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隠岐の島へコウモリ調査

さて1/20-22の2泊3日で隠岐の島島後へ行って参りました。
タイトルにも書いてありますが今回は蝙蝠のトンネル利用状況の調査です。


隠岐の島とは

前回の記事にも書きましたがまずは隠岐の島とはというところです。
世間一般の知名度的に隠岐の島はかなりマイナーな島になります。
場所は島根半島から海上を通り北東に約80kmに位置している島群です。
島群は大きく島前 島後の2地域に分けることができます。
島前(どうぜん)は西ノ島・海士島・知夫里の3つ島からなる諸島エリア
島後(どうご)は隠岐の島町 の1つの島からなるエリアです。
今回調査にいったのは隠岐の島町になります。以後隠岐の島と呼ばせていただきます。
隠岐の島は長い間島根半島と陸続きになり分断するというのを繰り返してきました、そして約1万年前に再び分断され今に至ります。なので割と最近分断された島ということです、そのため生物相も本土と比較的似ていますが一つ決定的な違いがあります、それが植生です。
詳しくはこちらのHPをお読みください。

隠岐の島は目立った固有種や変わった生物相ではないが故に生き物好きの中でも比較的注目度は低く、まだ調査があまりされていない地域です。

何故コウモリ

私の専門は両生類🐸爬虫類🐍です。
去年の9月の中旬頃に初めて隠岐の島に両生類爬虫類の調査に出向きました。そこで両生類爬虫類相は本土と変わりないが確認できる種の数に偏りがあることを発見しました。これは隠岐の島独自の自然環境が両生類爬虫類に与えている影響が本土とは違うという証拠ではないかと考えます。
そんな調査中に結構な数の使われていないトンネルがあるのを発見しました
今の時期コウモリは越冬するためにトンネルや洞窟を利用し集団で越冬します。そのためこの時期に使われていなさそうなトンネルを調査すれば隠岐の島の蝙蝠についての知見が得られるのではないかと考え調査に至りました。

コウモリがいそうなトンネル 灯りがなく内部も舗装されていないのが特徴

調査結果

隠岐の島のトンネルは大体35個くらいあります、そのうち新トンネルが開通し利用される頻度が減った旧トンネルやすでに閉鎖されているトンネルは12個ありました(私の調べなのでもっとある)。 そしてその12個のうち蝙蝠が越冬していたのはなんと1つだけでした。 この結果に自分はかなり驚いています。
自分もまだ調査歴が浅いのですが、今回調査したトンネルはどれもコウモリが生息していてもおかしくないようなものばかりでした。
なのにもかかわらず1つだけです、コウモリの数は1300匹程度でした。
※おそらくすべてユビナガコウモリ

なぜいなかったのだろう

とりあえず蝙蝠が越冬に利用しているトンネルが1/12つだけということがわかりました。パーセンテージでいうと8%くらい、、、
なぜこんなにも少ないのでしょうか。
コウモリの保護に関して、コウモリが数を減らす原因としてよく言われているのは①洞穴の消失、環境の悪化 ②森林衰退 の2点です、最近では風力発電や感染症といったことも挙げられています。

①洞穴の消失、悪化について
これが洞窟性コウモリが数を減らす影響として1番良く言われるやつです
安全管理上廃トンネルには蓋をして入れなくしたり、洞窟の悪化で天井が崩れたりするやつです。 また世の中には旧トンネルや洞窟マニアもいます(コウモリ探しという点では自分も同じ)そういった人たちが頻繁に入ることでコウモリの生活が攪乱されると言われています。
これに関してまず天井崩れが起きてるのは1箇所でした、
次にマニアによる攪乱です、これに関して何とも言えませんが、H29年度の観光客数は11万人とされています、その内のトンネルマニアが何%いるのでしょう。ただ隠岐の島トンネル調べると旧福浦トンネルと、国道485沿五箇トンネルの旧隧道にあたる中山隧道が出てきます、もしかしたら割とマニアの中で隠岐の島のトンネル群は有名なのかもしれません。

②森林衰退に関して
島根県が出している報告によると隠岐の島の林野率は86.0%で県平均は78.2%と平均より高い、また人工林率は40%となっています。
前回夏に行ったときは特別虫が少ないなとか森林が廃れているという印象はありませんでした。

またその他にも実は隠岐の島には、島の真ん中に風力発電が3基ある(あった)らしいです。

今回泊まらせていただいた宿(前回とおなじゲストハウス碧)
のオーナさんは顔が広く地元の方にコウモリについて簡単にきいてくれたそうです。 そうすると多くの方が最近コウモリをみなくなったと言われていたそうです。 コウモリの減少を感じるというのは中々のことではないかなと思います、例えばカエルであれば鳴き声であったり、田んぼであったりと割と生活にも身近で音情報としても入ってくるので変化を感じやすいと思います、しかしコウモリはどうでしょう、ひっそりと暮らしており、夜になると羽ばたいて活動しているイメージです。 そんな人目に付きにくい生き物の数が減ったと感じてしまうのはもしかしたら、何か隠岐の島の蝙蝠の中で大変なことが起きているのかもしれません。

隠岐の島に2回足を運んで思うことがあります、それは異様な神社の多さと河川改修されている川の多さです。
まず河川について触れます。
隠岐の島にはだいたい30くらいの河川があります。これは面積当たりで考えると結構多いほうなのではないかと思います、そのため水害が起きやすいと考えられその対策としてほとんどの河川では2面護岸の河川改修が入っている状態です、またその水害が頻繁に起こることから安全の意味を込めて神社が沢山あるのではないかとも私は考えております。
根拠はありませんが、もしかしたら河川改修による川と陸の分断が引き起こすバイオマスの断絶が隠岐の島の地形、環境と相まってコウモリ達に強いインパクトを与えているのかもしれません。

隠岐の島は面白い

とまぁ根拠のない話を並べましたが、隠岐の島は本土と比較しやすい分色んな違いを見つけることができ進化的にも何かヒントになるようなことが見つけやすい状態ではないかと言えます、皆様ももし隠岐の島に行く機会があれば是非自然環境にも目を向けてみてください、宿泊はゲストハウス碧がおすすめです、それではまた。

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