ブーゲンビリアからよみがえる記憶
鮮やかな赤紫、赤、オレンジなど、
ビビットな色合いが多いブーゲンビリア。
花は小さな白い筒状で、それを取り囲んでいるのが色鮮やかな苞。
こちらの方が断然目立ちます。
もう20年近く前のことになります。
夫の海外赴任に伴い、家族でタイのバンコクに帯同しました。
不安いっぱいで降り立った空港には独特の匂いがあり、
ムワーンと暑くドッと汗が噴き出ます。
子どもたちと共に入国審査を経て、ようやくタイに入国。
カートに大きな荷物をいくつも積み、出口へ進みます。
ゲートを出た先に、大きく手を振る夫の姿を見つけた時は、
これまでの疲れと緊張が解け、全身から力が抜け落ちる様な感覚でした。
専属ドライバーさんの待つ車に乗り込み、一路バンコク市内へ。
数か月前から夫はバンコク入りしており、
生活面を整えてから家族が渡泰する、というスタイルです。
初めての国、見知らぬ街と人々、耳慣れない言語…
異国での生活そのもの全てが未知の世界、
不安で押しつぶされそうでした。
そんな時に車窓から見えたのが、色鮮やかなブーゲンビリア。
街路樹や庭木として植えられていたり、
何でもないようなところにも、沢山咲いているのです。
日本では見られない景色に
「あぁ、本当にタイにやってきたのだなぁ…」と。
そこに暮らす人々の柔らかな笑顔、おおらかさ、
穏やかな振る舞い、ゆったりと流れる時間…
時間に追われ過ごしていた我々には、新鮮なことばかりです。
そしてワイ(胸元で合掌するタイの伝統的な挨拶)をする姿と、
タイ人の微笑みに心和んだことが、
鮮やかなブーゲンビリアと共によみがえってくるのです。
英名 Bougainvillea
和名 イカダカズラ
別名 ココノエカズラ
科・属名 オシロイバナ科ブーゲンビリア属
原産地 中南米