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南伊豆で、「当たり前」と「私」について考えてみる

4月のある日。
私にとってうれしいことがありました。
南伊豆でのインターン生の募集を目にしたのです。

南伊豆は私にとって大切な場所です。
一年半前、南伊豆に行ったことがあります。
その時は、南伊豆の風景に居心地よさに魅了され、また行きたいとずっと思っていました。

南伊豆に対する愛、南伊豆で生活することに対する愛を発信する皆さんに会って、そこから私にとって新しいライフスタイルについて初めて知ることができたのです。

丁度、「みなみの桜と菜の花祭り」の時期で町がとても華やかでした。自然が豊かで東京とまた違った南伊豆のいいところを沢山知ることができてよかった、またいつか戻りたいと思うのは自然なことでした。

「もう一度、南伊豆にいける!」
その場で申込書を記入して「送信」を押すまで5分もかかりませんでした。

そして、ゲストハウス「ローカル×ローカル(以下、L2)」に行くことになりました。

これはその間の記憶を忘れないための記録です。

ローカル×ローカル

L2は、古民家をリノベーションした建物で、初めて足を踏み入れた瞬間誰もが驚く幻想的な場所です。
たくさんの本がいたるところに設置されてあったり、壁のペイントが迫力があって印象的だったり。
また、ドライフラワーや、ウッド感のあるインテリアがこの空間の非現実感を絶妙に演出しています。

一ヵ月間共に働いた皆さんも魅力的な方々でした。

世界一周を何回もやっているオーナーの一徹さん。
海賊王になりたいサインペインターのちなさん。
頭の中に12人が住んでいるらしいりょうじさん。
Amazonのレビューで名文を探すことが好きなまりこさん。
そして言葉に対し情熱を注ぐ同期、はるか。


(はるかと一緒に作ったジャム。写真はできたての甘夏ジャムを注いでいる姿)

はるかからもたくさんのことを学ぶことができました。
彼女は驚くほどの本好きで、人に対しても物事に対しても新しいことを知ろうとする姿がとても記憶に残っています。
又、彼女は周囲に気を配ることもとても上手な優しい子です。
私が「完璧だ!」と思ったことでも、もっと細やかに、もっとみんなを喜ばせるために努力をしてくれます。
南伊豆のお世話になった方々へ感謝の気持ちを伝えるべく、自ら料理をふるまったことが、私には信じられないほどかっこよかったです。
そんはるかの姿は、ただただ自分も見習いたい、そして忘れたくない彼女の素敵なところです。

インターンズの日々の暮らし

毎朝7時のラジオ体操。
モーニングページを書いてから、インタビューの練習。
まりこさんのあたたかい和食の朝ごはん。

皆さんにとっては平凡で当たりまえなものかもしれません。
だけど、ずっと海外で暮らしていた私にとっては、すべて初めてで不思議な感じでした。
たまに一徹さんが流してくれたガチャピンバージョンも。

宿の掃除やゲスト対応というお仕事も貴重な体験だったと思います。
しかし、それよりもっと大切で貴重な経験もたくさんさせていただきました。

掃除について面白い哲学を持っている方からお掃除と対話の共通点を聞かせていただいたり。
某有名NGOの事務局長が宿泊してくださったときは、なんとピースボートの船旅でCC(ざっくりいうと、通訳)をすることを勧められたり。

台湾ナイトの日

忘れることのできない台湾ナイトの日。
台湾のウーロン茶会社CEOのナンシーさんの専属和英通訳を担当させていただいた日のことです。オーナーの一徹さんが一大学生である私を信じて、この大事なお仕事を任せてくれたのです。

ナンシーさんは、幼少期に両親についてアメリカに移住し、現在は台湾において台湾のウーロン茶の魅力を精力的に発信していらっしゃる方です。

その通訳の際に、ウーロン茶のお話はもちろん、彼女自身のお話も聞かせていただきました。ウーロン茶に対する情熱が感じられると共に、ご多忙の中でも忘れない配慮やあたたかさといったお人柄にもとても感銘を受けました。ナンシーさんが私に淹れてくださったウーロン茶は本当に美味しかったです。私も海外で育ったため、彼女の話にはとても共感でき、親近感が持てました。

コンプレックスの克服!

私には、時折自分のバックグラウンドがコンプレックスのように感じてしまう部分があります。

日本語。
日本の文化。
みんなには当たり前のようなことが、自分にとっては当たり前でない。
=私は不正解
このように感じ、未来までもが不安に思えてしまうことがよくあるのです。

そんな時、南伊豆に滞在中何度も聞いた一徹さんの言葉。
「正解はない。逆に正解はたくさんある。」この言葉に私は勇気づけられました。ただ一つの正解にこだわらなくてもいい、自分で新しい正解を作っても大丈夫だと理解して視野が広くなった気がします。

又 、社会人インターン(留職生)のちなさんから頂いたフィードバックもとても記憶に残っています。
「いろんな言語が話せることは、自分には当たり前すぎてすごいと思えないかも知れないけど、本当はすごいんだよ。」何かはっきりとは説明できないけれど、気づかせてくれてとてもありがたかった記憶が心に残っています。

確かに、様々な文化を知っていることは強味のはず。
なのに、私はよく視野が狭くなって自分の足りない部分ばっか見てしまいます。それでも、自分にはいいところがきちんとあって、周囲の方々も認めてくださる点が私にもある。ただそれに気付くことは難しいのだということが分かりました。
南伊豆の皆さんのおかげで、自分の強味にようやく自信が持てるようになりました。

インターン卒業後

1年半前に訪れた時と今回の経験は、違いました。

1年前は、南伊豆について知ることができました。
L2でのインターンシップは、どちらかというと、自分について知ることができたと思います。

当たり前すぎて、知らなかった「私」のこと。
私にできること。苦手なこと。やってみたかったこと。でも怖くて挑戦できなかったこと。
すべて知ることができたとまでは言えませんが、ようやく少し分かるようになってきた気がします。そして、これからはもっと周囲のみんなの良いところをたくさん観察して、自分のいいところとポテンシャルにも気を向け、活用していきたいです。

南伊豆のみんなが、まだできないことだらけの私に優しく接してくれたみたいに。

私の8月を特別なものにしてくれてありがとうございました。

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