日本経済は甦るのか?
1: 韓国に向かれた日本
昨年一人当たりのGDPは遂に韓国に抜かれてしまった。すでに台湾に抜かれて久しい。
これは、アベノミクスの黒田前日銀総裁以来の円安政策とっていることも原因の一つだが、すでに10年以上経過しても円安による経済効果があまりないと多くの人は思っているのではないか。
これは二つの理由がある。まず第一は黒田総裁の前の白川日銀総裁時代に各国が景気浮揚のためにマイナス金利を導入したが、日銀は「マイナス金利は効果がない」として導入しなかった。その結果大幅な円高を招き我慢に我慢を重ねていた日本の製造業が雪崩をうって海外に生産を移管したので、現在は自動車等の限られた産業しか日本国内に残っていないので円安効果は今一だからだ。
第二は研究開発の停滞だ。30年以上の経済の停滞により研究開発も停滞し新しい商品、新しい事業はほとんど出てきていない。現在企業は円安で利益が出ても投資をできずに内部留保が積みあがるばかりである。そして、内部留保の使い道として自社株買いを行っている。自社株買いというのは成長が停止した老企業が成長しているように見せかける手段だ。
2:ではどうすれば日本は立ち直るのか?
これはやはり円安政策を続けていくしかない。少子高齢化により人口が減少し需要も減少している日本では内需を期待することは出来ないので、輸出促進の円安政策をとるほかはないだろう。しかし、長年研究開発が停滞していた日本では世界に打って出ることが出来る新製品はあまり見当たらない。好調を維持している自動車産業でもEV、自動運転では世界に先行しているとはいいがたい。現在はアンチ中国とトランプ政権によるパリ協定離脱によりHYBRIDの活況により好調だが10年先は安泰とは全く言えないだろう。
したがって、この先10-20年は歯を食いしばって新製品を開発して輸出を頑張っていくしかないだろう。
3:我々の生活はどうすればいいのか?
円安はこれからも進むので輸入品の物価はさらに上がるだろう。したがって、資産はある程度はドルの資産にしておくことが必要だろう。ドル高で輸入品が上がってもドル建て資産も上がるので生活費をヘッジできる。
逆に円高の場合はドル資産は目減りするが、輸入品の物価も下がるので生活費も下がるので結果的には損はないと言える。また、金利はアメリカの方が高いので金利差を得ることが出来る。
4:政府は不動産の投機取引を規制するべき
日本は人口が減少しているのに都市部は不動産価格が急騰している。人気のある地域の不動産が上がるというように部分的にはある程度は仕方がないと言えるが全体では人口が減ってきているのだから本来的にはおかしい。原因は値上がりを期待する海外のファンドや個人、そして日本の富裕層の資金が住宅用不動産に流入したからだ。輸入物価の上昇で苦しむ国民にとっては二重の苦しみになる。
そもそも、インフレヘッジのためとはいえ生活の基本である衣食住に投機資金が入るのは許してはならないだろう。投機をするなら株とか金のような商品のみに限定して住宅用不動産のような生活に直結するものには規制を掛けるべきだ。実際に英国やオーストラリアでは投機的な不動産取引を規制する法律が制定されている。
円安により経済を活性化しようとする円安政策は国民に低金利による利子所得の低下と円安による輸入物価の上昇による生活費の上昇による不利益を強いるものであり、さらに不動産への投機資金の流入を許してさらなる不利益を強いているのを政府は一体どう思っているのだろうか?