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唯一無二の対極

小学生の頃ひょんな事から運動会クラス女子対抗の
応援合戦の総指揮 総監督をすることになった
放課後遅くまで当時流行ったYMCAの替え歌に
ボンボンを持って練習に励み当日の運動会は
そっちのけで楽しみにしていた
クラスメイトに”監督監督”と呼ばれ頼りにされ
恥ずかしながら  嬉しかった  やりがいを感じていた

ところが…
運動会当日 私は風邪をこじらせ休むことになった
あくまでも監督 主役は私じゃないけど 
ほんとは這ってでも行きたい晴れ舞台
なのに 私は その場に立つことは出来なかった
応援合戦は大丈夫かな?
みんなちゃんとできるのかしら?…
訳のわからない悔しさを抱え込んで私は布団の中にいた

次の日学校に行くと
残念だったね~と同級生達は笑っていた
同級生達の視線はもう次のイベントへ向かっていて
過ぎた運動会の応援合戦なんて過去の遺物のような
ものだった
スマホやビデオカメラを当たり前のように
個人が持っている時代じゃない
思い出は各自の胸の中
そう割りきるしかなかった
積み重ねた練習  繰り返した打ち合わせ
1人本番を知らず自分の中に残ったわだかまりは
未消化なまま 全てはいつのまにか終わり
私は1人取り残されていた
必要と言われたかった
あなたのおかげと言われたかった
なのに私はその場に居ることが叶わなかった
指揮を取ったり合図を送ったり
総監督は 一体 誰がしたのだろう?

なぜか頑張れば頑張るほど 期待すれば期待するほど
その本番に居合わせない私
おいしい場面は いつも 知らない誰かが
 かっさらっていく

人には常にスペアがいる
私がいなくても交代要員はいくらでもいる
なのに世の中は意図も簡単にオンリーワンだの
かけがえのない存在だの 代わりはいないだの
唱っている
いやいや 代打はいくらでもいます
私がいなくても世の中も家庭も職場もグルングルン
まわってまーす♪
監督不在でも応援合戦が無事に楽しく
終わったように…

特別な存在  認められた存在   一目置かれた存在 
満たされない承認要求は あの頃のまま
誰にも振り向いてもらえない心を今日も自分で慰めよう

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