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フィンランド旅行記DAY1–マリメッコおじさん
8.1
待ちに待ったフィンランドへ!前日4時起きディズニー(私は7月末が誕生日で高校のクラスメイトが連れて行ってくれたのだ)、翌日3時起きフィンランドと祖母に顔を顰められたが、若者の有り余る体力をすり減らさなきゃ勿体無いじゃないか。「夢の世界へ」と「おまじないの歌」を口ずさみ、(世代の方!わかりますか!)私は俄然元気だった。
空港に行くまでの上から見下ろす無人の銀座の街並みが好きだ。
✈️
この旅行は航空会社勤務の母が勤続20周年でもらった〈どこでも行っといで!〉券でまかなっていた。でも勤続20年だからって別に甘やかされてるわけではない。もちろんエコノミークラスだし、そもそも席が隣じゃない。親と席が離れていたって、成人女性が、どうってことない問題だと思うだろう。でも私としては初のヨーロッパ渡航でやはり心細かった。すると、心優しいマリメッコおじさん(イッテQコーディネーターの加瀬さん似、マリメッコをきたかわいいおじさま)がなんと席を変えてくれたのだ。おじさんに感謝感激しながら、出国した。
はい。わかってましたよ。わかってましたけど!!長い!!!とにかく長い!映画3本で着くだろうと意気込んでいたがなんと私は2時間近くの映画1本見切る忍耐力をなくしていることに気付く。いや、そもそもこの航空会社のチョイスが微妙なんじゃないか。「ちょっとしっかりしてよ」と入社20年目のママに言う。ドラえもん、チョコレート工場の秘密挫折、、ただ、バービーだけは見れた。高畑充希ちゃんの声が心地良い。聴覚繋がりでトイレの音が怖いと友達から聞いていたが本当に怖かった。私まで飲み込まれちゃうんじゃないかというずぼぼんという威勢のいい音にびくつくこと3回。機内食はイマイチだけど機内食だから仕方ないね。食べ終わってから機内食紹介ビデオを見て「ふ〜んそういうこだわりがあったのね」とふんぞりかえっているとだんだんとフィンランドの田舎風景が見えはじめてきた。3杯目のスプライトを飲んで、バービーとケンの闘いを見ていたら、13時間のフライトは終わっていた。湿気と暑さで不快指数100%(個人の感想)の日本と違い、程よく涼しくてカラッとしているヘルシンキ。外資系のパイロットたちの英語を耳に挟みながら、遂に英語圏にきたのだ!!と実感した。私は台湾にしか行ったことがないのだ。
13時間のフライト以上につらいものなんてないと思っていた。だが、私たちは13時間のフライトの後に1時間半も入国審査に待たされたのだ。その間コペンハーゲンはどの国か?スウェーデン?ノルウェー?ノルウェーでいっかーと適当な話をしていた時間が1番地獄だった。どうやらウクライナ情勢の影響で、ロシアとの国境警備隊が降りてきて時間がかかるとかなんとか。ウクライナ情勢の影響でヘルシンキ行きの飛行機が4時間も延びるのは有名な話だが、入国審査にもその波は押し寄せているのだ。
ようやくフィンランドに入国。リングレールラインという電車でヘルシンキ中央駅へ向かった。
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ホームはとにかく広くて、日本のように「いつの日も僕のそばにはお茶がある」みたいな下手な川柳付き広告なんかなく、むしろアートまで施されていた。早速フィンランドの実力をみせられる。やるな、フィンランド。
ヘルシンキ中央駅からトラムに乗ってカンピへ。これから何晩かお世話になるホテル「ヘルカ」に向かった。
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フィンランド建築の巨匠(らしい)・アアルトデザインの家具をふんだんに取り入れたホテルで、確かにアアルトの凄さを理解しないままフィンランドにきた私でもそのアーティスティックな才能を感じた。これ座っても後ろにゴロン!っていかない?大丈夫?なシマウマ模様の椅子「アームチェア400」、素人にはただのスツールに見える「スツール60」、部屋には黒電話に、電球が丸ごと埋まったオシャレな家具もあった。
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これらもアアルト建築なのだと思っていたが、後者2件は関係ないと後に仲のいい学芸員さんに教えてもらった。フィンランドの巨匠に向かって「やるなあ」と呟きながら、母の会社のフィンランド支店長の福沢さんとディナーに行くためにオシャレ着に着替える。ディナーは蝿が舞うオシャレレストランで。サーモンスープとミートボールという王道フィンランド料理を堪能した。福沢さんはもっとだらしない感じの可愛いおじさんだと思ったらギラギラしたイケオジだった。通りで。彼は慶応義塾大学出だった。お互い塾員と塾生だと知ると距離がグッと縮まった。しかも私のクラスメイトが入ってる航空部のOBらしく、航空部知ってます!というと満面の笑み。可愛い。かっこいい。慶應、繋がりが濃ゆい。
福沢支店長の小話。
・当時就航したてのフィリピン行きのチケットが売れず、ヤクザ味の人に売ってしまう。罰として同行させられた。
・修学旅行生の乗る飛行機で飲み物を出しすぎてトイレを詰まらせる
・福沢さん、フィンランド語喋れない。
・フィンランドには足の長い、カンガルーみたいな兎がいる。🐇
・フィンランドではあかりのつくものを身につけて歩いてないと事故っても歩行者責任となるらしい。
デザートのシャーベットまでデカく、福沢イケオジに優しく「無理しないで」と諭されて無理しないと決めた。
入国後、マリメッコおじさんに再びお礼を言いにいったら、少しびっくりしたような顔をすると照れていた。「楽しんでくださいね」と言われ大きくうなずくと、視界におじさんのリュックのストラップが見えた。私が大好きなモランのストラップをおじさんもつけていた。胸がぎゅっとなった。部屋に返って泥のように眠った。