第19回 難民映画祭


 六本木ヒルズTOHOシネマズでの「ザ・ウォーク 〜少女アマル、8000キロの旅〜」を見ました。大画面は、迫力がありますね。感想を自己流に思いの丈を書くことしかできない私が、感情を抑え込まれたように、それをできない。だから、流れを追う。
 シリア国境近くのアレッポの風景を写した後、少なくない白や薄い色の鳩たちが、編隊を組むように右へと空高く飛翔し左へと広がる。あたかも、平和と自由を希求するように。
 シリアの少女が、南アフリカの人形劇団の大きな人形がシリアから、トルコを通ってヨーロッパへ行くニュースを見て思いを馳せる。
 撮影はアマルの歩行を撮りながら、同行する劇団の人たちにインタビューし、時にシリアの少女の生活の片鱗を撮る。アマルと少女の哀しみは重なったりする。不思議さを感じる構成。アマルが少女の代わりに行っている錯覚をする。
 アマルは、少女の行けない他国の自然に、動物に、通りすがりの人々や太鼓隊や風船に心を寄せる。アマルの哀しみが伝わってくる。同行者にも、難民はいて、インタヴューに答えて、事情を語る。
 1人1人の難民に、それぞれの来し方や思いがあるのだと、一括りにはできないことだと思い至る。
 アマルを見る人々の反応も、それぞれだが、子どもたちは寄って来て、嬉しそうにアマルの手にさわる。そのさまは、ディズニーランドでミッキーマウスに出会う子どもたちのようだ。特に、難民キャンプの子どもたちは「行かないで。ずっと、ここにいて。」という。ホッとしつつ、安心と安全を奪われているのだと愕然とする。
 少女の心のつぶやきが映される。老いを感じる少女は、子ども時代を既に奪われているのだ。
 同行者の1人は、1年半ぶりにご両親とビデオ通話し、あまりの変わりように知っていた両親と結びつかず、戸惑っていた。再び会える日は来るのだろうか。
 美しい映像に声だけが聞こえるインタビュー場面。
海を小船で渡るシーンでは、多くの人が命を落としたと。水をかい出す人もいる。なぜか、出発後の浜に置いてあるいくつもの靴。
 イタリアにアマルが着いた頃、少女たちは教科書もない授業で宗教はキリスト教もあると教わっている。パスポートが欲しいとつぶやくアマル。そして、フランスでパスポートをもらう。難民はもらえないのだ。難民へのインタビュー。
 シリアで、子どもたちは、劇場だろうか、サイコドラマのように山や見たことのない海を作って楽しそうだ。
 そして、少女の叔父家族が見つかり、少女と女の子が海の波打ち際ではしゃいで遊ぶ。ホッとした。
 

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