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着物リメイクに初挑戦

これはいつ頃の誰の着物なのか?
問いたいのだが、答えてくれる相手はもういない。


夫の母が3月に他界し、少しずつ住まいの整理を始めている。
家具、電化製品、食器類は兄弟、子どもたちが欲しいものを頂くスタイル。
桐ダンスにぎっしり収まっている着物類には手を付けられずにいた。

ある日、着物関係は全て君に任せると言われ、かなり困惑した。
小柄だった母の着物は、私も娘も着られないのだ。
帯は貰うとしても、着物は業者に引き取ってもらうしかないな…
そう思い情報を集めてみるが、段ボール数箱で二束三文だとか。


母は謡を趣味にしていたこともあり、稽古着、舞台着など
普段着から上等品まで相当数の着物、帯を誂えていた。


帰省した時は着物で一緒にお正月を過ごしたな…
自ら染色し織ったものから着物に仕立ててくれたっけ…
半衿の付け方を教えてもらいに行ったら喜ばれたな…


思い出がよみがえってくると、母の大切な品を人手に渡すのが難しくなる。
ゆっくり時間をかけて着物を見たい、という気持ちが次第に強くなり、
結局ほとんどの着物、帯、小物類を自宅へ迎え入れることにしたのだ。

だがそれらを保管する場所も必要で、母の桐ダンスを修理依頼した。
全体が黒ずみ、金具も壊れ、受け盆も割れていたが、
それらが全て再生され綺麗になり、我が家に戻ってきた時は感激した。


そしてようやく着物との対面が始まる。
桐ダンスに収める前にたとう紙を解き、着物を広げてみる。
上品な柄ゆき、色彩、正絹の質感…

衝動的に身にまとってみたくなり、簡単に着て姿見に映してみる。
いい、すごくいい。
これらを自分が着たいと思ったのだが、
残念ながら着物としては着るには丈が足らないのだ。



知り合いに相談するとリメイクを提案された。
タンクトップ、スカート、パンツ、ワンピースなど色々作れるらしい。
リメイク本を数冊ながめてみるも、独学で始めるにはハードルが高い。
まずは手ほどきを受けるべく、リサイクル体験教室を見つけ、
講座に応募し受講することに。

『着物で作るチュニック』
10時~15時 全1回
持ち物 ほどいた着物1枚分(洗濯しアイロンがけ)

着物を解くなんて初めての体験だ。
手を合わせた後、糸きりハサミを入れ、えいゃと解いていく。
破らない様に丁寧に扱うので、なかなか時間もかかる。
手洗い後に干し、アイロンがけをする。
改めて着物は生地の使い方に無駄がないことが分かる。


講座当日は先生のご指導の下、
型紙をあて、ドキドキしながら鋏を入れ、ミシンで縫いすすめ、
なんとか初めてのリメイク作品、チュニックが完成した。

私にも出来たという喜び、母の着物がよみがえった感動。
なにより嬉しかったのは、
「これ着物だったの?すごい!」という夫の言葉。
達成感、満足感でいっぱいになった。


さて次は何にリメイクしようかな…

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