改正点
令和5年入管法改正は、1. 難民に準じて保護すべき者に関する規定(補完的保護)の整備、2. 令和5年度在留特別許可の申請手続の創設、3. 収容に代わる監理措置の創設、4. 難民認定手続中の送還停止効の例外規定の創設、5. 罰則付き退去命令制度の創設を内容とする。(入管庁:「改正法の概要(PDF)」
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 紛争避難民のみならず、国籍国等に帰国した場合に生命の恣意的な剥奪、拷問等を受けるおそれがある者や残虐な取扱い若しくは刑罰を受けるおそれがある者、又は強制失踪のおそれがある者など、真に保護を必要とする者を確実に保護できるように努めること。
二 難民等の認定申請を行った外国人に対し質問をする際の手続の透明性・公平性を高める措置について検討を加え、十分な配慮を行うこと。
三 難民審査請求における口頭意見陳述の適正な活用を進めるとともに、難民認定に関連する知識等を十分に考慮した上で、難民審査参与員の任命を行うこと。
四 送還停止効の例外規定の適用状況について、この法律の施行後五年以内を目途として必要な見直しを検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずること。
五 送還停止効の例外規定を適用して送還を実施する場合であっても、第五十三条第三項に違反する送還を行うことがないよう、送還先国の情勢に関する情報、専門的知識等を十分に踏まえること。
六 「難民の認定等を適正に行うための措置」の実施に当たっては、令和三年七月に国連難民高等弁務官事務所との間で締結した協力覚書に基づき適切な措置をとること。
七 難民の認定等を迅速かつ適切に行う当たって必要な予算の確保及び人的体制の拡充を図るとともに、難民調査官、難民審査参与員など当該認定等に関与する者に対して、必要な研修を行うこと。また、研修の成果が実際の難民等の認定実務に活かされるよう、研修の内容および手法の改良に継続的に取り組むこと。
八 難民該当性判断の手引のみでなく、事実認定の手法を含めたより包括的な研修を実施すること。さらに、実際の難民認定実務における難民該当性判断の手引の運用状況を踏まえつつ、関係機関や有識者等の協力を得て、同手引きの定期的な見直し・更新を行い、難民該当性に関する規範的要素の更なる明確化を図ること。
九 国連難民高等弁務官事務所との協力覚書のもと、難民調査官の調査の在り方に関するケース・スタディの取組をより一層強化し、難民認定制度の質の向上に努めること。
十 最新かつ関連性及び信頼性のある出身国情報の収集を行う体制を整え、とりわけ専門的な調査及び分析に必要な予算及び人員を十分に確保すること。日本における難民認定申請者の主な出身国や申立て内容に関する出身国情報を取りまとめて、業務に支障のない範囲内で公表するとともに、難民不認定処分を受けた者が的確に不認定の理由を把握できるよう、その者に対する情報開示の在り方について検討すること。
十一 監理措置制度を適正に活用し、収容が不必要に長期にわたらないようを配慮すること。
十二 管理措置・仮放免制度の運用に当たっては、監理人と被監理者の信頼関係及び関係者のプライバシーを尊重するとともに、監理人に過度な負担とならないよう配慮すること。
十三 健康上の理由による仮放免請求の判断の際には、医師の意見を聴くなどして健康状態に十分な配慮を行うこと。
十四 在留特別許可のガイドラインの策定に当たっては、子どもの利益や家族の結合、日本人又は特別永住者との婚姻関係や無国籍性への十分な配慮を行うこと。
十五 「外国人との共生社会の実現」を推進するため、出入国在留管理庁の予算・組織・体制の在り方について検討すること。
附帯決議を受けた対応
・在留特別許可のガイドライン改定(令和6年(2024年)6月10日運用開始)
・出身国情報の収集体制強化・情報開示