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夢中環境におけるE・HERO バーストウィングマンの優位性
※この記事は2024年2月上旬(悠久のギャラクティカ発売前)に執筆したものです。予めご了承ください。
はじめに
トリプルビルドパック エボリューション・インパクト発売により、【夢中】デッキが大幅に強化され、大会でも数多く見かけるデッキとなりました。このデッキ構成する強力なカードとして、以下の2枚が挙げられます。
1枚目は、「夢中の抱擁」です。
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このカードは、自分の昆虫族と相手の昆虫族を素材としてフュージョン召喚を行うことができます。夢中の下級モンスターの多くは相手モンスターを昆虫族にする能力があるため、レベル9以下であれば破壊耐性を無視して除去することができます。夢中の返し性能を担保している非常に強力なカードです。
2枚目は「栄華夢中のシルビクス」です。
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このカードは、昆虫族に効果破壊耐性とフュージョン召喚の素材にできなくなる耐性を付与することができます。上記の「夢中の抱擁」を使用すれば、相手フィールドにレベル7-9のモンスターが存在すれば、自分の下級モンスターを素材に簡単に出すことができます。
これらのカードへの対策として「E・HERO バースト・ウィングマン」に着目しました。
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「E・HERO バースト・ウィングマン」は大きく分けて3つの特徴を持っています。
①レベル6(< 7)である。
②打点上昇により実質的な攻撃力が3100(> 3000)である。
③魔法・罠カードを除去することができる。
これらの特徴は、以下の観点で夢中と戦う際に優位に機能します。
①レベル6(< 7)である。
「栄華夢中」などの最上級フュージョン体には、レベル7~9のモンスターが必要です。「バースト・ウィングマン」はレベル6であるため、このカードを素材として「栄華夢中」をフュージョン召喚するには自前でレベル7~9のモンスターを用意する必要があります。つまり、「バースト・ウィングマン」は「夢中の抱擁」によって素材とされてもそれほど痛くないカードであるといえます。
②打点上昇により実質的な攻撃力が3100(> 3000)である。
「栄華夢中」は昆虫族に効果破壊耐性を付与するため、効果破壊以外での対処が必要となります。突破方法としては表示形式の変更や攻撃力低下なども挙げられますが、最もシンプルな解決方法は攻撃力で超えることです。「バースト・ウィングマン」は自身の効果により、相手ターン終了時まで攻撃力が3100となり「栄華夢中」を超える数値となります。
③魔法・罠カードを除去することができる。
「夢中の抱擁」は強力なカードですが、相手フィールドに表側表示モンスターが存在する状態で、相手モンスターを昆虫族にするカードを使用した上で発動する必要があります。つまり、相手がモンスターのセットだけを行ってターンを返した場合には発動が難しくなります。結果として「夢中の抱擁」がフィールドにセットされた状態でターンが返ってくることが多いです。「バースト・ウィングマン」の魔法・罠破壊能力は、セットされた「夢中の抱擁」を破壊するのに一役買ってくれます。
以上の要因から、「E・HERO バースト・ウィングマン」は【夢中】デッキと戦う上での優位性を多く持っていると考えられます。これらの強みを活かせるようにデッキ構築を行いました。
デッキ構築
デッキリスト
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構築の意図
以下の5つの点について構築意図を解説します。
①ネオスギミックの不採用
②「E・HERO クレイマン」の採用
③「流星のプリアージュ」ギミックの採用
④「月の女戦士」の採用
⑤レジェンドカード採用意図
①ネオスギミックの不採用
「E・HERO ネオス」およびそのコンタクトフュージョン体は、「フュージョン」を必要としない、コストパフォーマンスの高い優秀なギミックです。しかし【夢中】デッキと戦うことを考慮すると、コンタクトフュージョン体がレベル7の効果モンスターである点がマイナスに働き「バースト・ウィングマン」を主軸とするメリットが薄くなると考えました。
②「E・HERO クレイマン」の採用
ネオスギミック不採用のデメリットとして、「エレメンタル・サーキュレーション」に対応するカードが少なくなる点が挙げられます。そのため、今回は「クレイマン」を最大枚数採用し、「サーキュレーション」の対応カードを増加させました。「クレイマン」のフュージョン体である「E・HERO サンダー・ジャイアント」は、スペックこそ並程度ですが、レベル6であり、本デッキの「夢中の抱擁」への耐性を強くするというコンセプトに合致しています。「サンダージャイアント」の足りない攻撃力を補強するため「摩天楼 -スカイスクレイパー-」を2枚と多めに採用しました。
③「流星のプリアージュ」ギミックの採用
レベル5以下の通常モンスターを計12枚採用したことで「流星のプリアージュ」「はじまりの星」ギミックを強く使えるようになりました。「プリアージュ」は条件こそありますが、アドバンテージを取れる強力なカードです。「はじまりの星」は足りないフュージョン素材、魔法カード「フュージョン」を回収できます。また「サーキュレーション」の対象が少ないこのデッキとしては、コスト要因を回収するカードとしても優秀です。欠点としては「サーキュレーション」を先に発動してしまうと、そのターン中は「プリアージュ」の回収効果を使用できない点が挙げられます。そのためカードの発動順には注意が必要です。
④「月の女戦士」の採用
E・HERO通常モンスターは打点が乏しく、また「流星のプリアージュ」も効果を使用した後は棒立ちになってしまうという問題点があります。そこで、今回のコンセプトに合致する上級モンスターを探したところ「月の女戦士」に行きつきました。このカードは相手フィールドに光属性モンスターがいれば攻撃力が3100となり「栄華夢中」を戦闘で破壊することができます。また、現環境では【夢中】の他にも【ダイス】【青眼】【セレブローズ】【レジェンド】【プライム】【メタリオン】【ギャラクシー】【ハイブリッド】など多くの光属性テーマが存在し、単体のカードでも「E・HERO ネオス」「七宝神-両財」「七宝神-米大」など強力なカードが存在します。これらに対して強く出られる「月の女戦士」は現在採用する価値のあるカードであると考えました。また、このデッキでは「サーキュレーション」発動後の誓約があっても問題なく機能し、墓地にあれば「E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン」の攻撃力上昇に寄与するというメリットもあります。
⑤レジェンドカード採用意図
「E・HERO プリズマー」:このデッキは攻め手を「バースト・ウィングマン」に依存しているため、フュージョン召喚の再現性を上げるために採用しました。「シャイニング・フレア・ウィングマン」のフュージョン召喚を行いやすくなる点も非常に強力です。
「ブラック・ホール」:このデッキは「プリアージュ」を採用している都合上「強欲な壺」「天使の施し」などのドロー魔法がやや使いづらくなっています。また「バースト・ウィングマン」で魔法・罠カードを破壊できるため「ハリケーン」などの魔法・罠カード除去もそれほど必要としません。そのため、ライフカットが行いやすくなる「ブラック・ホール」を採用しました。「スカイスクレイパー」がある状態で「バースト・ウィングマン」2体でダイレクトアタックを行うとそのまま勝利することもできるので是非とも有効に活用したいカードです。
「強制脱出装置」:「バースト・ウィングマン」で超えることの難しい大型モンスターに対して大きな仕事をしてくれます。【夢中】デッキに対しては「現夢中のシルビクス」に対して発動すると大きくアドバンテージ差をつけることができます。
使用状況・所感
【夢中】に対してはほぼ負けない程度に強く仕上がりました。一方、ドローソースを「サーキュレーション」に依存しているため、引けなかった試合は一段階デッキパワーが落ちる印象があります。「ミラクル・フュージョン」など発動タイミングを選ぶカードもあるため、手札が良くない場合はモンスターをセットして耐えるプレイングも必要です。また、【HERO】ミラーでは「スカイスクレイパー」を張りづらくなるため、2枚採用しているこちらのデッキはやや不利な展開を強いられることになります。
改良の余地はまだありますが「バースト・ウィングマン」の強みを押しつけて【夢中】に勝ちつつ、他のデッキとも十分に戦えるように仕上がっていると思います。
「悠久のギャラクティカ」発売後の影響について
要注目カード
弱体化要因
・「昆遁忍虫 変容魔笛のアゲハ」
強化要因
・「E・HERO ボルテック・ウィングマン」
・「綺羅流星のプリアージュ」
「昆遁忍虫 変容魔笛のアゲハ」
相手フィールドのモンスターを昆虫族に変える非常に強力な制圧能力を持ちます。【E・HERO】は特に受ける影響が大きく「スカイスクレイパー」「サーキュレーション」「フェイク・ネオス」「バースト・ウィングマン」など多くのカードに悪影響を及ぼします。このカードが流行した場合は「昂光の呪縛」などの対策カードを増やす必要があると考えられます。
「E・HERO ボルテック・ウィングマン」
待望の「スパークマン」「フェザーマン」のフュージョン体です。フュージョン召喚したターンに墓地フュージョンを行う強力な効果を持ちます。単に横並び性能が高いだけではなく、手札に「スパークマン」「フェザーマン」「フュージョン」、墓地に「バーストレディ」が存在する際に、このカードを経由して「バースト・ウィングマン」を出すこともできます。攻撃力も2000と最低限の数値があるため「スカイスクレイパー」下ではアタッカーとしての活躍も見込めます。また、レベル5であるため、「バースト・ウィングマン」同様に「夢中の抱擁」を打たれてもそれほど痛手にはなりません。発売したら是非とも採用したいカードです。
「綺羅流星のプリアージュ」
「流星のプリアージュ」と通常モンスター、このデッキでは下級E・HEROを素材に出せるフュージョンモンスターです。現在の構築の問題点である、効果使用後の「流星のプリアージュ」が棒立ちになってしまう問題を解決できます。スペックも非常に優秀であり、単独でも攻撃力3400までは処理することができます。また、攻撃力ダウン効果はフュージョン召喚したターンでなくても発動でき、守備力も2500と十分高いため、効果を使用しないターンに守備表示で出しても壁役・返しの戦闘補助として使えます。こちらもレベル5であるため「夢中の抱擁」を重く受けない点で優れています。「流星のプリアージュ」軸では採用したい一枚です。
総評
「アゲハ」については出されると厳しいですが、それ以外は大幅な強化となることが予想されます。【夢中】デッキでの「アゲハ」採用が流行した場合は「昂光の呪縛」などの対策カードを増やすのが良いと考えられます。
終わりに
「E・HERO」テーマは人気が高く、通常弾では毎回強化が来ている非常に研究し甲斐のあるテーマです。このnoteがこれからE・HEROを使う方の一助となれば幸いです。
ご意見・ご感想などありましたらよろしくお願いいたします。
ここまでお読みいただきありがとうございました。