小学館が新たなムック本を世に送り出した件
はじめに
お久しぶりです。初手から内容によっては各方面から叩かれそうなタイトルを付け、書き出しております。
今回のネタは「小学館、6月13日に大人の女性に向けた新ムックシリーズ(re Shine)を創刊する」という記事についてです。
この記事と新ムックシリーズに関して書く前に、現在の日本における雑誌事情を説明した方が、この後書いていく上で説得力のある説明になると思ったのでそちらを先に書いていきます。
日本の雑誌事情
とある書籍によると雑誌市場がピークに達したのは1997年、販売額はおよそ1兆5644億円とのこと。しかしその後は前年割れが続き、2021年には販売額が5056億円にまで減少しています。
最新の記事だと出版科学研究所がPDFで資料を公開されていますが、2023年における雑誌の推定販売金額は4418億円。僅か2年で700億円近く減少しています。ピーク時と比較すれば目も当てられないくらいには悲惨と言えるのではないでしょうか…。
また雑誌における内訳をみると、1997年時点でムック本の販売額はおよそ1355億円となっていますが、2021年時点では537億円とピーク時のおよそ3分の1にまで減少しています。週刊誌や月刊誌、コミックなどと比較して元からかなり少ない状態ですが、ムックは定期刊行される雑誌とは異なるのでこの辺りは仕方ないと言った感じです(仕方なくはない)。
こちらの文章を書くにあたり参考にさせていただいた書籍及び資料(2024年5月9日閲覧)↓
こんな時代にムックとは言え出版する意味はあるのか
ここまで見るといくら定期刊行されないムック本とは言え果たして出版する意味があるのかと勘ぐってしまいます。
ですが、今回6月から年に2、3回刊行される「リシャイン」はターゲットとなる年齢層が50代から60代の女性となっています。
正直この辺りで気付いた方もおられるかもしれませんが、50代から60代というのはちょうど団塊ジュニア世代、つまり第2次ベビーブーム世代なんですよね。
第2次ベビーブームは一応1971年から74年の出生数が200万人を超えた年に生まれた方々を指すことが多い言葉だそうです。
またグラフをみると別にベビーブーム前後もそこまで出生数が落ち込んだ時代ではないため、買ってくれそうな人はかなりいると考えられます。
流石に団塊の世代、つまり70から80歳を対象とした雑誌はいくらベビーブームの年であったとしても出版に踏み切れないでしょう。まだまだ元気な方もいるとはいえ多くは買い物が困難になる年齢です。ネットショッピングをしようにもシステムが分からず購入すらいけない、そもそも情報が伝わるかも未知数のためこちらを対象にした出版物を出すのはたとえ定期刊行でなかったとしても無理だと思います。
その点50~60代であれば多くの人が子育てを終え、既に子供が自立・あるいは自立し終えて一人暮らしをしているという人が比較的多い世代であると考えられます。
それに加えて
・一人の時間が若い時と比べて比較的減る中でファッション、美容、ライフスタイルなど残りの時間を有意義に楽しみたいと考えだす人が出てきてもおかしくない。
・対象となるのは第2次ベビーブームで生まれた世代。現在のように出生数が100万人をきっていた訳でもないため年2、3回分であれば購入のハードルも下がるかもしれない。
以上の点から雑誌不況と言われる中で今回のリシャインを出版するに至ったと個人的には考えています。
話のネタになった記事(2024年5月9日閲覧)
終わりに
個人的には20年もてば良い方だと思っています。年2から3回の刊行で60代であればまだまだ体が動くという中でも本に税込みで1600円近く出すのは厳しいのが現状でしょう。増税などでますます財布の紐が固くなる中で、果たして買ってくれる人がどれだけいるかは刊行されてから2年ないし3年ほど経たないと何とも言えないでしょうけど。
おまけに10年もたてば現在のネットショッピングが全く異なる姿形になっていたとしてもおかしくありません。日々体力などが減少する中で書店を訪れたりネットショッピングで購入できる人が果たして何人いるかということになってくると思っています。そもそも私も含めてネットで検索し取捨選択できる世代の人は今回のような雑誌を買っていない人も多いのではないでしょうか。
そう考えると20年もてば良い方だと改めて思います。まあ5年後には新たな価値観が生まれて雑誌こそコスパ最強だ!みたいな風潮になっているかもしれませんが現状、この雑誌不況を打破するのは無理だというのが正直な感想です。