【閲覧注意?】宮野シンイチ著『夜逃げ屋日記』(KADOKAWA刊)が色々と考えさせられる件【閲覧推奨?】
はじめに
いつもは漫画アプリで発見した面白い作品を紹介していますが、今日は少し異なります。
今回は偶然pixivで発見することができた、宮野シンイチ氏著『夜逃げ屋日記』(KADOKAWA刊)です。単行本は現在第3巻まで出ておりますので興味がある方はぜひ購入してみてください。最後リンク先を紹介する場所にAmazonリンクが掲載された宮野先生のXを載せておきます。
Xでは宮野先生と社長とのほっこりLINEも見ることができたりしますのでそちらも合わせて読んでいただけるとより本作についての理解が高まるかもしれません。
※念のために言っておきますけどここにあるAmazonリンクは宮野先生のXにあるリンクを踏んで掲載しているので僕には関係ないですからね!(笑)
通称・夜逃げ屋とは?
夜逃げ屋とあるが別に絶対夜に逃げる訳ではない。実際に【第2日目】の車内における社長と宮野氏との会話で社長が、「夜逃げなんて分かりやすいから言ってるだけで逃がせりゃなんでもいいんだよ」と快濶に述べている。朝だろうと昼だろうと夕方だろうと、依頼者・夜逃げ屋双方にとって最適な時間帯に業務を遂行し、依頼者、あるいは依頼者とその家族や友人にとっての新たなスタートラインに立ってもらう重要な1日に立ち会うのがこの「夜逃げ屋」と言う仕事だと作品を読んでいて感じた。
具体的な業務内容については主に荷物の運び出しや住所変更手続き、不用品買取・ごみ処分、引っ越し先や仕事先の紹介、盗聴・GPSなどの防止など多岐にわたる。参考にさせていただいたのは東京都・豊島区に社を構える夜逃げ屋TSC様の公式HPだ。だが、実際に本作でも荷物の運び出しや住所変更手続き、引っ越し先や仕事先の紹介・斡旋、盗聴・GPSの防止などについて描かれているため、業務内容について大きな差は無いと思われる。
本作における盗聴器などについての話:「第23日目 誠意ある対応」
あらすじ
持ち込み13回、担当編集は一度もつかず作品は全ボツ。自分が何を描きたいのか分からなくなっていたある日、テレビで紹介されていた通称・夜逃げ屋に興味を持った漫画家の宮野氏。そこに映る夜逃げ屋の女性社長が印象に残り、仕事内容などに興味を持った宮野氏はある日、その会社に電話をする。電話に出たのはあの時の女性。躊躇いながらも宮野氏は、「あなたの漫画が描きたいんです!取材させていただけないでしょうか!?」と力強く述べる。無事、社長に取材することとなったが、果たしてどうなるのか…?
感想や思うこと
少なくとも本作を読んでいて楽しいという気持ちが芽生えることはほぼ皆無だと思います。依頼者が無事に新たなスタートをきることができて良かった…と思うことはあっても。
なぜなら本作の巻数が出れば出るほど、日本のどこかでDVなどに苦しんでいる人がいることの証明になってしまうからです。
また、登場人物の大半は身体的・精神的、あるいはその両方を家族・恋人などによって痛めつけられており(一部流血シーンや人によってはトラウマを思い起こさせるような罵詈雑言が並べられていたりもするため閲覧注意としました)、最後の希望かもしれないとして夜逃げ屋を頼っている実情があります。事実、本作の【第22日目 ストーカー】でも紹介されていますが、夜逃げ依頼者の約70%がモラハラや虐待を含むDVから逃れるために夜逃げ屋を利用しています。また、夜逃げの理由がDVなのは15年以上不動の1位らしく、こんな不名誉な1位がまたとあろうか…。ちなみに2位はストーカー被害であり、こちらも全体の20%前後を維持し続けており不動の2位となっているそうです…。こんなに悲しいグラフはそう見たこと無いですけどね…。
ですが夜逃げ屋に頼れるだけの考えやお金を持っているのであればまだマシな方なのかもしれません。これは人によりけりですが、場合によっては本当にお金もなく、貴重品すら持ち出すことができず、着の身着のままで1人脱出するケースも少なくないでしょうから。なので本作をきっかけに自分が取れる選択肢の一つとして知っておくことは必要だと思いました。
一方、どうしても裏家業という側面もあるためか、彼らの最後の願いに目を付け、お金や身分証明書、貴重品だけを持ち出してそのまま姿をくらます悪徳業者がいるのもまた事実でしょう。本作の第41日目「悪化」でも依頼者の友人が社長や同行者である宮野氏に対して「詐欺師じゃないかと疑っています」と述べる場面も描かれています。タイトルにもある通り、結果的には友人の発言が間違っていたことになるのですが、個人的にはかなり信頼度が高い人物でもあります。誰でも彼でも疑うのも良いことではありませんが、かと言っていきなり相手の事を盲目的に信頼することも私は危険だと思っています。41日目からそれ以降の話を読んでいただけると、結果的にこの考えや依頼者とその友人が、あの場で下した判断は間違っていたのかもしれません。ですが、それはあくまで結果論です。相手を俯瞰的に見ることができるその眼は失わないで欲しいとも感じました。後医は名医と言われるように、友人を批判できるのは最初から本作に登場する社長が、いわゆる悪徳業者ではないと分かった上で見ることができているからです。
では、今回もここまで読んでいただきありがとうございました!
※前回紹介した作品のnoteをXに投稿したらあろうことか作者様ご本人に届いていたようです…(笑)ありがとうございます。
リンク先(2024年8月27日閲覧)
夜逃げ屋日記第1話(宮野シンイチpixiv)
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