見出し画像

昨夜、ふしぎな夢を見た。
夢はいつも不思議なものだが、それが快い不思議さだったので、快く目覚められたということだった。

会ったこともない女が、その部屋にいた。どうも、宇多田ヒカルという人であるらしい。
彼女が、どうしたわけか裸で、しかし薄い敷布、タオルケットのようなものを身にまとい、その部屋にゴロ寝しながらこっちを見ているのだ。

初対面だったし、なぜ自分がそこにいたのかも分からない。
夢の中でも時間というものは経つらしく── というのも、場面が変化したので── そのリビングのような部屋から、隣りの部屋に舞台が変わった(と思う)。

するとそこには二人の子どもがいた。三~五歳位だろうか。無邪気に二人、ニコニコしている。
と、今度は、そこがリビングだったのかその隣りの部屋だったのか、目が覚めてしまった自分には曖昧だが、いきなり宇多田ヒカルらしきその人が、立っている私の胴体に手を回し、抱きついてきたのだった。

彼女の身体にはタオルケットが巻いてあり、その端が胸の所に止められていて、あまり動くとはだけてしまう。
だが彼女は、その態勢でイナバウアーのように後ろへのけぞり返るのだった。
私は彼女の胴体に手を回していたので、後ろへひっくり返らないように力を込めなければならなかった。

「落っこっちゃうよ、そんなことしたら」
私は力を入れながら注意する。だが彼女は笑い、楽しそうにイナバウアーを続ける。

ああ、その前に、ふたり、立ったまま抱き合っていた場面があった。
だが私が力を込めて抱きしめすぎたらしく、彼女は「苦しい」と言った。私は、シュンとして腕をほどいた。

そのあと、あのイナバウアーが始まったのだ。
そこで目が覚めた。

しかし私は宇多田ヒカルのファンでも何でもない。「automatic」はよくFMから聞こえてきたので、いやというほど聴いたが、それだけだった。
夢に出て来た、その宇多田ヒカルも、全然本人と似ても似つかぬ、眼の細い人だった。

なぜ彼女が宇多田ヒカルだったのか、また二人の子ども(男の子だった)は誰の子どもだったのか、夢から覚めて三、四時間経つが、もちろん分からぬままである。