素人の考古学ー埼玉県さきたま古墳群巡り
概要:
関東では最も整備されている「さきたま古墳公園」に行
き、はじめに博物館で学芸員から「金錯銘鉄剣」など出土
品の説明を受け、午後からボランティアの案内で丸墓山古
墳や稲荷山古墳、将軍山古墳などメインの古墳群を見て回
った。
古墳は5世紀から6世紀の間に築造され40基近くあるが
、そのうち9基が整備保存されている。国指定史跡。
全長105mの円墳と55~138mの8つの前方後円墳。
特徴は長方形の二重周濠、造り出し、中堤張出を持つ。
その後吉見百穴に行き200基以上ある日本トップクラス
の横穴墓群を見学した。7世紀築造。
1. 錯銘鉄剣(国宝)
稲荷山古墳より出土した金象嵌の鉄剣には115文字が刻まれており、「辛亥の年」(471年)にワカタケル大王(雄略天皇)に仕えた杖刀人首(親衛隊長)が功績を記念してこれを作った」とある。
この銘文は我が国古代国家の成立を読み解く貴重な手掛かりとなった。熊本県江田船山古墳からも同様な鉄剣が出土しているが、さきたまの鉄剣により解読ができた。
2.埴輪など出土品
円筒埴輪や、形象埴輪(武人、楯持ち人、琴を弾く男子、水鳥、家形など)、環頭太刀、神獣鏡、金銅製馬具、馬冑、蛇行状鉄器、金銅製鈴、須恵器など多彩。
3. 丸墓山古墳
全長105m高さ18.9mの円墳で日本一の大きさ。6世紀前半築
造。竪穴式石室があると想われるが未発掘。
戦国時代には石田三成が忍城攻略の拠点とした。
4.稲荷山古墳
全長120m高さ11.7mの前方後円墳、5世紀後半築造。
礫槨より金錯銘鉄剣が出土したことで有名。このほか粘土槨の竪穴式埋葬施設がある。
5.将軍山古墳
全長90m高さ9.6mの前方後方墳。6世紀後半築造。
墳丘に埴輪が並んでいる。横穴式石室を復元しており、被葬者や馬胄(和歌山県大谷古墳と2つのみ)、旗さし金具、銅碗、環頭太刀、馬具などの副葬品が展示されている。
6.二子山古墳
全長138m高さ13mの前方後円墳で武蔵国最大。6世
紀前半築造。
現在発掘調査中で周濠の水は抜いてあった。
7.吉見百穴
200基以上の横穴墓群。入り口は人がやっと入れる大きさ、中に遺体や副葬品を置く石棚がある。7世紀築造。
発見当初は人の住居か墓かの論争があった。
玉類、金属器、土器類など多数の遺物が出土した。
周辺に大規模な地下軍需工場跡がある。またヒカリゴケの生息地としても有名。
まとめ
さきたま古墳群はスケール、質とも一級品であり、古墳を学ぶには最適であった。
さきたまの地は豊かな穀倉地帯であり、利根川や元荒川で東京湾につながる武蔵国の一大勢力拠点であった。
古墳の構造や祭祀の形態などを通して、古代国家の成立や国造との関係、大和政権との関係など研究するには貴重な古墳群である。
以上
小兵衛記