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片田舎のおっさん、剣聖になる(漫画版)二巻ネタバレ、感想


 前巻ラスト、炎の貴婦人に襲われたベリル。
 炎を纏ったとか炎を扱う貴婦人ではない。炎が貴婦人の姿を模している状態。
 故に首を撥ねようが両足両断しようが糠に釘。
 魔法なら術士が近くにいると睨んで貴婦人を広場へ誘き出したら、貴婦人と共に現れたのは少女。
 彼に対し殺害宣言を行う。
 気乗りしないベリルは、フィッセルがつけてた腕輪を少女が身につけていた事で態度一変。
 本気を見せたベリルに本気の魔法で返す少女。
 少女はベリルの足元を水で満たして凍らせて逃げ場を塞ぎ、超高温球を氷面に投じて水蒸気爆発。
(やり過ぎたって顔をした)
 それをベリルは自らを縫い付けた氷面を斬り取り、盾にして凌いだ。
 少女が最後の切り札を放つと感じ、距離を取ってベリルが凌ぎ切った時、彼女は自らの正体を告げる。
 フィッセルの上司、魔法師団団長・ルーシー・ダイアモンドだと。

……というシーン、アニメ化されて二分以下で終わるとなるのは嫌。
(小説版の考え事してるベリルのそばで呼びかけても反応なく「シカトするンじゃない!」となるシーンも好き)

 その後は小説版に準じた展開。
 小説版よりも緊迫した新人研修依頼。
 小説版では魔物分布が異常、洞窟や森で出くわすものが少ないと研修中語られたが、漫画版では既に未確認の魔力が検出されたと語られる。
 ところで、ベリルは一度迷宮攻略を試みた事があったが、入口付近で敗走したという。
 彼が〈しくじった〉と言ったのはその一度だけ……
 漫画版五巻の〈また〉はこの件ではない様子。
 父に勝てなかった以上に、何かがあって、その呪縛が、彼の自己評価を低くさせているらしい。
 ベリルとスレナの模擬戦では彼女の心理描写が主に語られる。

 模擬戦終了後、ルーシーはベリルの自己評価が低い原因を推察する。
 勝負に勝った負けたという以上に《己が何も成せなかった》事に囚われている、と。
 その直後、描き下ろしおまけページにスレナとの勝負を《自惚れるな》と[もう一人のベリル]が責めている。
 それが[理想の自分]であり、自己評価を改める為にはその[理想]と折り合いをつけないとならない。
 だがルーシーは言う。
 そんな事で腐らせていい腕ではない、力を持つ者は相応しい生き方をするべきだ、と。
 少しずつ、オリジナル設定が増えていってる。

 洞窟内でゴブリンが共食いしてる状況に遭遇し、調査と力量観測として一掃。
 倒したゴブリンを観察し、調査を切り上げようと判断。
 帰り道、なんかいい感じなポルタとニドリーの姿に皆ソワソワ。

 洞窟を出た直後、魔装具の範囲外から襲われる一行。
 特別討伐指定個体、ゼノ・グレイブル。
 負傷したポルタの救助に向かうセレナ。
 威嚇するゼノ・グレイブル。しかし背後の気配を感じ飛び退く。
 べリルが一閃させていた。
 彼はスレナにポルタ含む新人の避難を頼み、暗にその間足留めを引き受ける。
 新人達を馬車まで連れて、近くの村に避難するよう言いおいてスレナは悔みながら戻る。

 そして描かれる、彼女の過去。
 商人の親と馬車での交易路道中、何かに襲撃された。
 娘へと手を伸ばす父。次の瞬間、その手以外が掻き消えた……
 荷車は谷底へ……
 酷く怯え、食事も手に付けられない彼女を辛抱強く接してたのがベリルだった。
 やがて立ち直り、身を寄せてた三年間剣も教わり、現在に至る。

 一方、一太刀浴びせたベリルの剣は半ばで溶け落ち、鞘や溶けた剣で何とか視力を奪ったものの、窮地に陥る。
 戻って来たスレナが投げた剣を受け取り、その窮地を脱したところで次巻へ。


舞台&用語説明

レベリス王国

 物語の舞台となる国。
 ガレア大陸北部に位置し、二つの国に挟まれている。

バルトレーン

 レベリス王国の首都。
 レベリオ騎士団、魔法師団、守備隊が治安を守っている。

冒険者

 ガレア大陸で国境を気にせず活躍する職業。
 ランク分けされており、下から

  • ホワイト

  • ブロンズ

  • シルバー

  • ゴールド

  • オーシャン

  • プラチナム

  • ブラック

の順となる。
 最高位ブラック冒険者は時に国の興亡に関わる依頼も受ける。

新人研修

 新人冒険者の力量調査及び実践演習。
 監督役として、プラチナム以上の冒険者が最低一人、場合によっては二名以上、随伴する決まりがある。

特別討伐指定個体

 常識の範疇を越え、並の戦力では太刀打ち出来ない力を持った突然変異魔獣を指してつけられた個体。
 通称ネームド。
 レベリス王国では現在十四体確認され、討伐には最低プラチナム以上の実力冒険者が数人で立ち向かわないと敵わないと言われている。

登場人物

ベリル・ガーデナント

 主人公。

モルデア・ガーデナント

 ベリルの父。元道場主。
 若きベリルの心をバキバキに折って、自己肯定感を低く設定させた原因その一。

フレン・ガーデナント

 名前は出てこないが、ベリルの母。
 スレナの回想で四コマのみ。

アリューシア・シトラス

 レベリオ騎士団団長。ベリルの弟子。
神速]とも呼ばれる。
慕っている。

クルニ・クルーシエル

 レベリオ騎士団員。ベリルの弟子。
 力持ち。

スレナ・リサンデラ

 幼少時、魔物に襲われて家族離散し、ベリルに保護された過去を持つ最高位ブラック冒険者。
〈不死の竜〉と呼ばれたドラゴンの牙で作られた二振りの剣を得物とし[竜双剣]の異名を持つ。
 ベリルは弟子というより預かってた子という認識。

ラングリド・パトルロック

 ベリルの弟子。
 オーシャン(第三位)冒険者だったが、息子が産まれたのを機に引退、ビデン村へ居を移す。
 モルディアから師範代を任される。

ヘンブリッツ・ドラウト

 レベリオ騎士団副団長。
 ベリルに模擬戦を申し込み、完敗する。
轟剣]の異名持ち。

フィッセル・ハーベラー

 ベリルの弟子。レベリオ魔法師団所属。愛称フィス。
 剣術と魔法を組み合わせた《剣魔法》の使い手。
 ベリルとルーシーに寝ている間疲れが取れる魔装具《憩いの腕輪》を贈る。

ルーシー・ダイアモンド

 レベリオ魔法師団団長。
 見た目金髪少女だが、ベリルよりも歳上。
 フィッセルから聴いたベリルに興味を持ち、襲撃した。

ニダス

 冒険者ギルド長

メイゲン

 冒険者ギルド副ギルド長

ポルタ

 新人研修に参加するブロンズ冒険者。
 研修が無事終わったら幼なじみに告白したいと思っている。

ニドリー

 新人研修に参加するブロンズ冒険者。
 ポルタとは幼なじみ。

サリカッツ

 新人研修に参加するシルバー冒険者
 魔装具を用いて周囲を警戒する役割。
 ポルタ&ニドリーのパーティに途中参入。


ゼノ・グレイブル

 特別討伐指定個体(ネームド)のグリフォン。
 一度冒険者ギルド依頼で討伐失敗。
 紅色。
 新人研修中のポルタを襲った。

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