安全はどこまで想定すればよいのか Vol.7
久しぶりに、リアルで、勉強会に行った。
勉強会もこの数年パンデミックの影響でテレビ会議が主流だったからだ。
メンバーもだいぶ変わってしまった。転勤や定年で後任の方が増えたり、新しい会員企業が増えたり。
今日の勉強会は、同業者間の環境と安全を考えるための集まり、企業間の壁を破って、互いの課題が少しでも、改善出来たらという趣旨の勉強会。
2024年問題が主で差し迫った問題としては、10/1に施行される新たな法律。
その対策や状況の報告会。
どうすれば、再資源化できる分別ができるとか、石綿含有建材の対策やら、労務管理の問題を取り上げ各社の思い思いの対策を発表する中で、先日、東京八重洲のゼネコンの現場で、鉄骨の落下の話題。
私は現役のとび、だった頃、累計数万トン近くの鉄骨をいじってきたが、今回の件は、想像のつかない事故だ。新聞等の資料を基に考察してみた。
通常、柱や梁にある取り合いのブラケットに玉掛けされた、梁の先端にスプライスプレートを借りボルトで仮固定し、ブラケット又はガセットの取り合いに、仮ボルトや本締め用のボルト、ノックピンなどを刺し、スプライスプレートをあらかたレンチで仮締めし、安定してから、梁に乗せた親綱を、柱に取り付けるか、スタンションを立て、親綱を張ってから、墜落制止用器具を親綱に着け替え、玉掛けワイヤ(治具)を外しに行く、梁が長いので両端にいた作業員が自分に近い玉掛けワイヤーを外しに行く。
しかし今回の事故は読売新聞オンラインによると、5人が梁に乗っていて、梁と一緒に落ちた図解が載っている。
普通固定されていない梁の上にこのような人数で乗ることはない。
乗っていた意味が分からない。
梁が落ちたこと自体は上フランジのスプライスプレートのみ仮ボルト数点で固定しただけで、ウエーブのボルトなどは入れずにクレーンのワイヤを外せば、スプラスだけで梁の自重に耐えられなくなってスプライスプレートに力がかかり曲がり、仮ボルトがせん断し落下する可能性はある。
ただし仮ボルトも規定数をしっかりメガネで締めこんであれば落下にまで至らないと思う。
ボルトを通しただけで、梁の玉掛けを親綱を張る前に外しに行ったと推察される。
又は吊った梁が門型になった既存の柱間と倒れこみがあり梁よりも(❶:❶間)幅が広くなっていて片側しか締め込めていなかったなども考えられるが、そのような状態で、とびが梁の上に5人もいることが信じられない。
これは全くの想像だがスタンションを梁の中央から梁の先端左右に取りつける作業者2名(❶の場所)と梁を取り付ける作業者左右2名(❶と❷間の場所)ワイヤを外す作業者1名(❷の場所)と考えれば、5人が居た理由になるかもしれない。
また、ANNのニュース画像や産経新聞で別の可能性が考えられる。図1のような状況ではなく
⓹の梁が一番最初に落下次いで、他の①~④も倒壊したとの生地になっている。
梁の下敷きになって崩れている足場材は⓵と③を仮に支えるベンド(仮支柱)の役割をしており図の⓹の右側のボルト阿外れ左側のスプライスで固定された③が引き寄せられ借りボルト接合された①ベンドが一緒に倒壊したとみられる。なぜ⑤の右側が崩れたのかは、ガセットプレートの締め込みが甘く、ワイヤーが外れ荷重が集中しせん断、作業員は次の鉄骨を組むため別の場所に移動するために⑤の梁に乗っていたところ落下したのではないかと思われる。こうなると5人が乗っていたというより移動していた時に⑤が。右側に倒れ込むように崩れた可能性がある。
また、丸の内側の定点カメラの映像を見る限りワイヤーのせん断に見える。
作業員は何らかの作業のため梁の上を移動しているときワイヤが切れ落ちたように見える。
外れた瞬間タワークレーンのジブが釣りをしていて獲物がばれたがごとく跳ね上がる映像も残っている(https://x.com/yuruhuwa_kdenpa/status/1704103087001285118?s=20)ので実際に5人は①~⑤のどこかの梁に乗って作業をしていたが各々が、倒壊によって振り落とされたという見方もできる。
すべては私の推測で実際には何が起きたかは警察や労基の調査ではっきりさせることであろうし、20代から40代の経験がどの程度であったか、鉄骨の組み立て等作業主任者の監視状況、手順の検討、周知、墜落制止用器具の使用状況(つける場所ごと落下しているの使用状況はこの際問題ではないのかもしれない)使用した吊具の性能や吊り角が60°以下だったか、墜落防止措置として墜落防止ネットや、鉄骨の倒れ補正のワイヤが張ってあればとか、先に組まれた①~④の落下した鉄骨の本締め作業が少しでも、されていればとか、およそ、監督や職長の想定を超える、過失に対する責任を追及されることになるのであろう。
2名の亡くなった若者のご冥福と、3名の重軽症者の早期復帰を祈る。
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