音楽雑誌のメンバー募集に投稿すると何が起きるのか
199x年 個人情報は世間の目にさらされた(←北斗の拳のOP風に)
皆さんは『BANDやろうぜ』(通称:バンやろ)という雑誌をご存じでしょうか? 宝島社から発行されていた音楽雑誌で、ミュージシャンへのインタビューや機材紹介。巻末には楽譜が付くなど、多くのバンドキッズを虜にしました。
ちなみに今「バンドやろうぜ」でネット検索すると、同名のソーシャルゲームが出てくるようですが、アラフォー世代に「バンやろ」と言うと、この雑誌のことを指すのでお間違いなく。「森友」と言うと、学園ではなく森友嵐士(T-BOLAN)を指すので併せて覚えておくように。
ネットなんてなかった時代。郵送でのやりとりが基本
……話はそれましたが、『バンやろ』にはバンドのメンバーを募集(通称:メンボ)するページがありました。
「当方Vo(ボーカル)、B(ベース)。G(ギター)とDr(ドラム)募集。完全プロ志向。好きなバンドは▽*%&●…」といった具合に、やたら「完全プロ志向」の文字が躍っていたのを思い出します。そんな僕も高校を卒業したあと、バンドを組みたくなり思い切ってこのメンバー募集に投稿しました。
20世紀も終わりに近づいていたあの当時。今みたいにEメールやSNSが普及していた時代ではないので、郵送で宝島社に手紙を送り、掲載を待って読者からの応募を待つという流れになります。そう、自宅の住所を紙面に載せるという、今では考えられないアナログな方法でやりとりが行われていたのです。
それでは、個人情報がダダ漏れした結果、起こったことをお話しします。
メンバー募集掲載後に起きたこと
○アクセサリーなどグッズのDMが届く
アクセサリーやギター周りのツールなどを取り扱うショップ(通販)のDMが届きました。僕の場合、掲載後最初に届いたのがコレだったので、募集をワクワクしながら待っていた身としては大変ショックでした(笑)。値段もまあ安かったし、ピックやクロス(ギターを拭く布)、それと良さげなチョーカーも注文。数日後荷物は無事に届いたのですが、チョーカーは1か月後には無事ヒモが切れましたとさ。
○嫌がらせの本人なりすまし投稿をされる
これは僕自身被害を受けたわけではないのですが、他人の住所と名前を使い、ニセのメンバー募集を投書するといういたずらが散見されました。「やる気マンマン、私はモ●マンで~す」という破廉恥な文言を見かけたことがあります(というか載せる前にちゃんと検閲しろよ)。当然苦情は編集部に行くわけで、毎月「先月号の●●さんの投稿は本人なりすましでした」という訂正文がいくつも並んでいました。表面化しなかったものも含めると、結構な数の嫌がらせがあったのではないかと推測します。
○誰だか知らないやつのデモテープが届く
自作の歌を録音したカセットテープが届きました。添えられていた手紙には「あなたのメンボを見て、ピンときて送らせていただきました。感想聞かせてください」と。曲は大半が長渕剛の丸パクもといオマージュといった内容。声も歌詞も曲調も延々と気だるいものでした。
お宝発見!? ミッシェルガンエレファントのメンバー募集
リットーミュージックから刊行されている『ギターマガジン』という雑誌には、なんと、あの「ミッシェルガンエレファント」のメンボが掲載されていたことがあるのです! ギターのアベフトシの前任者が脱退したあとで、即戦力となるギターの募集でした。アベさんがどのような経緯で加入したかは知りませんが、もしかしたらこういったメンボを機にバンドが成功したなんて事例もあるのかもしれません。
ちなみに僕が初めてメンボを郵送したとき、掲載までに4~5か月かかりました。ネットでリアルタイムに情報交換できるいま、ここまで待たされるのはバカバカしいですね(笑)。応募いただいた方々と実際に会って、スタジオで音合わせしたこともありますが、どれもその場限りでした。正直あまりよい思い出はありませんが、いまこうやって振り返ると酒のツマミになるような話ばかりなので、それはそれでよかったのかもしれませんね。
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