フォレスト戦、悲惨な敗戦の原因は?
採点
アリソン6ロバートソン3ダイク6コナテ8アーノルド4
マクアリスター5グラーフェンベルフ7ソボスライ5
ディアス5ジョタ4サラー4
ブラッドリー4ガクポ5ヌニェス4ツィミカス5ジョーンズ4
敗因は主に3点あった
1 相手が守備だけ良かった
2 良い形の攻撃が作れず焦って良いパフォーマンスの選手が少なすぎた
3 監督の交代策でチームが悪化した
敗因1 相手が守備だけ良かった
まず相手が守備だけ良かった。アリソンがいうように守備とロングボールの2つしかないチームだったが、その2つは洗練されていた。スペースを潰し、1vs1の局面で最後のFBが堅かった。サラーは1勝4敗、ディアスは3戦全敗。スペースがあってチャンスと思った場面でディアスがクリーンに止められたのは想定外だった
敗因2 良いパフォーマンスの選手が少なすぎ
コナテ、グラーフェンベルフは良かった。マクアリスターが及第点ギリギリのパフォーマンス。アリソンも珍しく軽率なポジショニングを取りシュートコースを空けてしまった。ダイクも良かったのは守備だけ。彼のパスミスで何度かカウンターを許した。だが何より問題だったのは両FBだった
ロボはアホなポジションで攻撃に何の価値も出さぬまま守備に穴を作り続けアーノルドは判断が遅すぎて何度も狩られたり連携ミスしたり何度も危険なカウンターの起点を何度も作った。守備では何度か相手を止めたが、戻りも遅かった。ブラッドリーは失点シーンだけでなく守備で簡単に振り切られてピンチを作る割に攻撃で輝いたのは横の揺さぶりをかけて縦に抜きクロスを上げたシーン程度。それも密集する相手DFに阻まれておりゴメスよりも優先される理由が何一つ分からない。更に前述の通りWGがドリブル勝負に負け続け、ジョタにボールが入らずFWは全員悪かった。この出来で相手にベストパフォーマンスを出されると勝つのは難しい
繰り返しになるが何よりも失敗だったのはFBである。04‐05のバルセロナを思い出させる両FBの特攻で守備に穴をあけたが、ロバートソンは右足を全く使えない。だから中に入っても脅威は折り返しとコースが限定された左足のシュートだけ。ロバートソンは持ち前の身体能力から何度もアップダウンを繰り返し左サイドを精力的に動いたが、ディアスとの連携が悪くポケットを取って折り返す展開を全く作れなかった。ロバートソンが左サイドを空けた状態で無謀な仕掛けからロスト→相手の右で起点を作られ逆サイドに展開。この単純な攻撃を何度食らったのか。ディアスとジョタが交代してガクポとヌニェスになるとボールを運ぶ力が落ちて関与も減った。繋ぐ前の段階から攻撃が破綻し始めたところで失点。こうなるとサラーがいつものパターンで悪化する
サラーはとにかくメンタルが弱い。サラーはリヴァプールで214得点も取る大エースだが、ビハインドでは29得点。そのうち後半75分以降に決めたのは6回でうち3回はPK。格下相手に負けていると焦り状況を無視したシュートを繰り返すようになる。この試合もサイドで何度も起点を作る良いトラップやアーノルドの穴を埋める全力疾走守備など良いプレーも多かったが、リードされてからのプレーはそれまでのプラスを全て打ち消す酷いプレーを連発。サラーは勝利に飢えすぎており、格下相手に負けた展開ではゴールを決める以外の視点が失われて全く役に立たない
唯一の例外は自分が既に点を取って気分が良くなっている時だが、サラーが点を決めるのは先制や勝ちゴールが多く勝っている試合が多い。負ける日は大抵サラーに決定機が少なくサラーが決めておらず、負けた展開にサラーが焦り最悪なプレーを連発し負ける。記憶力の乏しい人でも悪いことの記憶は強く残るのでサラーは叩かれやすい。確かに負ける試合での終盤のサラーは本当に酷すぎる。これは事実だが、年間トータルで見ればサラーのゴールで勝つ試合が実際は多い。負ける試合で酷く悪目立ちするから叩くのだろうが下表の通り、サラーは勝ち越しゴールが多く3点以上リードした珍しい状況の得点数とビハインドでの得点数が大差ないようにサラーは逆境に弱い
サラーが逆境に弱いのはヘディングとミドルシュートが上手くないからだ。リードを奪われゴール前を固められるとサラーの武器が発揮できなくなる。フィルミーノ、ワイナルドゥムはヘディングが上手で、オリギはシュートがハマると強烈なミドルになる。セルヒオ・ラモスやC・ロナウドなど最後に空中戦でゴールをねじ込める選手とサラーはタイプが全く違う。先発させてフル出場を基本に負けてる時に降ろすのが正しいサラーの使い方だ。本人が納得するかは知らないが、サイドで抜いて数的有利を作り出す訳でもなく、コントロールしたミドルで打ち抜く正確なシュートもなく、ヘディングから叩き込む力もないサラーは負けてる試合の終盤で頼りにならない。裏を取りスペースに駆け込み他の人がチャンスに出来ないチャンスを作り出し、広いシュートコースがあれば逃さないサラーの能力を考えれば当然の話である
なお、サラーと違って同点時に決定機を外すが逆境に強かった選手としてはフィルミーノが代表例だろう。2022‐23シーズンは13ゴール中7ゴールまでもビハインドからの得点。アストンヴィラやアーセナル戦でも終了間際に同点ゴールを決めた。決勝ゴールを決めて逆境に弱いサラーと同点時より逆境に強いフィルミーノは完璧な相互補完の関係にあった
敗因3 監督の交代策でチームが悪化
我慢比べの展開から相手が点を取りに来た所でメンバー落としたのが痛恨のミス。選手の技術でごまかせてたロストが更に増え守備の機能が壊れたのが最大の敗因である。特にアーノルドが攻撃から帰ってこず莫大なスペースがあった右サイドを制圧していたコナテを下げた後は酷すぎて論評する気にもならない。控え組は誰も良い選手が居なかった
プレミアリーグのたかだか3ポイントのためにコナテが負傷すれば痛恨だ。だから壊れないよう負荷の大きい仕事から解放したのかもしれない。これが結果的に痛恨の1敗になる可能性はシティの強さを考えるとありえる。ただ同じような過ちを繰り返さなければ問題はない。同じ過ちを繰り返さないで優勝を逃したなら守備的MFとFWのバランスが悪いスカッドの問題である
課題をどう解決するか?
監督も選手も悪かったので当然の敗戦だった。現在の課題は主に3点ある。まずは質の高いMFがマクアリスターとグラーフェンベルフしか居ない点だ。代表明けのマクアリスターを先発させないといけない選手層は改善が必須。次にFWの控えの質だ。レギュラーのFW3人と控えのFW3人の力が離れていて空中戦に強いFWが控えに居ない点。ジョタとディアスを下げると引きこもる相手に有効な能力を持つ選手が足りていない。最後にディアスとLBの連携が悪い点。ロバートソンが殆ど使われないので相手を引き付けることも出来ずカウンターのリスクだけ上げる左サイドの攻撃も改善が必須である
課題1 MFの控え
残念ながら冬に課題が解決する可能性は低い。リヴァプールが求める基準を満たす選手が少なく、冬だと殆ど市場へ出ないからである。ズビメンディが心変わりする以外には期待できない。ウォートンは高すぎて手が出ず、他に噂される候補は少ない。バイチェティッチのローンに打ち切る条項があって彼のコンディションが戻れたらチームの強化になるだろう。モートンの成長も期待はしても計算はするべきではなく、バイチェティッチの復帰以外にはMFが強化される未来は殆どない。そしてバイチェティッチのローン打ち切り条項があるのかは、報道されていない
課題2 FWの控え
5番手に値するFWが3人居るが、誰も4番手FWの質には値しない。1人放出し代役を取りたいが、冬に特別な選手が出てくることは殆どない。放出要員はコスト的にヌニェス一択だが、補強の候補と噂されるウィルツとムシアラは中央の選手ではない。ジョタの適切な控えが居ない問題もスカッドの弱点である。候補となるCFは見当たらずジョタは60分でピッチを去り続けている。ヌニェスの奮起に期待したいが、現状では厳しそうだ
課題3 左サイドの連携
左サイドの連携が拙いのは駆け上がるLBの使い方が下手なディアスに原因がある。ガクポはLBが抜くタイミングで中に切り込むのもパス出しも出来る。しかしながらガクポよりディアスの方が個のスキルが高いため、ディアスが優先されて起用されている。ガクポはドン引きチーム相手には違いを作れずディアスがLBの使い方を覚えるしかない。昨季後半に良い形が出来た時期もあったので気長に教え込むしかないだろう。1試合の結果に右往左往せず、開幕3試合の出来を信じて連携が熟成するのを待つ方が良い
という訳で余り期待できそうにない。勝点95稼ぎそうなシティと比較すればリヴァプールの戦力は勝点85~90程度で90を超すのではないかと筆者は予想する。ただしロバートソンとツィミカス、アーノルドとゴメス以外は主力と控えの差が生まれており、不測の事態が起きると勝点は85程度で終わるかもしれない
最も大事な契約延長
ダイク、サラー、アーノルドの契約の中ではダイクが最も大事だと主張する筆者だが、契約延長の中で最も重要なのはコナテだろう。広いエリアを潰すスペース対応力、空中戦の強さは世界トップクラス。パスも上手くなり繋ぐスキルも向上している。クオンサーも良い選手だが、次世代ダイクと言える才能を持つコナテに比べると見劣りする。コナテの契約延長は何より重要なタスクと言えるだろう
ノッティンガム・フォレストと言えば中途半端な選手に大金を払うクラブ。その効果でプレミアリーグ下層レベルの選手が11ポジションに揃ったことも影響したか。中盤までひたすら耐える展開から点を取るWG投入と監督采配もズバリとハマった。思えば過去の対戦成績は3勝1敗で2勝は1点差ゲーム。ターナーのプレゼントゴールもあって3‐0で勝利した昨季以外は全て接戦。油断できる相手ではなかった。後悔先に立たず・・・