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日本人はアメリカでモテるのか?ワシントン大学留学体験記14
ここからは、留学していた際「日本人である」といったことや、
自身のアイデンティティに対する考え方が変化したことについて書いていこうと思う。
前の記事を読んでいただいた方はご存じかと思うが、日本人であるということで自分自身が「マイノリティー」であるということを痛感した。
また、自分自身の「アイデンティティ」を再考察したことがあったので、その変化についてお伝えしたい。
私が再考察したきっかけ
帰国してから、自大学で難民の授業を受けた際に、ある先生がこうクラスに問いかけた。
「留学していた皆さん、ちょっとお聞きしたいですが、日本人であることによって何か良い待遇を受けた、みたいなご経験をされていた方はいらっしゃいますかね。」
「他のアジア諸国から来た人と日本人である自分は違うんだ、っていう優越感を少しでも抱いたことはありませんか?」 と。
「それって、何か他の事例にもあてはまらないですか」と尋ねられた。
いい意味でも悪い意味でも、このような優越感がなかったとは言えない。
私はとてもとても心当たりがあった。
日本とアメリカの結びつきの強さ
先進国であるという昔のイメージ
旅行でビザがいらない国が多いということ。
日本の文化が好きな人も多いという事実。
留学に来てから、これらを体感した。
留学中、私が出会った60代ぐらいのおばあさんは、20年ほど日本に住んでいたことがあるらしく、私が日本人であると分かった瞬間かなり好意的に話しかけてくれた。
アニメが好きなアメリカ人も、私が日本人であると伝えたら日本のアニメについて語ってくれた。
しかし、自分自身アニメや漫画について、全然知らなかったし、
あまり興味が無かった。
せっかく、興味を持ってくれた人に対して、会話を深めることができず
すごく悲しくなる気持ちや、なぜアニメや漫画を好きになれないのか
と自分を責めてしまうときもあった。
最後には、I am very uncultural と自虐ネタを言っていた。
ずっと外に出たい!という気持ちが強くて、日本の娯楽を見ることを意図的に避けていたのかもしれない。しかし、だからといってアメリカの映画やドラマを十分に知っているわけでもなく、日本人でもアメリカ人でも何物でもないというような、モヤモヤした気持ちを抱えていた。
日本を嫌いになったわけではない。
留学して日本の良さにも気づいた。日本に生まれてきてよかった、と何度も感じた。国は安全で、パスポートで色んな国に行けて、まだ経済力もあって、恵まれていると感じた。
しかし、日本は最強の国だと思わなくなった。
日本は遅れをとっている所もあるし、どの国もそうだが、日本にだって悪いと思うところはある。
日本人は他の国と比べて礼儀正しいとも思わなくなった。
なぜなら、アメリカにもアメリカなりの礼儀があって、それを知れたから。
このような自国を偏重してほめたたえるのは、一面だけを切り取って、自国のものさしでこれは良い、これは悪いと言っているだけだと思った。
結局、何事もバランスが大事なのかなとも感じる。
全てに客観的になるのは難しい。
しかし、ここは好き!ここは嫌い!といった意見が
両立されてもいいんじゃないか。
日本人はモテるのかについて
前出の通り、アニメや漫画などのカルチャー面などで、
知り合うきっかけを作りやすいという点で、
友達を作る点で、日本人であるということはモテるかもしれない。
恋愛的な面では、モテるかどうかは人による。
しかし日本人の「距離の詰め方がゆっくり」な部分と
アメリカや他の国の人々で、「急激に距離を詰めてくる」場合
自分が思ってもみなかった問題やトラブルに直面する可能性もある。
注意してください。
日本人であるというプライドとは
本題に戻ろう。
生まれ育った国を好きになれることは素晴しいことだ。
しかし、日本人である、という
それだけのことに対して
心の底のどこかで
傲慢になっていないか、ということを疑ってみてほしい。
他の国から人たちを下げずむというよりか、
何か特別なのかな?と思う瞬間もあった。
実際に難民の授業を担当してくださった先生も
他の国で日本人であるということを言った途端に
相手の態度が変わる瞬間を見てきたみたいである。
逆に、日本のことが嫌いな人だっている。しかし、私が留学している際はあまり見かけなかった。
それを踏まえて、日本にいる移民について考えてみたい。
日本で生活するアジア圏からきた移民の人たちに対する目ってどうだろう。ヨーロッパやアメリカからの移民と比べて、どうだろう。
日本の方が優位であるという優越感みたいなものが、
差別を生み出していくんじゃないか、と感じる
今後、他国の経済成長が進み、色々な側面や力関係みたいなものが変化しても固定概念やイメージが先行してしまうことはないだろうか。
留学に行く前は、日本に対してネガティブなイメージを沢山持っていた。
しかし、留学してみて日本にもたくさん良いところがあるということを
アメリカで出会った人たちのお陰で気づくことができた。
同時に偶然「日本」という国に生まれたということで、
留学前には気づかなかった自分の中での
他の国に対する優越感みたいなものも
恥ずかしながら気づくことが出来た。
それに気づくことが出来てから、
謙虚になれた気がする。
何か、日本のテレビでやっている
日本はこんなにすごいんだぞ
みたいな特集とか
日本人はこうだから他の国と違うとか
民度とか
ナショナリズムとか
そういった類のものに
「本当にそうだろうか?」
と疑問を投げかけたい。
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