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無戦星

うまくやってるな。気候も温暖だ。皆、小川を横目に、ぼんやりしてる。
おかしな人間もいるが、誰もおかしいと思わない。
こんもりした森の中じゃ、女たちが沐浴してる。楽しそうだ。

土手じゃ、老人が日向ぼっこだ。子供たちは活発に走り回る者もいれば内弁慶な者もいる。
誰も、何も心配していない。不安になることをやめている。

若い男は魚を獲り、家の補修をし、木によじ登って果実をもぐ。好きなあの娘が頭から離れることはない。
好きになれてる、それだけでハッピーだ。

女も好いた男のことを想う、それだけで温もる。
想い想い、その日も暮れていく。老若男女、あたかも同じに。
情動、衝動に走ることなく、彼らは何故あんなにのんびり?


怠け者たちだ、と、あっちの星の人が見てる。
好き勝手に暮らしてるだけじゃないか。あの立ち働いてる男にしても、明日にはリバウンド、一日グータラになってる。勤勉じゃない、気分で動く、あてにならん連中だ…

「あてにできるのは自分しかいない」彼らは言う、「ほかは、べつに」
そうして今日も彼らは思い思いの場所にいる。
こんにちは、とか言って。にやにや微笑んでる。

きのうはこんなこと思っていたよ。
ほう。おとといはこんなことを。
ほうほう。わたしはこんなことを考えていてね…

思う、考えるばかりだ、彼らの口にすることといったら! 現実的なことは何も言いやしない…

「何が現実かね」
まだ言う、「え、何が?」

彼らは怠け者だ、ろくでもない… 狂人どもなんじゃないか?
銀河系で唯一、ここが戦乱紛争のない星だとはいえ!