純喜のバンドが怪獣の花唄を歌うまで
大学で学年跨いで組んでる珍しいバンドやってて人気もあって関係者にも目付けられてたのに純喜が急に「俺バンドやめるわ!普通に就職するし!」っていつものカラッとした笑顔で言い出して解散、大して面白くもないWEBデザインの会社で働く景瑚くんに大夢くんから急に連絡くるところから始まる映画
純喜くんは卒業を待たずして何故か学校にも来なくなって、しばらくはいろんな人が人気者だった純喜にあの手この手で連絡を取ろうとして大騒ぎだったけどバンドのメンバーも全員卒業して、"純喜先輩"のファンクラブもなくなって数年後
大夢くんは音楽を諦めきれなくて音楽関係の仕事(裏方)してて、その伝手で楽器屋さんに(昔界隈では有名だった)純喜に似てる人が来たよって聞いたからとりあえず景瑚くんに連絡して飲み行くんだけど、バンドの話したらもう悲しい思いをしたくない保守的な景瑚くんに「俺はいいよ」って言われて「でも!」「なあ、もう昔のことだろ?俺たち大人なんだよ」「…そう、だよな」で悲しく笑う大夢
その日は思い出話しながら楽しく飲んで解散したけどどうしても諦めきれない大夢くんは今度は翔也くんに連絡、フリーターの翔也くんは優しさetc.故に先輩である大夢くんを無下にできなくて「みんながやるなら…」「それ、バンド始める時も聞いたね。あと、終わる時も」意地悪に笑う大夢と困ったように目を逸らす翔也
一方あの日から楽器背負ってる人や楽器屋さんがやたら目に入ってしまう景瑚くん、仕事でいつも以上にミスを繰り返して怒られまくるしそんな自分にイラつく日々。「お前の代わりなんていくらでもいるんだよ!」「……んません」って上司の説教を聞き流しながら思い浮かぶのは大学入りたての春の日、「お前、ドラム出来んの?」と笑う懐こい純喜の顔
「代わりが、いないやつって、いるんすかね」呟いた景瑚くんの声は誰にも聞こえてなくてその日も怒られながら仕事こなして帰宅したら部屋の前に何故か大夢くんと翔也くん。イライラしてる景瑚くんは怒りそうになるんだけど「も〜おそーい」「タコパしよ!早く開けて!」って鍵奪われて部屋上がられて「ボウルとかないんすか?」「景瑚んち汚ー!彼女とか来ないの?」とか言われ放題で対応するのに一杯一杯な景瑚と実は事前に話し合って追い出されないように喋り続けるって決めてるから内心バクバクの2人。
学生時代みたいにワイワイタコパしてお酒飲んで、お酒弱いからいち早く酔っ払った大夢くんが絶対今じゃないタイミングで「景瑚お願い!バンドやりたい!」って言い出してめちゃくちゃ焦る翔也くん、景瑚くんも酔ってるから「だから!」って声荒げたら「わあっまってまって!これ!見て!」って急いでスマホで動画見せてくる翔也くん
それは一緒にバンド組んでた香信くんがライブハウスで満員のお客さんを前にしてキーボード弾いてる動画で、動画の中の香信くんは笑顔なんだけど3人にとってはすごく違和感があって、大夢くんが畳み掛けるように「ねえこれ、こーしんがやりたいことだと思う?こーしんはこんな顔で笑う子じゃないよ、おれほんとに、みんなのことだいすきだから、だから、」って泣きそうな顔で言うから全部を察する景瑚くん
大夢くんの泣き顔に弱い景瑚くんは「わーったよわかったから!」って折れるしかなくて「…けぇごありがと」って微笑む最早策士としか思えない大夢くんと安心したらお腹空いてきてたこ焼き再開する翔也くんと観念した景瑚くん3人で本格的な作戦会議して、まずは香信くんに連絡取って4人で集まろうってなって解散。
とりあえずやると決めたらとことんやる景瑚くんは次の日ばっちりスーツで1番に出社、そんなこと今までないから目を丸くする上司に辞表つきつけて「マジで代わりがいねーやつがいて、俺、探しに行かないといけないんすよ」って訳わかんないクサい台詞残して頭下げて会社辞めちゃって、後輩の翔也くんは「ほんとに馬鹿ですね」とか言いながら自分もバイトやめてて一緒に純喜くんの手がかり探しつつ大夢くんと3人でスタジオ借りてたまに練習する"あの頃"みたいな日々
後輩だからすぐに会ってくれるけど、もう別のバンドでお仕事してる責任感もあってバンド再結成にはかなり消極的な香信くんは「俺、ほんと楽しかったっすよあん時。先輩たちとやれてほんとよかったっす」ってやんわりまとめて席を立つ。実は解散後も学年的にサークルに居続けて腫れ物扱いされたりあらぬ噂が先輩の耳に入らないように裏工作したり動いてくれてたから複雑な思いもあって、けど心のどこかで今の活動に納得いってないから「…河野先輩がいないと、無理っすよ、あのバンドは、出来ないっす」ってどこか縋るみたいに言い残して深々と頭下げて出てく香信くんと見送るしかない3人。
手当たり次第昔の知り合い当たっても「河野純喜…?あー!いたね!私めちゃくちゃ好きでさ〜…え今?知らないなー」って人ばっかで全然情報得られなくて行き詰まってる時に昔よく行ってた楽器屋さんの前で見慣れた人影見つけて必死で人混みかき分けながら駆け寄る景瑚くん、息切らした景瑚くんに気付いた純喜くんは一瞬だけ驚いた顔してでもいつもの笑顔で「えー?!おわー、久しぶり!けえごやん!」って笑って、「おまっ…俺が…っどんだけ探して」ってけごくんが捕まえても表情崩さないトイプーの純喜
急いでみんなに連絡してファミレスに集まる翔也くんと大夢くん見て「わあ〜懐かしいなあ」ってニコニコする純喜くん。「俺ら、ずっと探してたんだ「ほんま?嬉しいわあ」「純喜くん、マジで「翔也変わらんなあ、俺のハンバーグ食う?」って食い気味に話題さらってく純喜くんに、真剣な表情で立ち上がった大夢くんが「お願いがあるんすけど」って切り出す(続く)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?