変声珍語 「港社長のこと」

フジテレビが燃えさかっている。

ことの発端となった中居正広もまさか、自分のやらかしたことがキー局の命運を左右することになるとは夢にも思っていなかっただろう。

ところで、この件でもうひとつ不思議なのが、フジテレビを窮地に陥れているのが、当の社長だということだ。

たぶん、港浩一社長は、今回の出来事が、なぜ自社の存続に関わる事態になっているのか、なぜそんなに騒がれるのか、きちんと理解できていないのではないかと思う。

港社長がバラエティ畑の出身で『オールナイトフジ』『夕やけニャンニャン』、とんねるずのもろもろの番組にディレクター、プロデューサーとして関わっていた人物で、いわばフジテレビの黄金時代をつくった一人であることはよく知られている。

そんな港社長にとって、今回の問題は「テレントがその場のノリでやっただけじゃん? やり過ぎはまずかったかもしれないけど、ここまで騒がなくても」という、いわば究極のバラエティ思考で捉えているのではないかという気がしてならない。

そしてフジの黄金時代の成功体験によって「なんだかんだいっても、みんな結局フジテレビにはさからうはすないよな」という強烈な自負があり、先日の、まるで地方局のCMをみているような謎のテロップつき静止画会見で問題ないと判断したのではないか。

昨日のフジ・メディア・ホールディングスの臨時取締役会に関するニュースを見ていると、ホールディングスは完全に港社長を見限っている印象を受けた。

人間にとって成功体験は必要だが、そのときの思考の枠組みのままでいることがいかに危険かよくわかる。

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