリスマスが近づいて来ると、ヨーロッパの冷たい空気とクリスマスマーケットの賑わいを思い出して、懐かしくなります。

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