消火器 vol.45
家庭に備えるのに適した消火器としては、●粉末消火器●強化液消火器●住宅用消火器●エアゾール式簡易消火具のような種類があります。
粉末消火器
・一瞬で消火できるが、浸透性がないため、燃焼物(木材など)によっては再燃の恐れがある。
・強化液消火器に比して、放射時間・放射距離が短い。
・屋内で使用すると薬剤が充満し、視界が悪くなり火元を狙いにくくなる。
強化液消火器
・一瞬の消火には不向きだが、水系薬剤のため浸透性があり、木材などの消火に有効。冷却効果も高く、再燃しにくい。
・粉末消火器に比して、放射時間・放射距離が長い。
・水と作用して発熱する危険物には使用できない。
普通火災用(白:A火災) 木材、紙、繊維などが燃える火災
油火災用(黄:B火災) 石油類その他の可燃性液体、油脂類などが燃える火災電気火災用(青:C火災) 電気設備・電気器具などの火災
粉末消火器は広範囲が燃えているような場合や、初期消火の後半で炎が大きくなっているような状況に対して有効です。
しかし、我々内装工事屋は、指定されない限り、粉末消火器を設置することはありません。上記のように燃え広がった火の始末には早期消火、広域に対応していますが、舞い散った薬剤が他のお店の商品に付着したりして、売り物にならなくしてしまう二次被害も起きることから強化液型の消火器を設置します。
強化液型の消火器は冷却効果と浸透効果に優れています。油火災の初期消火や、布団やカーテンなど布類の初期消火に効果を発揮します。
粉末タイプの消火器と異なり視界を遮ることがなく、また「冷却」による鎮火効果があり再燃の恐れも小さいと言えます。
何しろ、後片付けが比較的楽です。
実は私が、高校生のころ実家のダイニングキッチン約8帖で、母が、弁当を作っていた油を加熱中にてんぷら鍋の淵に残った焦げ目から出火し、火を消そうと父が座布団を鍋に乗せた。乗せ方が悪くかぶせなおそうとして、座布団を引いたときに、溶けて張り付いた座布団で火のついた鍋ごと倒し、炎上床面積で、油の広がった範囲は2㎡程度、火柱は天井まで上がった、両親はこぼれた油が、足にかかり大腿部から下をⅡ度からⅢ度の熱傷を負い動けず私と弟で消火した。幸い消防車が到着する前には火は収まり両親は救急搬送病院に、立ち合い、家に戻ると、一面焦げ目とピンクの粉でコーティングされた部屋になっていた。
ダイニングはもうどうにもできないくらいの状況で、照明器具の傘は飴のように溶け氷穴のつららの様に垂れ下がり、換気扇の羽根が無くなりモーターだけの状態になり、油で焼けたフロアカーペットは溶けて素足で歩くと痛いくらいギザギザになっていた。
その日から、両親の見舞いや、弟たちとの生活(食事)などの面倒を助っ人に来てくれた叔母と、見ながら、片づけを始めたのだが、一番厄介だったのが粉末消火器の粉だった。テーブルの上や床に降り注いだ粉は、サメ肌の様に固着し雑巾でこすってもなかなか取れないし、閉じていた電子レンジや冷蔵庫の中や隣接する部屋まで影響が出ていた。粉を見なくなるまで、約1週間かかった。
この時の苦労を考えたら、絶対強化液の方がいいというのが私の考えです。
エアゾール式
エアゾール式の消火器は、厳密には「消火器」ではなく、法律「簡易消火具」と定められています。
さて、家庭用の消火器を選ぶには
一般家庭では、私の経験した、天ぷら油や寝たばこや冬場のストーブなどで布団類に燃え移るなど、適応する消火器を優先して設置すること
家庭では、てんぷら鍋火災や灯油を火のついたストーブの前で注いだり、ストーブを倒すなどの場合、粉末の初期消火が有効
布団などが燃えた場合は、強化液の方が有効かと思います。
ただ、布団火災が起きて、浴槽に布団を浸けて、出してから、しばらくしてから再燃した、知り合いもいましたので、、あくまで初期消火のためのものと割り切り、119番通報はしてください。
プロの目で見てもらう、最終処理までしてもらうことが大事です。
賃貸などの場合はほぼ100%火災保険にも入っていると思いますが、罹災証明も消防で出してもらわないと保険が、下りません。どのみち呼ばなければならなくなります。
まず消せそうか、消せなさそうかの判断は1本目の消火器を使うタイミングで直感的にわかると思います。119番に電話するにも早い方がいい。
実際に火災が起きた先の実家の時、私は119番よりも消火することでした。他にも弟や祖母もいましたので、119番は誰かがしてくれたとは思います。今の様にケイタイでもあれば(できないと思うけど)消火しながら119番にかけれたこともしれませんが、火を消しながらの通報は無理です。
消しながら「火事だー」って叫ぶくらいがいいところです。
たまたま、私の家は当時燃えやすいものをたくさん扱う商売をしていたため
大きな消火器の設置をしていたのも幸いだったのかもしれませんが、
大きなものを置けない1Rマンションなどでも最低エアゾル式のものを用意することをお勧めします。