私の好きな文章1 アンナ・クィンドレン

 ここでぜひ、わたしがクィンドレン家の金言と考えている言葉を紹介しておきたい。すなわち、自分が大好きなものを作れば、決して失敗はない。わたしはまずいファッジやまずいフェットゥチーネ・アルフレードは作れない体質だ。けれども、七面鳥はわたしの大好物じゃない。好きですらない。わたしが食べるのは、詰め物を覆っている背中の大きな三角形の皮のところだけ。義理の弟とわたしは長年、この部分をめぐって争ってきた。今はお互い子どももいる身だから、そんな子どもっぽいまねはしない。そこの部分を半分に分け、大きいほうを取ろうと争っている。
「七面鳥騒動の顚末」(アンナ・クィンドレン・廣木明子訳『グッド・ガール、バッド・ガール』所収)


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