本当の怪異は、貴方のすぐ近くにある 『ある設計士の忌録』(著:鯛夢)朝日新聞出版刊
はじめに
もう1週間近く投稿していないことを知って恐怖に慄きました。時間が経つの早すぎじゃないですか?小学生の頃「早く終われ~早く終われ~」と念じていたのが懐かしいです(笑)
恐怖に慄いたことをもう1つ。「地団駄を踏む」という言葉がありますが、私は生まれてから24年間(11月で25歳)ずっと”じたんだ”と読んでいました。
正しくは「じだんだ」と読むそうですがこれをとあることがきっかけで調べて知った時は本当に自分の愚かさを呪いたくなりました。
思い込みは怖い、今なら校閲や出版業界に携わる方が発するこの言葉の重みがとてもよく分かります。
ですが、調べたことによって長年間違った知識として覚えていたものをこれからは堂々と人前で発信することができる訳ですから、その点については良かったのかなと思っています(そうでも思わないと羞恥心で死にそう)
また”じだんだ”にも「地団駄」と「地団太」という二つの漢字があります。前者は諺で見かける機会が多いのでご存じの方も多いでしょうが、後者はどうでしょうか。ちなみに僕は知りませんでした…。
今回紹介する作品
まだまだ暑いですねー…ということで今回紹介するのが鯛夢氏著の『ある設計士の忌録』(朝日新聞出版社刊)です。
タイトルに忌憚の忌を使っているところにセンスを感じました(謎の上から目線)。
本作を知った経緯はグノシーというニュースまとめアプリがあるのですが、そこで簡易的に紹介されていたページを見て元記事を(広告にイラつきながら)読み、ピッコマで探してみたら発見した。と言う感じですね。
物語は主に東京の工務店を営む男性が体験したり見聞きしたことが軸となっています。
そして、本作を語る上で欠かせない登場人物が、”先生”。キーパーソンと言って差し支えないでしょう。作品内の紹介によると”先生”は「設計の仕事に携わる中で目に見えない力を操る術を身につけた人」だそうです。
1話では江戸時代から存在する石造りの蔵を解体したいという依頼主の要望により、現状確認や見積額を提示すべくF県S市に当該工務店を営む男性がF県S市にあるお屋敷を訪ねる所から始まります。
普通であれば男性がしっかり仕事をしているかどうか、家主であれば尚更確認のためにも近くにいるのが普通でしょうが、依頼主は何故かその場を逃げるように立ち去っています。
男性とその妻は疑問を感じながらも蔵を確認し仕事に取り組みますが、妻が蔵の収蔵目録を発見しました。そしてとあるページに目をやると、「弐階 箱」とのみ書かれています。
果たして箱の正体とは?中身は何なのか?そして依頼主はなぜその場を逃げるように立ち去ってしまったのか…?
感想だったり
物語がどこまでフィクションでどこまでがノンフィクションなのか、私たち読者側は想像することしかできませんが、本作には科学技術が発達した現代の話とは思えないほど、常人には理解しがたい話が次々と登場します。
2ch(現5ch)の有名な洒落怖話・コトリバコのようなモノも登場するため当時を知る方はあの頃の記憶がよみがえってくるかもしれません。
ですが、「因果応報・分不相応な繁栄を受けてきたツキが回ってきた」「モノに想いを込めると独特の磁場が形作られた呪物になる」といったセリフもあるように、人間慎ましく、分相応に生きるべき、と言う当たり前のようで難しい教え?も描かれていることから、全てが怖い話、と言う訳でもなく、現代に通じる考えが表現されている点が本作の魅力だと私は思っています。
現在単行本が6巻まで刊行されているほか、ピッコマでは5巻まで無料チケットで読むことができるので興味がある方はぜひ読んでみてください。
HONKOWAでは他にも『強制除霊師・斎』などの面白い作品が沢山ありますのでそちらも併せて読んでいただけるととても嬉しいです。
では、ここまで読んでいただきありがとうございました!