ヤシノミ洗剤
筋金入りの環境配慮型製品
「ヤシノミ洗剤」は、1971年(今から53年前)、日本の高度成長期に生まれた。
ジャイアント馬場の「ココナッツ・クラッシュ」(椰子の実割り)が、生中継で観られた時代である。(笑)
「ヤシノミ洗剤」の製造販売元「サラヤ」は、今ほど環境問題が重視されていない時代に、コストを度外視した製品を世に問うた稀有な企業である。
当時も、石油由来の合成洗剤が主流だった。
洗剤は、本来、物をキレイにするものなのに、環境を汚すのはオカシイ
排水が環境を破壊しない、素早く分解されて地球に帰る植物由来の洗剤にこだわった。
また、無香料、無着色も特徴
香料も着色料も洗浄力に寄与しない
肌への負担と環境への負荷が増すだけ
しかし、このコダワリは、まさに環境配慮型製品の弱点であるコストアップの因となる。
「ヤシノミ洗剤」は、文字通り、ヤシの油から作られている。
ヤシの油の搾りたては、色も匂いも付いている。
それを無色無臭にするには、高度な精製過程を経る必要があり、コストアップにつながるからである。
元祖詰め替えパック
「ヤシノミ洗剤」は、業務用洗剤メーカーである「サラヤ」が、初めて一般消費者向けに作った商品である。
そして、環境配慮へのコダワリは、半端なかった。
今でこそ当たり前の洗剤詰め替えパック
石油で作られた容器は捨てられ、プラスチックゴミとなる。
これを何とかできないかとのアイデアである詰め替えパック
なんと、この詰め替えパックを採用したのも「ヤシノミ洗剤」が、初めてなのである。
「ヤシノミ洗剤」のボトルには、美しい椰子をモチーフにしたステンドグラスが描かれている。
これは、台所に残り続けるボトルのデザインを目指した証である。
一般的には、製品名をデカデカと掲げるのに、ローマ字で控えめに「YASHINOMI」である。
お陰で、デザイン事務所、住宅展示場でよく売れたらしい(笑)
ボルネオ島の環境保全活動
「ヤシノミ洗剤」の原料であるパームオイルは、ボルネオ島で採れる。
ボルネオ島は、インドネシア・マレーシア・ブルネイの3か国の領土であり、世界で最も多くの国の領地がある島となっている。
面積は725,500km2で日本の国土の約1.9倍の大きさである。
世界の島の中では、グリーンランド島、ニューギニア島に次ぐ、面積第3位の島である。(※Wikipediaより)
パームオイルは、生産される85%が食用、残りの15%が工業用として使われる。
工業用15%の内、7%が石鹸、洗剤に使われているとのことです。
20年前、配慮の足りないメディアに取り上げられたせいで、「ヤシノミ洗剤」が、やり玉に上がり、メールや、電話、手紙で苦情が来たそうです。
ヤシの栽培拡充が、野生動物(ゾウやオラウータン)の生息環境に悪影響を及ぼしているのは事実で、メーカー責任として受け止めたサラヤは、ボルネオの環境保全活動を開始されました。
実際には、畑を荒らす害獣とされ、ワナや銃で傷ついた象の保護治療
群れごと殺されて、はぐれた子象の保護飼育
地面を歩かないオラウータンが、木が伐採されて、渡れなくなった河に、使用期限が切れた消防ホースを渡し、森林伐採による生息域の分断(餌や繁殖環境の冗長が失われる)を防いでいるとのことです。
「ヤシノミ洗剤」売上の1%は、ボルネオ島の環境保全事業に充てられています。
認定NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパン (bctj.jp)
界面活性剤除去率
以下は、横浜市の環境創造局下水道施設部下水道水質課より
現在、家庭用の合成洗剤には、陰イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤が多く使われています。
横浜市水再生センターにおける測定結果では、平成13年度の陰イオン界面活性剤の濃度は、流入下水で1リットルあたり平均2.1mg、放流水では不検出(0.03mg未満)であり、除去率は98%以上となっています。
また、非イオン界面活性剤については、平成12年の調査結果では、流入下水で1リットルあたり平均2.9mg、放流水で平均0.028mgであり、除去率は99%となっています。
合成洗剤については、かつては分解性の悪いハード型のABS(分岐鎖型のアルキルベンゼンスルフォン酸塩)が使用されていたため、河川・湖沼などの汚染や水再生センターでの発泡などの問題が生じていましたが、現在では、アルキル基が直鎖で分解性の良いLASに替わり、また、その他の陰イオン及び非イオン界面活性剤についても、分解性の良いタイプのものが多く開発されています。このため、現在のような洗剤の使用状況であれば、ほとんどが水再生センターで除去できるものと考えられます。
洗剤の使用については、適正な量で使用していただくことをお願いします。
リクエスト
サラヤさんには、是非、シャンプーとボディソープも出してほしい!