不妊治療の病院で、おばあちゃんに激怒した話

今日は受精卵の移植日


本日は“第二子不妊治療”の2度目の移植日です。
移植日は、赤ちゃん連れはNG。
偶然にも夫がお休みのため、我が子をお任せ。
私ひとり車を走らせ、病院へ行く予定。
“移植”自体は痛みはないのだけど、移植するための“消毒”がちょっと痛いんだよね。
とはいえ、我慢できる痛みだけれど。

というか、まず“早く寝ろ”って感じだね(笑)

保険適用となってから混雑する病院


私の通う病院は“不妊治療専門”である。
他の病院は産科などもあるのだが、私の通うところは“不妊治療のみ”だ。
保険適用になる前から人気はあったが、保険適用になってからは激増。渡り廊下のような所にも患者さんは待つほど増えた。
保険適用以前は、待合室に赤ちゃんや子連れは見なかった。私の知る限り、子どもを連れた母親を見たことはない。
保険適用となってからは、子連れをよく見かけるようになった。
残念ながら、院内に“キッズスペース”がない。
待合室で赤ちゃんや幼児がいる。
「あーあー」など声がする。
まだ妊娠前の私は、それが複雑だった。
「でも、赤ちゃんや幼児を預かることができなかったんだろうな。仕方ない」と思うようにして、携帯をいじっていた。
「こんな小さな子、保育園やご両親とか預け先見つけるの大変だよね」と納得するように自分に言い聞かせていた。

今の私は待ち時間は車で待つ

“第二子不妊治療”時の診察などでは赤ちゃんを連れて行くのだが、待ち時間は私はなるべく自家用車や駐車場で赤ちゃんと待つようにしている。なるべく院内にはいないようにしている。

理由は、他の女の人への配慮、のつもり。

私より若い人、同世代、私よりも年上…
色々な年代がいる。
皆、すごい覚悟で自分と闘いながら訪れていると思う。私もそうだったから。
私はスーパーで赤ちゃんを見るのもつらかった。
長年赤ちゃんを望んでいた夫は、テレビCMで赤ちゃんを見るのすら嫌で、すぐチャンネルをかえていた。
それほど赤ちゃんを望む人にとっての不妊はつらい。
それが不妊治療専門の病院で子どもがいたら、なおさら…。

おばあちゃんにぶちギレる私

2年ほど前、何度も何度もTryしても妊娠しない私は、ギリギリのところにいた。
「絶対くじけない!」と意気込んでいた私ですら、数年がかりの不妊治療はメンタルを削る。
前向きにTryしてた私ですら、心身ともに疲れていた。

――どうせ、妊娠しないし。――

妊娠しないのに、多額の治療費だけは飛んでいく。クタクタだった。
“どうせ今回妊娠してないし”とやけっぱちになっていたので、先生から処方されたお薬(貼り薬と飲み薬)を勝手にやめた。

待ち時間中は廊下のソファーで下を向いて、携帯をさわっていた。今日も病院は混雑していて、私の両隣にも女の人が座っている。

「お母さーーーん!」と、幼い女の子の声が聞こえてきた。
私の目の前に来た。
ワンピースを着たかわいい女の子。1人でバタバタと走れるほどの年齢のため5~6歳くらいだろうか。
女の子は「お母さーん?」と内診室を勝手に開けた。

私はげんなりした。
今は本当に、子どもを見たくなかった。
「まあ…仕方ないか」と諦めた。
次の瞬間、驚愕した。

「○○ちゃん、こっち」
おばあちゃんが女の子(孫)に声をかける。
“お母さん”ではなく“おばあちゃん”だ。
絶対におばあちゃんだ!!

おばあちゃんに呼ばれ、女の子はまた向こうへバタバタと行く。
「え?マジで?」と唖然とした。

またすぐに女の子は「お母さんどこーー?」とバタバタと騒がしくこちらへ来る。
また内診室を開ける。
お母さんがいないか探しているのだ。
おばあちゃんが呼ぶ。
バタバタ。
女の子は数度内診室を開ける。
バタバタ。
何度か続いた。

内診室は、女の人が下着を脱いで、診察のために男の先生に足を広げるところだ。
ソファーに座る女性達は皆下を向いている。

ーブチッー
キレた。
「いい加減にしなさいよ」(心の声)

女の子が向こうへ走って行く。
おばあちゃんは女の子を呼ぶ。どこかに座る気はないのか?
私はおばあちゃんの元にツカツカと歩く。

「すみません。あそこあけたので、座っていただいていいですか?」
なるべく声をおさえて言った、つもり。
おばあちゃんは驚いた顔をする。
「あ!すみません!!」と謝ってくれた。
「ちょっと…苦しいです!!」と声を極力おさえたつもりでおばあちゃんにそう言って、私はその場を去った。
私は2階の移植&採卵する階のソファーへ行った。そこしか行くところがなかったから。
そこで泣いた。

本当はおばあちゃんに色々言いたかった。
「内診室どんなところか知ってますか?足を広げるんですよ?!ここにいる皆、どんな気持ちで来てると思ってるんですか!!よくお孫さん連れて来れましたね?!」
と怒りたかったが、そこはグッとこらえた。
罪のない女の子にも一言言いたかったくらいだが、そこは幼い女の子。仕方がない。あの女の子は悪くない。
無神経なのは、母親とおばあちゃんだ。
せめて騒がしくさえしなければよかった。
騒がしくしなかったら、別によかった。
母親とおばあちゃんが悪い!
心の中でずっと罵倒しながら、声をころして泣いていた。

続く。













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