絵本ゼミ

9月から、東洋大学 准教授 竹内美紀先生による、絵本探求ゼミ第2期の受講が始まりました。

講座の振り返りの課題として、学びをアウトプットするということで、note
を始めることになりました。自分が受け取ったことを言語化して発信すること、相手にわかってもらうようにわかりやすく報告するということです。
まだ、慣れていませんが、自分のプラスになることなので、頑張っていきたいと思います。

 チームビルディング:自己紹介としての私の一冊
  
まず、チームブレイクで、絵本を紹介しての自己紹介でした。
  チーム4は、FAのちえこさん、えりちゃん、トシさん、ゆいさん、くみちゃん、私の6人です。
  2期から参加のゆいさんは「のはらひめ」なかがわちひろ/作 徳間書店、くみちゃんは「は、にげる」東京ハイジ/作、ゆかみん(自分)の「おへそのあな」 長谷川義史/作 BL出版、でした。「おへそのあな」は、大好きな長谷川義史の絵本で、読み語りにもよく使います。楽しい内容、カバーにも工夫があります。命の大切さを感じ、心が和み、優しい気持ちになれることから、自己紹介の絵本に選びました。
 
 講座の受講目的、目標の設定
 
今回の受講目的は、絵本についての知識を高めることです。まだまだ、知らないことが沢山あるので、色々なことを吸収していきたいです。
 目標は、絵本ゼミで得た知識をたくさんの人に伝えていき、絵本のよさを広めていくこと。自分の絵本セラピーや講座で、よい選書ができるようになる。学んだことを効果的にアウトプットしていけるようになること。

 講義「いい絵本とは何か?」 昔話絵本・・・・ミッキー先生より
*絵本の定義
 「
絵本は、文章、絵、トータルデザインからなり、大量生産される商業製品でもあり、 社会的、文化的、歴史的な記録であり、そして何よりも子どもにとっての体験であ る。芸術としての絵本は、絵と言葉の相互依存性、見開きページの同時表示、そし てページをめくることによるドラマによって成り立っている。」
(Bader, Barbara. American Picturebooks from Noah’s Ark to The Beast Within. NY; Macmillan Publishing Co., Inc, London; Collier Macmillan Publishers. 1976)
 絵本は上記のように定義されている。子どもにとって体験できる世界、ARTである。見開きのページが効果的である。

昔話の定義 (Folktale)
 昔話とは、
 ・伝統的な物語書式に添った語りの散文
 ・口承により世代を超えて伝えられる
 ・作者不明(活字になった時は再話
 ・昔話の型(カタログ)はAT型:ルールがある

昔話と昔話絵本の定義
 昔話とは、発端句(発句)をもって始まり、伝聞を示すことばを添えて語り進めながら、それが又聴きであることを示し、結末句(結句)をもって終わる伝承文芸である。
 発句と結句があるので、区切られた世界に入っていける。現実の世界でなく、不思議なことが起きる(例:おじぞうさんが動く)。
 発句:むかしむかしあるところに、今は昔、ざっとむかしあったと
不特定な時間、空間、登場者で導入し、話の架空性を述べ、、不思議な世界へ聞き手を誘う機能を果たしている。

 結句:めでたしめでたし、どっとはらえ、いちごさかえた
    とっぴんぱらり さんしょのみ(秋田)
    むかしこっぽり(鳥取)・・・昔話の不思議な世界から聞き手を現実世界に呼び戻す。暗号のような無意識なことば
 

昔話絵本とは、絵本の一形態であり、絵本の中でも物語絵本に属するものです。すなわ ち、文字とイラストレーションという表現形式を用いて、その両者が補いあって、ある物 語を展開し表現する物語絵本です。そしてその絵本の中のテクスト(物語)が伝承されて きた昔話であるのが昔話絵本です。
 (藤本朝巳「昔話と昔話絵本の世界」)

昔話研究によるアプローチ
 <構造論>
ウラジミール・プロップが昔話絵の構造分析をし、31の機能をあげた。
出発、帰還、禁止、難題、勝利、など
例:外部からの課題を解決する、行って帰る、喪失と回復
 <昔話の型>
アーネル・トンプソンのタイプ・インデックス AT分類
世界各地に伝わる昔話をその類型ごとに収集・分類したもの
AT番号がついている
(動物昔話、本格昔話、宗教的な話、笑話・逸話、形式はなし、その他)
 <様式論→語法>
マックス・リュティが様式論をまとめた。昔話には色々なパターンがある。

*リューティの様式論
⑴ 一次元:現実にはあり得ない状況が再現されている
 例)かさじぞうのじぞうが動く、ももからもも太郎が生まれる
⑵ 平面性:折り紙細工のように語る
 例)うまかたやまんばの馬の足が切られるが、血は出ておらず、普通に走っている、かちかちやまでおばあさんがいなくなったが、空っぽの着物を描いている。
⑶ 抽象的様式:写実的でない。リアルでない。昔話は語られてきたもの、聞く文学なので抽象的である。「大きい」「小さい」「強い」「美しい」など形容詞が統一的で細かく描写しない。平面性が抽象的様式を作り出す。

⑷ 孤立性と普遍性:まれにしかないもの、高価なもの、極端なものは、孤立したものである。(例:金と銀、ダイヤモンドと真珠、ひとり子、末の息子、まま娘) 1対1の場面(しらゆきひめと魔女、こびとはいない)
孤立化するから、すべてのものと接触する能力を持つ(普遍的結合の可能性)

⑶と⑷については、まとめてみたが、十分理解したと言えないので、チーム4でのミーティングで深めていきたいと思う。

チームブレイク 昔話絵本の紹介と話し合い 

 【1期から継続の方が昔話絵本を紹介】
「ねずみのすもう」樋口淳/文 二俣英五郎/絵 ほるぷ出版
色々な「ねずみのすもう」がありますが、この「ねずみのすもう」は、私も好きな絵本です。残念ながら絶版、メルカリで手に入れました。
「ねずみのすもう」神沢利子/文 赤羽末吉/絵 偕成社
「スーホの白い馬」モンゴル民話 大塚雄二/再話 赤羽末吉/画 福音館書店 この絵本は小学生によく読みました。馬頭琴の音楽をバックに流したこともあります。
「三びきやぎのがらがらどん」ノルウェーの昔話 マーシャ・ブラウン/絵 瀬田貞二/訳 福音館書店 我が家の子どもたちが好きな絵本でした。ラボで劇活動もしました。

チーム4のメンバーから:「でんかしょ」などの読み方は色々あるのではないか。
それぞれの絵本は、発句と結句があるか、昔話のルールとなっているか。
スーホは、昔話か、名前と場所が特定されている。

【ミッキー先生から】
「三びきのやぎのがらがらどん」は、山の牧場で太るという課題があり、出発し、解決して終わる。3回繰り返している。三回繰り返す意味を考えてほしい。
「スーホの白い馬」は、名前と場所が特定されているので、民話・神話となるが、広い意味で昔話である。赤羽末吉の絵であり、綺麗な赤と緑を使っている。モンゴルの草原の虹が印象的である。*赤羽茂乃(赤羽末吉の息子の嫁)さんが赤羽末吉の研究をされている。「末吉は絵本を通じて平和の大切さを伝えたかった」*赤羽末吉は日本で初めて“国際アンデルセン賞画家賞”を受賞されている。
「ねずみのすもう」の「でんかしょ」は自由である。

その他のチームから紹介された絵本について
「かちかちやま」小澤俊夫/再話 赤羽末吉/絵 福音館書店
 小澤俊夫と赤羽末吉は、昔話のゴールデンコンビ
 おばあさんは殺されたが中身を描かず着物だけを、タヌキも死体は描かず溺れそうな絵で終わっている。平面性
「かさじぞう」瀬田貞二/再話 赤羽末吉/画 福音館書店
扇形の枠の中に描かれている。枠が強すぎる。赤羽の最初の作品。赤羽末吉は扇面に描きたかったが、枠があることで、自然に話の世界に入り込むことができない。以後、扇面はやめている。
「てんぐのそばまんじゅう」深山さくら/作 長谷川義史/絵 ひさかたチャイルド 昔話をまねた創作絵本
「うまかたやまんば」小澤俊夫/再話 赤羽末吉/画 福音館書店
馬の足が切られていくが、血は出ておらず、走り方も変わっていない。折り紙細工のように語られている。(平面性)残酷性を避けている。
「だいくとおにろく」松居直/再話 赤羽末吉/画 福音館書店
橋をかけてほしいという課題解決。赤と緑の綺麗な色。どうして目玉がほしかったのか?
「ちからたろう」今江祥智/作 田島征三/絵 ポプラ社
迫力的な田島征三の絵、結句の「ぷは・・・」は迫力的ことば
作者が何を伝えたいか、表現したいかで、絵や文がちがってくる。
「くわずにょうぼう」稲田和子/再話 赤羽末吉/画 福音館書店
迫力的な絵である。
「わらのうし」内田莉莎子/作 ワレンチン・ゴルディチューク/絵 福音館書店 ウクライナの民話
てぶくろ」エウゲーニー・M・ラチョフ/絵 内田莉莎子/訳 福音館書店
ウクライナ民話
「アリババと40人の盗賊」
「みるなのくら」小澤俊夫/再話 赤羽末吉/画 福音館書店

課題解決。昔話や民話にみられるモチーフで、見るなのタブー、見るなの禁止。「見てはいけない」という禁止が課せられたが、破ってみてしまったため悲劇的な結果が現れる。

昔話の残酷性について
折り紙細工や平面性のある描き方で、残酷でないように描いている。
「人間には誰にも残酷な面がある。・・・昔話の残酷性には意味がある」と藤本朝巳:昔話と昔話絵本の世界で述べている。

昔話の主人公に末っ子が多いのはなぜか?
「人はみんな一度は末っ子だった」子どもという存在そのものが社会のなかの末っ子、弱い立場のものが成功する、その喜びを語っている昔話のやさしさである。 小澤俊夫「こんにちは、昔話です」より

3回の繰り返しが多いのはなぜか?
3回の繰り返しに大事なメッセージがはいっている。身体のリズム、3回めが一番長くて重要、3回めがアクセントで、物語にはリズムが必要。
小澤俊夫「こんにちは、昔話です」より

感想
初めての絵本ゼミ、3時間があっという間に過ぎました。昔話の定義や特徴から皆さんが持ち寄った絵本の内容、たくさんの情報や刺激で、アウトプットするのに時間がかかりました。参考文献を読んだり、調べたり、絵本を見てみたり、他の方のアウトプットを見て、更に学びとなりました。
昔話について、5大昔話(ももたろう、かちかちやま、さるかに、したきりすずめ、はなさかじい)のこと、「ももたろう」は包丁で切るお話ではなく、自ら出てくるももたろうのお話がよい、きびだんごの分け方は色々ある、お供の動物には意味がある、というくらいの知識であった。単に昔話はよい、と小学校での読み聞かせボランティアで昔話を読んでいたが、今回、ゼミで学び、定義や様式論などを見て選書することの大切さがわかった。昔話は奥深い。もっと色々、参考文献を読んでみたいと感じた。
2回目のゼミも楽しみである。




  

 


絵本探求ゼミ 3期 1回目 振り返り


東洋大学准教授 竹内美紀先生の絵本探求ゼミが始まりました。
1回目は、録画の視聴でした。
4月は新学期が始まり、大学の仕事、実習準備があり、振り返りが遅くなりました。

受講目的


 第2期から参加し、ジャンル別の絵本について学びました。
 第3期は、絵本の賞について学んでいくということで、
 とても興味深く、新たな知識が得られること、今後の自分自身の活動や研究に役立つと思い受講を決めました。ゼミ仲間の絵本の紹介や知識、様々な活動をされている方が多く、刺激を受けると共にともに学ぶというゼミ形式に魅力も感じています。学んだことをアウトプットすること、自分の引き出しを増やしていくこともできるので、自分自身の成長になると思っています。

チームビルディング
 
チーム5は、5月7日にチームミーティングがありました。
 絵本で自己紹介をしました。
 「オレンジいろのペンギン」・・・ペンちゃん
   葉祥明 絵・文 佼成出版 2003年

 「70センチの目線」・・・めぐさん
   小竹めぐみ・小笠原舞 小学館集英社プロダクション

 「あなふさぎのジグモンタ」・・・としさん
    とみながまい/作 たかおゆうこ/絵 ひさかたチャイルド 2020年
  

  「さくらのふね」・・・かこさん
    きくちちき  小峰書店 2023年
  

  「よあけ」・・・ゆりゆり
     あべ弘士 偕成社  2021年 
   

  「まいにちがプレゼント」・・・なおぽん
    いもとようこ/作・絵  金の星社 
  

  「ひとりひとり」・・・ゆかみん(わたし)
   谷川俊太郎 詩 ふくだとしお 絵  成美堂出版 2009年
  

  谷川さんの詩とふくださんの描いている植物が絶妙なバランスで、
  耳に目にすっとはいってきます。
  ひとりひとりの個を大切に学ぶのですが、自然に和になり調和していく 
  ことが、この絵本ゼミで学ぶことと重なるため、選びました。
  みんなのふるさとは絵本なのかなと思いました。
  夢や目的はそれぞれですが、根本には絵本があります。
  お互い絵本を介して学んでいけたらと思います。

紹介された絵本は「まいにちがプレゼント」しか知らなかったので、これから読んでいこうと思います。
ほかのチームの紹介絵本で、印象に残ったのは
「わたしは樹だ」です。自然から感じるもの、学ぶものはとても多くあり、
樹の一生と人の一生が重なり、たくさんのエネルギーをかんじることが出来る素敵な絵本だと思いました。
   

チーム名

 ペンギン大好きなペンちゃんFAを中心に7人がともに学んでいくいくと いうことから、「にじいろペンギン」にきまりました。
トシさんが、オレンジ色のペンギンを中心にして色々なペンギンでアイコンを作成してくれました。素敵なアイコンです。七色に輝きましょう。

コルデコット賞・ランドルフ・コールデコットについて

 イギリスの絵本作家のコールデコットですが、アメリカ人のファンがたくさんいて、その中の児童室を立ち上げた図書館員の女性たちが、1937年に「コールデコット賞」を創設した。
 ビアトリクス・ポターは、コールデコットを「開拓者」とみなし、「最も偉大な挿し絵画家のひとり」と位置づけている。
コールデコットの長所はユーモアのセンスがあることで、陽気なユーモア、豊な創造力をもち楽しい絵を描く人物、「馬を疾走させることができる」絵を描くと述べられている。
   参考文献
    「疾走した画家 ランドルフ・コールデコット」 
      レナード・S・マーカス 著 灰島かり 訳 BL出版

  この本にもあるように、馬や犬、人物が本当に動いているような絵、本の中から、馬が出てきそうな描写となっている。
 また、楽しんで仕事をしたり、人との出会いを大切にしたり、温厚な人柄であったようだ。置かれた状況の中で最善を尽くしたとあるように、仕事をする傍ら、絵を描くという好きなことも充実させていたようだ。
 Bewickの木口木版という印刷技術や編集者との出会いで、コールデコットの挿絵が広まった。
 絵とことばがお互いを補って物語の世界を広げる作風は、現代絵本の源流のひとつと位置付けられている。
 39年という短い生涯で、後世に残る絵を描き、絵本というものを広めた偉大な人物である。

感想:コールデコットの名前は、知っていたが、どんな人物でどのような功績があったかなど、全く知らないという私であった。とても穏やかな性格でありながら、躍動感のある絵を描く、素敵な人物だと感じた。今回、コールデコットのことを学び、賞をとった絵本だけを読んでいくのではなく、その賞がなぜ、創設されたのか、その賞にどのような意味があるのか、歴史を踏まえて考えていかなければ、絵本の価値がわからないと思った。
まだまだ、参考文献が読み切れていないので、これから読んでいきたい。
コールデコット賞受賞作の絵本を次回までに選び、なぜその絵本が受賞したのか、時代背景も考え、考察していきたい。
知らないことを知る、新しい知識を得る、新鮮であり、ワクワク感があり、コップの水が満たされていく、自分自身の心も満ちていく感じがする。
次回のゼミ、仲間の選ぶ絵本が楽しみである。
十分な振り返りができていないが、これからの学びを積み重ねていきたいと思う。
 

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