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#Daily 11/15/2023


おはようございます。
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昨日は米国時間まで重要イベントの米国物価指標を前に市場は米国時間まで全体的に動きがありませんでした。ただ、米CPIが公表されると大きく動いた一日でした。

米金利は大きく低下、株式市場は金利低下に反応し大幅上昇。為替市場でも同様の理由でドルが大きく売られ、ドル円は151円台半ばから150円台前半まで水準を大きく切り下げました。

白線:ドル円、緑線:SP先物、オレンジ線:米10年債利回り、赤線:ドル指数、青線:ユーロドル ※チャートの表記上の都合で本日の日付となっていますが、前日の日付の動きと読み替えて下さい

肝心のCPIはどういう結果だったかというと、こんな感じ

(Bloomberg)

総じて市場の予想よりも前月対比で弱かった(価格の上昇率が低かった)ことがわかります。これに市場が大きく反応した格好です。物価指標自体は米金融当局が目標とする2%を上回っている状況には変わりませんが、凡その場合、指標発表直後のリアクションは数字の絶対値よりも市場予想対比どうだったかで反応しがちです。

さらに、今回の統計ではサービス関連項目の鈍化の兆しも確認できた点で金融当局にとってはポジティブな内容になっています。FRBおよびパウエル議長は従前よりサービス業のインフレが低下しないことには物価を基調的に下げることは難しいとのメッセージを繰り返し発してきました。

以下はFRBがCPI項目の中でも注目する”スーパーコア”と呼ばれるものです。内容はコアのサービス項目から住居費関連項目を除いたものです。今回の数字は9月の数字(10月発表)の約3分の1程度の上昇幅となっており、これは7月分以来の前月対比での伸びの低さとなっています。つまり、傾向として物価が基調的に鈍化しているのが見えた、、、ような気がするということです。

白線:FEDが注目する米国CPIスーパーコア項目の動き 
(Bloomberg)

直近のFOMC後から米国金利の低下はCPIを前に足踏みしていましたが、昨日で一気にダムが崩壊したようにもう一段低下。

米国債金利と前日対比変動幅
(Bloomberg)

この数字がいかに大きいかというと、ここ最近の1日の値幅の平均がおよそ5~10bp(ベーシスポイント、0.01%)というとイメージがつきやすいかもしれません。以下は対前日比の動きと、直近の米債の取引レンジを図示したものです。

米債利回の対前日変化
-ベーシスポイント(0.01%単位)表記
-点線はそれぞれ対前日比平均の14日平均、50日平均、100日平均、200日平均
Bloombergデータをもとに当方作成

取引される水準も直近のレベルから大きく離れ、強含んでいます(債券利回り低下、債券価格上昇)しています。

米債利回りの取引レンジ
-米債2年(左上)、5年(右上)、10年(左下)、30年(右下)
-赤線が現在の水準
Bloombergデータをもとに当方作成

こういった大きな動きを見て金融市場はすでに来年3月からFRBによる利下げの開始を織り込んでいます。根拠は実質金利の高止まりに対して当局が対処をすると踏んでいるからです。実質金利の詳細な説明は以下をご覧いただきたいですが、ざっくり言うと”インフレの影響を除去した金利”=(名目金利-期待インフレ率)となります。

足元FRBがかなり急速なペースで利上げを続けてきた結果、今度は物価の低下により実質金利が急速に上がっていく可能性があります。インフレが急速に低下していけば行くほど、経済にかかるブレーキが強くなります(実質金利が上昇)。つまり、意図せず景気を腰折れさせるリスクを背負うことになります。そうしないためにできるのは、インフレ鈍化のペースに合わせて実質金利を下げる=名目金利を下げる=利下げということになります。

当局はインフレを退治することを強く表明し続けていましたが、実際にはインフレを潰しすぎるということも恐れているはず。コロナ以前でどれだけ米当局がインフレを起こすために努力していたかを思い出してみてください(日銀の苦労を考えてみてもいいかもしれません)。

そう考えれば確かに金利を下げるインセンティブはあるのかもしれませんし、市場の折り込みは正しいのかもしれません。ただ、利下げ時期についてはまだ不確定要素が強いので、ここからはこのテーマが市場を牽引、金利市場ではこの時期の修正が市場を動かす材料となりそうです。

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