35 未来の地球と辺境の星から 趣味のコスプレのせいで帝のお妃候補になりました。初めての恋でどうしたら良いのか分かりません!
<4章:解決>
No.100 ばっくれるなら(まさみと牡丹)
豪華な結婚パレードが終わって、そのあと城内で開かれた盛大な披露宴は宴もたけなわだった。
牡丹とまさみは、ナディアからの報告を画面越しに見ていた。
「さーて数世紀続いた黒の秘密結社は、この手で始末したわ。」
指にフッと息を吹きかける。そして炎を出して辺りを焼き払い、軽快に格好よく去って行くナディアに、感嘆のため息をついて見惚れていた。
画面はどうやら人間がだいぶ後に発明したものらしい。特別にナディアに贈ってもらったのだ。
画面から顔を上げたまさみと牡丹がいるバルコニーからは、帝と沙織の結婚式の様子がよく見えた。
幸せそうな帝と沙織はあたりに輝くばかりの光を与えていた。
「あーあ、なんか妬けるー」
「本当に嫉妬しちゃうわ」
まさみはため息をついた。
「やってらんないわね。幸せそうすぎるわ。」
牡丹も美しい振袖姿のまま、頬を緩めながらも気だるそうに言った。
「昔の地球にいってひと暴れする?」
「この前のあの話?」
「そうね。いいわね」
「私もなんかゲームに参加して、遥か昔の人間の二十一世紀あたりでバックれようかな。」
「ばかね。」
「人間はその2世紀後ぐらいが最高よ。最高潮。ばっくれるならそこね。」
「だねー!」
「あはは。」
「うふっ」
No.101 負けない忍び(沙織)
私は誰にも負けない。私を貶めようとする者はこれからもたくさん現れるだろう。
私を馬鹿にしたり、軽く見たりする者はこれからももたくさん現れるだろう。
けれども、私は決して負けない。帝をお守りし、これからも幸せに生きていくのだ。
何より私自身に恥じないよう生きよう。コスプレが好きだとしても、何かだけ特別好きだとしたとしても関係ない。私は私だ。
私がわからない者は放っておけば良い。いつかは私の方が幸せに生きていけると自分で自分を褒める時がやってくるのだから。
人を馬鹿にするものはしっぺ返しがくるものだ。私はそういうのとは距離を置いて、私の大事な人とともに幸せに生きていこう。
こうして、ひょうんな事から帝のお妃候補になった私は、帝と恋に落ち、敵のクーデーターを阻止することに成功して帝の妻となった次第でございます。
完
まさみと牡丹
いえいえ、私の大好きなまさみと牡丹のお話の続きも。
「昔の地球にいってひと暴れする?」
「いいわね」
このやりとりの後、しばらくして私の所にカメラが送られてきた。二十一世紀からだ。
牡丹が丸の内OL風の姿をしながら颯爽と歩いているシーンがあった。
最後の瞬間、「田中さーん」と颯介に言われて駆け寄られている地味なメガネをかけた女性がまさみである瞬間が映った。まさみがカメラに向かってこっそりピースをして、映像は終わった。
まさか、あの颯介の彼女になったのでございましょうか?まさみさんは。
まさみと牡丹は、二十一世紀の地球に行って大暴れしているようだ。
大いに楽しんでいるようで何よりだ。
最近、姉の琴乃は五右衛門さんといい感じだけれども、先のことは分からない。
とどのつまり皆、元気だ。
皆、負けない忍びばかりで何よりだ。私も決して運命にもいけすかない奴にも決して負けない。
完
その後
初夜の夜
ついに初夜のそのときを迎えた。
私は帯を解かれ、帯がゆかにスルスルと落ちる音を聞いていた。浴衣の前が開けられて、浴衣はそのままはらりと床に衣ずれの音をさせて落ちた。
帝の口づけが止まらない。
そのままベッドに抱えあげられてふわりとおろされた。
帝が私の胸に手をかけて、そのまま唇が近づいてくる。
いつの間にか帝はご自分の浴衣も脱ぎ捨てていてほぼ裸の帝の体が近づいてくる。
姉が入ってくるのではないかと、一瞬帝がためらうのを私は感じた。
姉は入って来ず、初夜の夜が始まった。