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徒然日記|炊飯器感謝

 この家に引っ越してきたとき、家電がなかった。正しくは、トースターとすべてがやんわり凍ってしまう冷蔵庫しかなかった。そののち、段階を踏んで電子レンジが投入され、きちんと冷凍庫と冷蔵部分が分かたれた冷蔵庫がやってきたのだが、その際涙が出んばかりに感動したことを覚えている。特に感動したのは電子レンジで、これさえあれば、すぐ温かいものが食べられるという有難みは冬だったこともあり身に沁みた。
 そして今日、思わず「ありがとうね、いつも」と声をかけてしまったのが炊飯器である。
 一人暮らしは炊飯器はいらない! 土鍋で炊け! という主張もあるが、私は炊飯器という文明の利器に甘やかされている。
 炊飯スイッチを押してしばらくして、炊飯器からもくもくと湯気があがっているのを見るとわくわくする。あと何分かしら、と何度も何度も表示された時間を覗き込み、そわそわしてしまう。ぴー、と機械にしてはやわらかい音が鳴って、蓋を開ける瞬間の甘美なことといったら! 炊き立てのつやつやなご飯とそれにともなう湯気がむわっと顔にまとわりついてくる。ほかほかご飯というのは、それだけで幸せの象徴である。
 今日も、私はほかほかのご飯をお腹に収め、湯気のようなため息をつくのである。

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