
宇宙 日本 世田谷:そこは桃源郷
1つのアルバムについて取り上げていこうと思う。
今回、取り上げるのはフィッシュマンズの「宇宙 日本 世田谷」だ。
このアルバムの概要は以下に記載する。
『宇宙 日本 世田谷』(うちゅう にっぽん せたがや)は、フィッシュマンズのスタジオ・アルバムである[1]。1997年7月24日、ポリドールから発売された[1]。『空中キャンプ』、『LONG SEASON』とあわせて「世田谷三部作」を成す[2]。オリコンチャートで最高順位121位を記録している[3]。
(wikipediaより引用)
私はこのフィッシュマンズというバンドをここ1年で知り好きになった。
特に上記にあるいわゆる「世田谷三部作」がお気に入りだ。
もっと言うなら、その後に出ているシングルの「ゆらめき IN THE AIR」や
ライブアルバムである「98.12.28 男達の別れ」も大好きである。
このフィッシュマンズというバンドは音楽好きならご存知の方も多いが、
音楽レビューサイトの「Rate Your Music」で異常な高評価を得ている。
特に「LONG SEASON」は世界中の全アルバムの中で30位あたりを記録し
世界に評価されているバンドである。(時期により多少の変動あり)
「LONG SEASON」を始めとする「世田谷三部作」は素晴らしいアルバム
ばかりで、いろんな人に語り尽くされている。
また、機会があれば先程挙げた「ゆらめき IN THE AIR」も個別で語りたい。
が、今回は三部作の最後である「宇宙 日本 世田谷」を紹介する。
まずはどのような曲があるのか以下に添付する。
これらを見ると全8曲で、1時間ないぐらいで、
1曲が最近の曲の中では長い印象。
私は音楽知識はないため、具体的にどう凄いのか言語化できないが歌詞を
というよりサウンドを中心に感覚的にこのアルバムの良さを
自分なりに語らせてもらう。
ここからは、特に好きな楽曲をピックアップして見ていく。
2 WEATHER REPORT
この曲の良さはなんといっても後半からのギターのサウンドである。これがあることでまるで雲の中を気持ちよく飛んでいるみたいで
気持ちよくなれる。
それまでも気持ちのいい浮遊感があるのだが、後半にかけて
その気持ちよさが加速する。とても好きな楽曲。
個人的には、ゆらゆら帝国の「2005年宇宙旅行」に類似性を感じる。
この楽曲はどちらかというと閉塞感が強くあるが、「WEATHER REPORT」ではまるで空に昇っていくかのような印象を受ける。
ひょっとしたら坂本慎太郎はこの曲を意識したかも?
(「2005年宇宙旅行」のほうが後の楽曲のため)
6 バックビートにのっかって
このアルバムの中でも1、2を争うぐらいの倦怠感を象徴する楽曲。
でも、その気怠さが心地よい。という不思議な曲。
何もせず、ただこの曲を流して倦怠感を感じていたい。
ネガティブな心地よさがある。生からの脱却。身体性の欠如。
7 WALKING IN THE RHYTHM
なんと13分の楽曲。
といっても1つ前のアルバムの「LONG SEASON」が1曲で35分だから
正直驚くことではない。
この楽曲は、ベースの低音が心地良い。ただただ歩いていられる。
何処かに連れて行かれそうになる。
これが今回のアルバムの共通点だと思う。
生きる希望とかではない、どこか下を向いているけど歩いてはいる。
まさにWALKING IN THE RHYTHMだと思う。
8 DAYDREAM
一言で表すなら、桃源郷への渇望。
このアルバムはまるで桃源郷への片道切符だと思う。
桃源郷というこの世のものではない理想郷への渇望。
ただ、この世と行ったりきたりではなく片道で、もう桃源郷に行ってしまいたいという願望の極地の楽曲だと思う。
正気がない狂気。
そして、それが「ゆらめき IN THE AIR」では…
長々としてしまったが、総括としてこのアルバムはサウンドは優しいが
酷く気だるい何か諦めて桃源郷に行ってしまいたい負の狂気に満ちたものになっていると思う。
本当に佐藤伸治は作ってて苦しかったんだろうなと思う。
無事に理想の世界に行けたならいいなと思う。
この心地良いネガティブが好きだ。だからこのアルバムが好きだ。
苦しくなったらこのアルバムと共に堕ちていきたい。
2023/07/09