3年生サボってた私が予備校を使う事なく9ヶ月で上位ロースクールの筆記を突破した勉強法
はじめに
はじめまして!サイトヘッドです!今は北海道大学法学部の四年生やっております。タイトルにある通り、僕は法科大学院に行こうとしておりまして、法曹志望であるという事はすぐにわかるのではないでしょうか。
Twitter上などSNSには、ロースクールの受験をした、という人は私以外にもかなりの人数がいるでしょう。ロースクール浪人を経験された方も珍しくありません。
ここ数年、ロースクール入試は難化しております。その原因として挙げられるのは、法科大学院の募集を停止する大学が次々に発生しているにもかかわらず、法曹志望の人数はそこまで低下していないこと、そして今年度からローの在学中司法試験受験制度ができた事で、相対的に予備の存在意義が低下した事(すなわち、無理に予備を受ける必要性が低下した、という事であって、予備を受ける事自体には大きな意義があります。予備受験者はファイト!)で、法科大学院の倍率がすごいことになっております。理系の大学院と比べても相当厳しいのではないでしょうか。
法科大学院の倍率 2.1〜5倍以上
理系大学院の倍率 定員割れ〜2倍弱
というのが現状です。私も実際にローの会場に行った時、その受験者の多さに戦慄しました・・・。
さて、ちょっと怖い現実をお伝えしましたが、法科大学院入試はしっかりと基本知識を抑えること、論証を暗記し、これを理解して活用できる能力を勉強することで習得すれば、決して受からない試験ではありません。そんなの当たり前だろ!って思ってる真面目な法学部の学生さん、この後の記事はそこまで意味がないので、これからも堅実な勉強を続けましょう!自ずと合格は見えてくるはずです!
私がターゲットとしているのは、大学生活満喫してしまったせいで、勉強が進まなかった、でも法曹になりたいからなんとしても法科大学院に行きたい!なんなら学歴ロンダリングしたい!と思ってるちょっと不真面目だった法学部の学生さん(特に三年生)です。
諦めたり、慌てて予備校探しなどをする前に少し私の体験談やアドバイスを読んでいきませんか?私のケースが当てはまるかどうかはわかりませんが、参考にはなると思います!少し長いですが、最後まで読んでいただけると幸いです!
私の受験結果
こんな偉そうなことを書いているけれども、お前の実績はどうなんだ!と思われますよね、当然です。では以下に受験結果を箇条書きしておきましょう。順番は受験した順です。
1.学習院大学法科大学院 A日程 既修者 不合格
2.早稲田大学法科大学院 既修者 特待合格(授業料半免)
3.明治大学法科大学院 既修者 特待合格(授業料全免)
4.一橋大学法科大学院 既修者 合格
という形になっておりますね。上位ローと評されるのは早稲田大学と一橋大学、特に一橋大学の司法試験の合格率はほとんど毎年東京大学すら上回る最難関と言えるでしょう。とりあえず、この記事の中では上位ローの括りは東大、京大、一橋大、慶應大、早稲田大ということにしておきます。
受験戦略
では、いよいよ本題に入っていきましょう。まずは受験戦略の方から書いていきます。いざ受験をする、となっても闇雲にやっていてはどうにもなりません。不真面目だった皆さんは如何に戦略を立て、効率的に勉強するかが合格のカギとなります。私が受験をする中でポイントとなった部分を以下に記載していきます。
其の壱 志望校選び
まずは志望校選びから戦略は始まっています。タイトルの通り、私はサボっていたタイプの学生であり、勉強を開始した三年生の1月当時は基本知識、用語すらままならないひどい状態でした。具体的には、構成要件?共同正犯?重複訴訟?ナニソレ?という状態を想像してもらえれば笑
そんな状態でしたので、法科大学院を選ぶにあたって私が考えたのは、「受験科目を絞って勉強する」ということで、基本7科目を受験することなく筆記試験を受けられ、かつレベルの高い学校を選ぶ必要性がありました。私の場合は6科目勉強し、行政法だけはやむなく捨てました。では7科目を受験する必要のない法科大学院の具体例を記載していきましょう。全て網羅しているわけではないので悪しからず。
①3科目受験の学校
私立 日本大学※
国公立 千葉大学
3科目受験とは上三法(憲法・民法・刑法)のみで筆記の合否を決めるものとなっております。本当に商法や訴訟法などが間に合わない!となった時の最後の手段にすべきでしょう。千葉大学は確かにハイレベルな国立大学ですが、理系の学校であり、法科大学院の実績は国立の中では最低ランクです。個人的におススメはしない法科大学院となります。日本大学はアメフト部の不祥事で有名になっておりますが、実は発祥は法学校であり、法学部も歴史ある学校です。実績は良いとは言えませんが、廃校になるレベルの低い実績ではないでしょう。(※既修者試験そのものは3科目ですが、合格した後に単位認定試験として商法、民訴、刑訴が課されますのでご注意ください。)
②4科目受験の学校
私立 関西大学 関西学院大学 立命館大学等
国公立 岡山大学 広島大学 金沢大学等
言わずと知れた関関同立の一部です。この3つの学校に共通しているのは筆記に課す科目です。(憲法・民法・刑法・商法)個人的に問題の難易度だけなら一番難しいのは立命館だと感じました。逆に簡単なのは関学です。法科大学院の合格得点率は一部を除いておよそ5割と少しであると言われております。完全にコスパを重視するならば関学の受験を検討してみるのも良いでしょう。ただし、司法試験等実績はやはり低いため、入った後は死に物狂いで勉強してください。岡山大学等もほぼ同様だと考えてよいと思われます。私立か国立かは学費も異なるため、そこは家庭の経済事情や地方での生活に耐えられるかなど諸般の事情を考慮しましょう。
③5科目受験の学校
私立 同志社大学 明治大学 法政大学 学習院大学※等
国公立 名古屋大学※ 筑波大学 一橋大学※
5科目受験(憲法・民法・刑法・刑訴法・民訴法)のラインナップです。私立もハイレベルになってきていることがおわかりいただけると思います。私立もこのレベルになると上位ローの滑り止めとして受験する人も多いです。いわゆる中堅ローに属すると思われます。入試も前記のローほど簡単ではなく、頻出論点は雰囲気だけでもいいので全て書ける段階までには持ってゆくべきだと思います。逆に言うと、王道の問題以外は出題されないため、論証丸暗記でもなんとか対応できるでしょう。
(※学習院大学だけは面接も課されますが、これは学習院編にて後述致します。)
国立大学はとうとう旧帝と最難関ローの1つである一橋が出現しました。ですが5科目だからといって侮ると、惨敗するのがオチです。この2つは試験の形式も特殊でかつ、問題の難易度は私立の比にならないレベルで高いです。一橋に至っては後述する早慶や、7科目受験を課す法科大学院よりも難易度は高いと言えるでしょう。(東大・京大は除く)
(※名古屋大学の筆記で課される科目は憲法・行政法・民法・商法・刑法です。ここに行きたい場合、行政法の対策をせねばなりません。※一橋大学はTOEIC及びTOEFL ibtによる足切りが存在します。これは一橋編にて後述します。)
④6科目受験の学校
私立 早稲田大学 慶応義塾大学 中央大学等
国公立 東北大学 大阪公立大学 東京都立大学
6科目受験は、先程の5科目に商法が追加されます。私立は言わずと知れた名門校が揃い踏みしており、早慶という上位ローも存在します。このレベルになると、多くの受験生が第一志望とする学校であり、中には東大や京大の学部成績が振るわず、ローに足を切られ逆ロンダとなってしまった地頭は良い眠れる獅子のような受験生もおり、受験生のレベルも高いです。これを突破するためには頻出論点の理解は勿論の事、これを一定程度活用する能力も求められるでしょう。丸暗記だけでは対応できません。国公立も同様であると考えられます。これを突破するのは相当な覚悟と努力が必要となります。
以上が7科目全て勉強せずとも、受験できる学校です。いかがでしょうか。自分がこれから院試までどれくらい努力できるか、どのような法曹になりたいのか、学校のブランドは強いか、などを考慮しながら志望校選びをしてください。私としては③や④に記載した学校にチャレンジし、合格を勝ち取って欲しいと願っております。
ちなみに、私がどのように志望校選びをしたか、でありますが、私は先述した通り、行政法を犠牲にしました。しかし私は無駄にプライドが高かったため、ロンダしたい、東京で大規模法律事務所に勤めたい!という感情が強かったのです。この際、入試に行政法がなく、かつ司法試験実績も北大よりも高い学校としては一橋や早稲田がよい、ということでこの二校がベースとなりました。しかし、自分の実力が不安だったこともあり、明治や学習院だけでなく法政、東京都立etc…と出願だけは乱れうちしておりました。皆さんは滑り止め選びをする際は、確実にここなら合格できる、という学校を1.2校だけ選んで、私のように受験料を無駄にすることは避けてください。
其の弐 予備校はどうか?
SNS上では予備校を用いて勉強されている方が多数派ではないかと思います。私や早期卒業で一足先にローに行った親友のような独学は少数派ですね。皆さんが気になるのはロー入試のために予備校って通った方がいいの?ということでしょう。
私の本音は、必要ない、ですが、これは個人差があるので結論としてはどちらでもよいという事にしておきます。以下私の思う予備校の長所と短所につき、述べていきたいと思います。
①予備校のメリット
司法試験に受かるためのツールとして普及している予備校、伊藤塾、資格スクエア、アガルート、加藤ゼミetc・・・様々なものがありますよね。予備校選びをする時迷う方も多いのではないでしょうか。
まず第一に予備校はロー入試に向け、学校ごとの対策講座を開講しております。過去問等のデータを蓄積し、傾向を把握することで適切な対策を行ってくれることでしょう。そして次に予備校はロー入試対策講座と一緒に予備試験対策も行ってくれるという点もあります。総合的に予備校に通うと他の学生と比較して先取りをすることができる、この点がメリットであると言えるでしょう。
②予備校のデメリット
第一に挙げられるのは費用面です。ロー入試対策講座も数十万円します。これに予備試験講座まで受講するとさらに費用がかかるでしょう。家計事情によっては痛手となるご家庭もあるのではないでしょうか。そして次に挙げられるのが、予備校が独自説や論証を展開する場合がありますが、独自説や論証が間違っていることが一つや二つではないことです。具体例を挙げましょう。つい最近まで、伊藤塾は憲法の中間審査基準(厳格な合理性の基準)の論証として「効果的で過度でない」というアホとしか言いようがない文言を受講生に書かせていました。皆さんは正確に「他の重大な公益目的があり、これを実現する手段が目的と実質的関連性を有する」という風に書いてくださいね。他にはアガルートの論証集が共犯の処罰根拠として「共に犯罪を行う者の相互利用意思」と書いておりますが、ホント何言ってくれちゃってるの古い学説なんですよね、皆さんは因果的共犯論をキチンと理解して、「因果性」が共犯の処罰根拠であるという風に書いてください。このように、予備校のテキストには間違いがちょこちょこ散見され、正確な理解の妨げとなることもあるでしょう。
以上が予備校に通う際に生ずるメリットとデメリットです。もし通いたいならばしっかり予備校選びをして自分に合った予備校を見つけてください。個人的に予備校の中でおススメするのは加藤ゼミナールです。そして、予備校のテキストを妄信するのも避けた方が良いでしょう。
其の参 大学+独学はどうか?
私は少数派の独学人間でした。次は独学におけるメリットやデメリットを書いていきましょう。
①独学のメリット
これは即ち先程とは逆で、学者の教科書などを用いて勉強するという事になりますから、間違った知識を吸収する可能性は少し減ります。不明点があれば教授に質問することができます。教授に質問するのは敷居が高いと思われるかもしれませんが、教授陣は意外と喜んで質問に答えてくれるでしょう。彼らは自分の専門分野に興味を持ってくれる学生はウェルカムな場合が多いです。せっかく大学に来ているのですから、活用しない手はないです。疑問点が解決するまで(教授のご予定を妨げない程度に)徹底的に質問してください。二つ目は費用面です。これは言うまでもないでしょう。
②独学のデメリット
もちろんデメリットはあります。最大のデメリットはやはり勉強法がわからないということでしょう。予備校はなんだかんだ言ってレールを敷いてくれますから、これに則って勉強を進めていけます。しかし独学だと、学校ごとの対策はおろか、法的三段論法という法律の論文試験を書くにあたっての基本すら覚束ないということになりかねません。法的三段論法は大学の講義で教わるようなスキルではありませんので、ここに頭を悩ませる人はいるでしょう。
其の肆 独学を始めるにあたって
では受験戦略の最後に、先程述べた独学のデメリットをカバーする方法をいくつか書いていきたいと思います。これは自分の周りの人の環境を整えるという事に尽きます。
①優秀な友人を作り、彼らとともに勉強する
これはすごく重要な物となってくるでしょう。彼らは教えるとなったら意外と快く教えてくれます。教えるという行為は、自分の知識を再整理し、良い復習となるからです。ですので友人側にもメリットはあるのです。早期卒業できるレベルの人がいるならベストです!
同期の友達に勉強教えてもらうなんて…と考えているプライドの高い人!気持ちはわかります。まるで自分が劣っていることを見せつけられているようで少し嫌ですよね。しかし、法科大学院に全落ちしてプー太郎になるほうがよっぽどカッコ悪いです。ここは自らのプライドは一度捨てて、彼らに頭を下げましょう。私は友人に北大の法学部首席で早期卒業のロースクールコースを歩んだ人物がおります。彼に一緒に勉強して欲しいと頭を下げて頼みこみ、結局彼はローの授業が忙しい中、一橋の筆記が終わるまで週に何回か私の面倒をみてくれました。彼には感謝しかないですね。一生の友人です。
②教授の中に司法試験合格経験者がおれば、その教授と懇意にする
これも重要だと思います。教授が司法試験経験者だとなんだかんだほとんどの科目は一定以上できるという証明になります。ですので教授の専門科目以外を持ち込んでも教えてくれる場合もあります。しかし、いきなり専門科目以外を持ち込むのは失礼ですので、教授にきちんとコンタクトを取り事情を話すこと、ゼミなどをとって距離を近づけるなど段階はキチンと踏んでくださいね。
私の場合は、司法試験に合格した経歴を持つ民事訴訟法の教授の授業をずっと履修していたことで、比較的気軽に勉強法の相談や、論述の指導を先生に請うことができました。先生も筆記試験が終わるまで面倒を見てくださいました。先生は自分の事は全然利用してくれて構わない、というスタンスだったのも大きいと思います。先生は私の生涯に影響を与えてくださった師匠のような先生です。今後も邁進して先生のご期待に応えたいですね。
私立大学(中央大学とかかな)には弁護士の先生がAA(アシスタントのようなもの)として学生のチューターのような感じで指導に当たる制度があるらしいです。私立大学に通われている学生さんはこれを大いに活用するのも一つでありましょう。
国立大学にはAA制度はありません。ですので私のやり方を参考にしていただければ、と思います。
実際の勉強法
では私が実際にどのようにして予備校を使わずに勉強を進めたかについて書いていきたいと思います。
其の壱 大雑把なスケジュール
私が勉強を始めたのは三年生の一月でした。最初の院試まで8ヶ月しか残されていないにも関わらず、基本すら何もできていませんでした。唯一民法だけはずっとゼミなどでやってきたこともあり、一定レベルには達していました。では院試までの大雑把な勉強計画を書きましょう。
1〜5月 インプット → 5〜7月半ば インプット+基本演習 →7月後半〜院試 過去問演習
このような形になっております。インプットに合計半年以上かけてしまっていますね。過去問をやりはじめたのはかなりギリギリの時期となっております。後ほどインプットや演習のやり方は書かせていただきます。
そして平均勉強時間です。当然サボっていたことから相当量をこなさないとなりません。もし上位ローを狙うなら最低でも授業外で8時間は勉強してください。私の場合は6月までは平均8時間、それ以降は10時間〜12時間勉強することもザラでした。前述しましたが、法科大学院入試は他の院試とは一線を画します。授業の内容ができれば合格できるという甘いものではありません。受験勉強のつもりでやって欲しいと思います。
其の弐 インプット
最初にやらなければならないのがインプットです。インプットはコツがあるとか言う人がいますが、そんなわけありません。インプットは自分に合う教科書を用いて、愚直にやるしかない地道な作業です。ですが、教科書選びを間違えるとなかなか理解できなくて、余計な時間をロスするのは事実です。ここでは科目ごとにおススメの基本書や教科書、市販されている予備校の参考書を挙げていきたいと思います。予備校本は便利です。予備校の講座や添削講座は受講する必要はありませんが、論証集程度の参考書は大いに活用することで、論述が書きやすくなるという効果はあります。
(なんなら時間がない場合には最悪一度論証集を丸暗記して、後から丸暗記した該当箇所をちゃんと教科書で補完してゆくというやり方で試験にだけ間に合わせるという裏ワザみたいなこともできます。しっかり補完はしてくださいね!後から苦労しますよ。)
あくまでも参考ですので、私の使った教科書類が正義だと言いたいわけではありません。
①憲法
憲法は慣れてしまえば楽しい科目ではありますが、一定レベルの答案を書けるまでの難度が高いとっつきにくい科目でもあります。早めから論文の書き方を練習する必要がある科目であるでしょう。
おススメする教科書
「基本憲法」 木下智史 伊藤建(日本評論社)
「総まくり論証集 憲法」加藤喬 (加藤ゼミナール)
「憲法判例百選」長谷部 恭男 ,石川 健治 ,宍戸 常寿 /編(有斐閣)
基本憲法の特徴は、基本的な事項、判例が網羅されており、書き方のタッチも憲法が苦手な人向けに書いていることをコンセプトとしていることもあって、イメージをもちやすいようにしてくれています。加えて、章末には基本的な論述演習問題が用意されており、論述の書き方の指針ともなってくれるのが良い点だと感じております。ただ、この教科書が使えるのはロー入試が限界です。パターナリズムなどの発展的な問題は直接扱われておらず、より難易度の上がるローの授業や司法試験には不向きな本です。
総まくり論証集は、他の論証集と異なり、論証だけではなく基本事項についてもコンパクトにまとめてある点に特徴があると思います。加えて個人的な印象としましては、公法系の予備校論証集は加藤ゼミのものが頭抜けて完成度が高いと思います。ある程度インプットが済み、一定程度の知識が着いた段階でいざ論述を書こうとする際の補助教材としては非常に役立ちます。論述の書き方も論証を組み合わせてインプットすれば方向性は見えてくるでしょう。
次にインプットの優先度です。様々な権利が憲法にはあるのはお分かりであると思います。優先順位としましては 表現の自由→幸福追求権→法の下の平等→信教の自由・政教分離・思想信条の自由→職業選択の自由→財産権→社会権→統治(選挙活動や一票の格差、議員の権利、司法権の限界など)→その他の人権
ということになるでしょうか。表現の自由〜職業選択の自由まではどこのローで出てもおかしくはない頻出分野です。ここまでは最低限どんな判例がベースとなって出題されたとしても答えられるようにはしてください。百選を用いた判例学習は必須です。上位ローになると頻出分野にマイナー分野の観点を絡ませてくるという難問が出る場合があります。(一橋がそんな感じです。)上位ローを目指す場合にはマイナー分野の基本事項もしっかり把握しておきましょう。
憲法を勉強するにあたって重要なのは、判例学習です。インプットする際には、教科書を読みながら、該当する判例を百選などで読みましょう。時間があれば解説まで読んでしまうのが最も望ましいのですが、サボり学生にはそんな時間すら惜しいです。ですが、最低限判旨だけは読んで判例の枠組みは把握しておいてください。これはいくら時間がないといっても必須条件となりますので、時間を割きましょう。
②民法
民法は非常に範囲が広いです。勉強に一番時間がかかる科目であることを覚悟しておいてください。私は偶々民法適性があったのでなんとかなりましたが、皆さんがそうとは限りません。ですが論文の書き方は一番簡単な科目であるとも言えましょう。三段論法を学ぶには民法の問題を解くのが近道だと個人的には思っています。
おススメする教科書
総則 「民法の基礎1 総則」佐久間毅(有斐閣)
物権 「民法の基礎2 物権」佐久間毅(有斐閣)
担保物権 「担保物権法」松岡久和(日本評論社)
担保物権(時間がない人用)「担保物権法」田髙寛貴 白石大 鳥山泰志(日本評論社)
債権総論 「債権総論」中田裕康(岩波書店)
債権総論(時間がない人用)「債権総論」石田剛 荻野奈緒 齋藤由起(日本評論社)
契約法 「契約法」中田裕康(有斐閣)
契約法(時間がない人用)「Legal Quest民法Ⅳ契約」曽野祐夫 松井和彦 丸山絵美子(有斐閣)
不法行為法 「事務管理・不当利得・不法行為法」根本尚徳 林誠司 若林三奈(日本評論社)
家族法 ロー向けには特に無し 使うなら 「家族法」二宮周平(新世社)
論証集 「アガルートの司法試験予備試験 合格論証集」アガルートアカデミー
では民法を見てゆきましょう。ロー入試は基本を抑えさえすれば、一定レベルの学校には合格できます。ですので、基本、即ち民法の場合は条文、要件、論点を確実に暗記・理解しましょう。
総則と物権は同じ教授が書いておりますが、この二つについてはかなり教科書としては完成度は高いと思われます。基礎、とタイトルについておりますが、基本的なことを詳細に解説しているのはもちろんの事、学説の対立状況や、発展的な内容をコラムとしてしっかり網羅しており、初学者から司法試験受験生まで幅広い層に読まれる構成となっております。大急ぎで詰め込みたい場合は、コラムは読み飛ばして構いませんので、基本事項、頻出論点などはしっかりと理解し、確実にアウトプットできるようにしましょう。これは他の教科書にも言えることです。
担保物権法です。民法の中では一番厄介な分野だと語る法学徒は多いです。「担保」という概念が日常生活から縁遠い以上、そう思うのはやむを得ないと思います。(私は担保物権を楽しんでいる変人ですが)担保物権を勉強するコツは担保に関わる用語をまずしっかり意味を理解すること、(担保物権の存在意義は、債権者による債務の優先回収という点にあります。)そして関係図を自分の手で書いてイメージ図を持ちながら思考をすることと言えるでしょう。インプットするにあたっては、所有権留保や先取特権はローレベルではほとんど出ませんので、捨てて結構です。ですがそれ以外の分野については論証集を傍らに置き、論点の暗記・理解に努めましょう。インプットは愚直にやるしかありません。
教科書についてです。時間があれば詳細な松岡担保物権を読みたいところでしょうが、我々にはそんな時間はありません。ということで困ったときの日評ベーシックシリーズです。日評ベーシックは教科書としては薄いですので不安になるかもしれませんが、条文、要件、論点、判例という最低限の基礎は欠落しておりません。加えてこのシリーズは初学者を想定して書いているため、図解など読者にイメージを持たせやすくする工夫がそこかしこになされています。発展的な論点こそ抑えられていないものの、ロー入試レベルであればこのシリーズで十分対応できるでしょう。私はおススメの教科書に日評ベーシックシリーズをこれ以外にも複数入れています。(具体的には債権総論、不法行為法など)
債権総論です。担保物権に比べればとっつきやすい分野であると思います。その代わり他の分野に跨って論点が出題されることも多く、重要度は民法の中でも12を争います。ですのでここが理解できていない、というのはかなりマズイ状況ではないかと思います。日評ベーシックレベルは確実に理解しておきましょう。最悪この分野で捨てても良いのは債務引受、連帯債務、となると思います。
契約法です。この分野も頻出です。どのローでも毎年出るんじゃないか、というレベルを想定してください。特にこの中でも頻出であるのは契約総論(解除など)、売買契約、そして賃貸借契約です。この3つについては何が何でも解けるようにしてください。逆に解けないと、合格への道は閉ざされると言っても過言ではありません。次によく出るのは請負契約です。請負契約については令和2年に新たな最高裁判例が出ました。(最判令和2・9・11)民法及び民事訴訟法に跨る重要論点ですので、チェックはしておきましょう。その他の契約各論(金銭消費貸借契約、委任契約、雇用契約、預金契約)はロー入試では上位校も含め、ほぼ出たことがありません。時間が無ければすっとばしても問題ないでしょう。
不法行為法等です。この分野は他に比べて出題頻度は下がります。中堅ローレベルであればあまりでないので、ヤマを張って勉強しないというのもなしではないでしょう。しかし、上位ローではそうはいきません。しれっと忘れた頃に出題してきます。キチンと土地工作物責任や使用者責任、転用物訴権についても基本事項を把握しておきましょう。(私も早稲田入試の時に土地工作物責任が9年ぶりに出題され血の気が引きました。)ここがしっかりと理解できていれば他の受験者に差をつけられると思います。逆に上位ローの受験生であっても、不法行為法の細かい部分まで理解しているという人間は少ないです。ですから、出来栄えが良くなくとも悲観することは無いですが、何も書けないということだけは絶対に避けましょう。とりあえず基本的な知識を書けば部分点はあると思います。教科書は日評ベーシックレベルで十分対応できます。
家族法です。基本的に対策する必要は無いです。しかし、もし読者の中に早稲田のローを考えている人がおられましたら話は別です。早稲田ローだけは家族法を2年に一度以上のペースで出題しており、出題の趣旨においても、財産法のみならず、家族法を疎かにしないことが肝要である旨が書かれております。ですので早稲田を志望するのであれば対策は必須となります。ちなみに頻出論点は、親子間の利益相反、離婚の原因を作った第三者に対する慰謝料請求権の有無、有責配偶者からの離婚請求、日常家事債務、相続法総論などが挙げられるでしょう。私が受けた2024年度入試では有責配偶者からの離婚請求と財産分与に伴う詐害行為取消権が出題されました。(私は家族法が離婚の事案など人の不幸が伴うので大好きという理由で得意なため、ニヤニヤが止まりませんでした。)あくまでも参考程度です。一通りさらった方が良いでしょう。
③刑法
刑法は総論と各論に別れております。多くの受験生は刑法がわかりやすいと感じるようですね。翻せば、刑法は皆一定程度のレベルに達しているため差が開きにくい科目と言えます。なので刑法を失敗すると大多数から置いてけぼりを食らうと言う意味では怖い科目かもしれません。
おススメの教科書
総論 「基本刑法 総論」大塚裕史 十河太朗 塩谷毅 豊田兼彦(日本評論社)
各論 「基本刑法 各論」大塚裕史 十河太朗 塩谷毅 豊田兼彦(日本評論社)
論証集 「アガルートの司法試験予備試験 合格論証集」アガルートアカデミー
教科書は総論各論関係なく、基本刑法が洗練されていると個人的には感じています。日本評論社の「基本〜法」シリーズに共通する特徴は読みやすいことです。その中でも基本刑法は論者の立場は中立で、かつ基本的なことのみならず、実務家でも使えるような発展的な内容も網羅されているという点を総合考慮すると、刑法の基本書における現時点での完成形ではないでしょうか。(某R大学の学者には基本刑法を猛批判している人もいるようですがその学者にこれ以上の基本書が書けるとは全くもって思えません)
総論です。大抵のローは大問を二つ出して一問目に総論を持ってくるか、大問は一つだけにしてそこで総論も各論も論じさせるか、という形式をとります。総論については捨ててよい分野は無いです。せいぜい罪数論は一橋以外ではほとんど聞かれることはない、ということでしょうか。罪数論について言及する出題形式は一橋の特徴的な出題形式です。一橋を狙うなら、ここまで網羅しておきましょう。
各論です。各論についてですが、頻出の犯罪とそうでない犯罪の差はかなり激しいと思います。頻出分野から順に挙げてゆきましょう。
財産犯(窃盗・強盗・詐欺)→身体・生命に関する罪(殺人・暴行・傷害・傷害致死・保護責任者遺棄)→社会的法益に対する罪(放火)→財産犯(横領・器物損壊等・恐喝)→住居侵入→人格的利益に関する罪(名誉棄損)→社会的法益に対する罪(文書偽造)→意思決定・自由に対する罪(逮捕・監禁)→国家的法益に対する罪(証拠偽造等・犯人蔵匿・公務執行妨害・贈収賄)→財産犯(盗品譲り受け等)
という感じでしょうか。出ることが無い分野としては、性的自由に関する罪(不同意性交・不同意わいせつ)や背任罪、国家の存立や外交に関する罪などが挙げられます。というか内乱罪や外観誘致罪に至っては司法試験にすら出ません。太字の中でも、最難関ロー(東京一)を目指すとかでなければ、最後の2つ3つについては恐らく出ないものと考えても、早慶レベルであればギャンブルとはならないでしょう。(2024年度の一橋刑事系第二問は盗品保管罪の論点が出ました・・・)逆に太字の中で最初の4つ5つは、できて当たり前です。各論の勉強を急いでインプットしなければならないという場合にはこの順番でやっていきましょう。
④民事訴訟法
どの科目よりも厄介で苦手意識を持たれることが多いのがこの民事訴訟法です。私も4年間とある民事訴訟法の教授の下で習っていたにも関わらず、ロー入試で頓珍漢なことを書いてしまい、教授に呆れられました。民事訴訟法がとっつきにくい原因としては、とある分野で習った事が別の分野でも顔を出してくる、即ち教科書の順番でやることで着実に理解できる科目ではないという点にあります。しかし、民事訴訟法が得意になる人は確実に他の科目も一定以上で、司法試験も恐るるものではない、らしいです。(教授談)
おススメの教科書
「LEGAL QUEST 民事訴訟法」三木浩一 笠井正俊 垣内秀介 菱田雄郷(有斐閣)
「民事訴訟法」長谷部由起子(岩波書店)
論証集 「アガルートの司法試験予備試験 合格論証集」アガルートアカデミー
ぶっちゃけこれぐらいしかないんです。民事訴訟法は他に比べて教科書と呼べる本が少ないという難点があります。本そのものはあるんですが、その他の本は学者が全力を出して書いた分厚い体系書などが多く、いい感じの本があっても誰だお前みたいな学者が書いていたり、出版年が古かったり。
ですので、リークエが安牌ではないかと思われます。これはみんな使っている教科書であり、基本事項と一定の発展事項も掲載されている信頼の一冊ですね。
もう一冊は長谷部民訴です。長谷部由起子先生のこの民事訴訟法は、複雑な体系である民事訴訟法を読みやすいように嚙み砕いて書いているという特徴があります。わかりやすさ重視で少し詳しい説明やコラムが足りないんじゃないか?という印象はたまにありますが、ローでもおススメされた一冊であります。長谷部先生の人柄の良さが伝わるような教科書ですね。
さて、民訴はどのような形で出題されるのか、でありますが、論点の頻出度はざっと以下のような順番になるのではないでしょうか。
既判力→弁論主義→重複訴訟→処分権主義→裁判上の自白→訴えの利益→当事者適格・当事者能力→多数当事者訴訟→控訴
既判力〜訴えの利益まではどこのローでも出題されてもおかしくありません。問題の難易度はどのローも大きく変わることはないでしょうが、その代わり一定程度はできないと差をつけられるといった感じですね。
多数当事者訴訟や控訴はほとんどの学校ではでません。なんなら出さない、と公言しているローもあります。(東京都立がその例)しかし、最難関ローを目指す、という人は基本的な知識や論点は概括的にでもいいので勉強してください。出るとは思わなかった、という言い訳は通用しません。
⑤刑事訴訟法
刑事訴訟法は憲法と似ている部分が多く、(比例原則や補強法則など)憲法が得意な人はかなり有利な科目だと思います。(私は憲法が割と得意なのにも関わらず刑訴は苦手です笑)同じ訴訟法でも民訴とは異なり、分野がはっきりしているので、やりやすいのではないでしょうか。
おススメの教科書
「基本刑事訴訟法Ⅰ手続理解編」吉開多一 緑大輔 設楽あづさ 国井恒志 (日本評論社)
「基本刑事訴訟法Ⅱ論点理解編」吉開多一 緑大輔 設楽あづさ 国井恒志 (日本評論社)
「LEGAL QUEST刑事訴訟法」宇藤祟 松田岳士 堀江慎司(有斐閣)
論証集 「アガルートの司法試験予備試験 合格論証集」アガルートアカデミー
こんな感じでしょうか。私は以前リークエを用いていたのですが、詳しいことを書いてくれているのはいいんですけれども、文章の言い換えに傍線(ー)を多用しているため文が非常に読みにくかったです。で、ロー入試3ヵ月前に基本刑事訴訟法に買い換えました。やはり基本〜法シリーズは読みやすいです。もっと早く買い替えておけばよかったと後悔しております。その代わり、基本刑事訴訟法は2部冊となっているため、少し高いです。
ではロー入試で出てくる刑訴の分野を頻出順に並べます。
伝聞法則→逮捕・勾留・捜索→強制処分と任意処分の峻別→補強法則→訴因変更
という感じでしょうね。太字で書いた部分については必ずやった方が良いでしょう。唯一訴因変更は出る頻度はかなり低いですが、中堅ローレベルでも出題されたことはあるため、ヤマを張ることはオススメしません。
⑥商法
個人的に大分ややこしいと感じるのが商法です。正直言うと商法はアドバイスができる程のレベルに達しているとはちょっと思えないので、斜め読みでお願い致します。商法で出題されるのは大抵会社法です。他の分野が出てくることはほぼありません。唯一京大はたまに手形・小切手法を出題することがありますが、私を含めたおサボり学生には縁のない話でしょう。
おススメの教科書
「Legal Quest会社法」伊藤晴史 大杉謙一 田中亘 松井秀征(有斐閣)
論証集 「アガルートの司法試験予備試験 合格論証集」アガルートアカデミー
リーガルクエストが安牌だと思います。時間があれば田中亘先生の超が付くほど分厚い体系書も読んでみたいものです。果たして理解できるのかどうかは別として。会社法は頻出分野に順番をつけるのは難しいです。ですが、頻出分野を大雑把に羅列する程度はやっておきましょう。
機関(株主総会・取締役会・競業取引規制・利益相反取引・任務懈怠責任)株式(株主平等原則・名義書き換え・譲渡制限株式の譲渡)
資金調達(募集株式発行・新株予約権)
組織再編(事業譲渡・公開買い付け・株式交換)
という感じでしょうか。太字の部分はできるようにしておきましょう。商法だけこんなに短くて申し訳ございません。
其の参 基本演習
インプット作業が終わったら、いよいよアウトプットに移りましょう。基本演習の段階に入ります。しかし予備校を使わない学生さんにとってはどのように演習を進めてよいかわからない方もいらっしゃると思います。まずどのような演習本などを使えばよいか、書いてゆきましょう。
①演習本(知識確認から始めたい人用)
「民法演習サブノート210問」沖野眞巳 窪田充見 佐久間毅編著(弘文堂)
「刑法演習サブノート210問」井田良 大塚裕史 城下裕二 高橋直哉編著(弘文堂)
「憲法演習サブノート210問」宍戸常寿 曽我部真裕編著(弘文堂)
ご存じサブノートシリーズです。サブノートは簡易な問題が掲載され、それに対する解説が問題ごとに書かれている、というのが特徴です。とりあえず論証を本格的に書くよりも知識確認を先に終わらせたい!という方には向いております。北大の教授陣も専門科目を学びたての二年生に対し、自習用教材としてこれを指定する場合が多いですので、初学者にはピッタリな本であることは明白ですね。不真面目だった学生にはここから始めるのも、急がば回れという形でやむを得ないと思います。効率的な使い方は、インプットした知識の確実な定着を図るため、インプットと並行して解いてゆく、というものでしょう。
②演習本(ある程度素地がある人用)
「Law Practice」シリーズ(商事法務)
「事例演習刑事訴訟法」古江頼隆(有斐閣)
関西学院大学法科大学院 入試過去問
略してロープラと呼ばれる演習教材です。この演習本は先程紹介したサブノートシリーズと比較して難易度は一段階上がります。というのは、この教材の特徴は、分野ごとの知識はもちろんのこと、論点についても定着を図るための教材です。ですから解説も長く、人によっては煩わしいと感じるかもしれませんが、私の恩師の教授曰く、ロー入試レベルなら大体このロープラでカバーできるとのことで、私もそれに関しては同意できます。上位ローの中でも早慶レベルまでならば、このシリーズを解きまくって定着させることで何とでもなると思います。ですがこの本の難点は刑事訴訟法が唯一出版されていないことと、解説こそあるものの、参考答案が無い点です。ですのでどのような答案を書くのが良いか指針がないということになります。ですので、この本の効果的な使い方は、頻出論点から順番に問題を解いてゆき、問題ごとに解説を読んで足りない部分をピックアップする、そして何問か解いたら一度、先程も述べた優秀な友人や、教授に答案を添削してもらい、自分では見つけられなかった間違いや抜けを教科書や基本書を読んで埋めてゆく、これを繰り返してゆく、ということになります。非常に地道ですが、何度も言うように勉強はある程度効率化はできても近道なんてありませんので頑張っていきましょう。
次に事例演習刑事訴訟法です。ロープラで唯一刑事訴訟法だけが出版されていないため、(早く作らせろよ商事法務)これをカバーするための本という立ち位置になります。長めの事例が用意され、論点解説がついてくる、という構成になっております。この本の特徴は解説が会話形式、即ち教授と学生が対話をするような形になっている点にあります。刺さる人には刺さる良書であると私は感じております。(私には合いませんでしたので使っておりません、ですがこれは個人差に過ぎません。)
最後にロースクールの過去問のうち、関学の問題を紹介したいと思います。
上にリンクを貼っておきますので是非のぞいてみて頂けると良いと思います。いきなり過去問演習!?と思われるかもしれませんが、関学のロー入試の問題は、はっきりいいます、かなり簡単です!知識問題と論述問題の二部構成のようになっている科目もあり、知識を試すのにも良いツールとなることでしょう。加えて論述も事例は他校と比べて短く、仰々しい答案を書く必要もありません。さらに関学の良心的な部分としては過去問の解説動画がついていることです。大抵のローは過去問の出題の趣旨、という形でざっくりとした答案構成の指針を述べるだけに留まるため、どのような答案を書いたら良いのか掴みづらいことも多いです。ですが、解説動画があればより詳細な部分まで理解することができるでしょう。
以上が基本演習段階における教材の紹介となりました。基本演習にせよこの後記載する過去問演習にせよ、大事なのは自分で答案構成だけではなく、実際に答案を書くこと、そして答案を書いたら大学の優秀な友人や教授にお願いして添削をしてもらい、足りないと指摘された部分や、論述の書き方に問題がある場合には素直にそれを受け止め、謙虚な姿勢でこれを直してゆくことです。直したらまた持っていき、OKと言われたら次のステップに進む、これの繰り返しです。どの学問分野にも言えることではありますが、基礎があってこそ応用ができます。基礎を疎かにするものは司法試験はおろか、ロー入試も合格することはできないでしょう。
其の肆 過去問演習
過去問演習についてはあまりアドバイス、ということはできないと思います。やることは基本演習と同じなので、基本的に上記の勉強法を繰り返していけば大丈夫だと思います。(私も週に1・2回ほど何枚も過去問の答案を持って教授の部屋に行き、納得するまで答案に対するコメントを頂戴しておりました。)
ただ、過去問は何年分解けばよいかという事についてはお答えしておきたいと思います。中堅ローならば大体5年分も解けば大丈夫です。ある程度どの分野が頻出か、逆に最近出ていなく、そろそろ出そうな分野はなにか、という予測は立てられることでしょう。
では上位ローはどうなんだ?と思われるかもしれません。この場合は一応目安として10年分と言っておきましょう。根拠としては、上位ローは中堅ローに比べて様々な分野・論点から出題してくることから、傾向が掴みづらい事、そして上位ロー入試問題の難しさにある程度慣れておき、本番で動揺することをできるかぎり軽減するためです。(ただし民法については、2017年に大改正されているため、2017年度以前の問題は解かないようにしてください。他の科目についても改正こそあるものの、入試に影響するような大改正はありません。)
とここまで述べはしたものの、実はロー入試において学校の傾向を掴むというのは実はそんなに意味のあるものではありません。なぜなら結局正確な知識と論点への理解があれば、どの学校でどんな問題が出題されようとも知識と理解でぶん殴れるからです。逆に解けないという事は単なる基本の勉強不足に過ぎません。私は過去問を志望校以外のものまで含めて解きまくっていましたが、それは学校の傾向を掴むためではなく、学者が作る問題なのですからそりゃ問題の構成はしっかりしており、答えて欲しい論点や知識があるはずなので、足りない部分を再確認することを目的としておりました。本番で解けなかった部分は、単なる勉強不足が原因であると教授から指摘を受け、私自身反省しております。
試験についての体験談・アドバイス
其の壱 ステートメントについて
ステートメントは志望理由書です。(以下ステメンと略します)ローの出願の際は必ず書かなければならないものとなるでしょう。就活じゃないんだから、とたかをくくる人もいらっしゃるかもしれませんが、最低限書くべきことは書かないと書類点で微妙に差をつけられることとなるので、確保できる点数は確保しておきましょう。大体の質問は将来の法曹像、法曹を志望したきっかけ、なぜ弊大学院を志望したのか、自分が優れた法曹になる資質は何か、というありきたりな物です。ですので、これらの質問に対応する記述を書きましょう。一つの大学院のステメンをしっかりと書けば、他の大学院に対してステメンを使い回してもバレません。(まあ、少しくらいは変えましょう。)書き終わったら他人にチェックしてもらいましょう。就活を経験した同期などがおススメです。彼らは就活でES書きまくってますからね。
ただし、一橋についてですが、一橋は毎年独自の聞き方でステメンを課してきます。ある年度には大学院教育において自分が他の学生に貢献できることは何かという聞き方をされたのに、別年度には終始自己アピールを書いてくれ、という聞き方をされたりとコロコロ変わります。ですので、一橋を受験する場合には使い回しをせず、しっかりと質問の意図を理解して、一からステメンを構築した方が良いでしょう。
其の弐 一般選抜と特別選抜について
皆さんは法科大学院によって特別選抜と一般選抜で分けられることがあるのはご存じでしょうか?ここでは特別選抜を受験する資格及び特別選抜のメリットを説明したいと思います。
①特別選抜の受験資格
受験資格についてです。受験資格は法学部に所属し、かつその法学部が設置している法曹コースに所属しておくことです。法曹コースについては学校ごとにバラバラだとは思いますが、大体一年生か二年生のうちに登録するかどうかの通知が来ると思います。
②特別選抜のメリット
特別選抜のメリットとしてはなんといっても開放型選抜に出願することによって、上三法のみだとか上三法+訴訟法一つとかの少ない科目数で筆記試験が受験できることでしょうね。私も早稲田の開放型選抜(筆記は上三法のみ)と一般既習(下三法も含む)を併願しました。
其の参 学習院編
私が最初に受けたのは8月最後に試験がある学習院でした。教授からは学習院程度なら落ちないでしょう、と太鼓判を押されていました。いざ勇んで初の院試のために東京入りしたのですが、学習院には面接試験がありました。
面接試験についても教授に聞いたのですが、先生は「ヤバいやつじゃなきゃ大丈夫だよwww堅実でかつ素直な学生演じておいたら対策なんてものはしなくていいもんだよ。」というノリでして。
いざスーツを着て面接の部屋に行くと、面接官の教授は2名おりました。ここで豆知識ですが、ロー入試に面接がある場合、面接官は主査と副査の二名で構成されます。服装はスーツで行きましょう。スーツを着ないと法曹なる以前に常識無いやつ(即ちヤバいやつ)という印象を持たれてしまいます。
いざ試験開始したのですが、主査が最初から圧迫全開でした。私が北大出身であることや、行政法の成績が悪い事、色んなローを受けることなどを非常に強い口調で詰められ、とりあえずおどおどせず返答はしたのですが、かなり詰められたので副査が主査をやんわり止める場面までありましたね。
面接はおどおどしないことが大事です。そして私が学習院で受けたような圧迫面接は稀ですので、しっかり問われたことにはきはきと答えましょう。(なんなら圧迫面接なのに逆に高評価だったということもあるとか。)
結果は不合格でした。倍率は5/28ということで、5.6倍でした。とはいえさすがにこの時はショックを隠せませんでしたね。
ここでもう一つアドバイスです。上位ローを目指す場合は、夏休み前に一つ中堅ローを受けて自らの立ち位置を再確認しましょう。たとえ不合格だとしても諦めてはいけません。夏休みの一ヶ月、他の就活終わった文系や、院試の終わった理系の四年生が遊びまわっている間、図書館に籠るなどして必死に勉強しましょう。一ヶ月勉強漬けにするだけでも実力は目に見えて変わります!心が折れたらそこで試合終了です。私は学習院の不合格を受け、夏休みの間死に物狂いに勉強した結果、夏休み直後に教授に見せに行った答案は、夏休み前と比較して実力がかなり上がったと評価されました。あの時はとても嬉しかったし、励みになりましたね。
其の肆 早稲田〜明治編
では、上位ローを受けた時期について経験談を話してゆきたいと思います。夏休み明け、教授からは実力が上がったと評価されたとはいえ、学習院に不合格を食らった私は不安しかありませんでした。北大の後期授業が始まった初めの週の週末がすぐに早稲田入試だったからです。後期の残っている単位の授業が始まったなあとか思ってたらすぐに東京に飛ばなければならないと言う結構ハードなスケジュールでした。
①早稲田について
早稲田の筆記試験は二日間に及ぶ長丁場です。早稲田を受験されたいと考えている学生さんは体調管理は気を付けてください。一日やってはい終わり、というものではないので。
軽く早稲田の筆記の特徴について触れておきましょう。(ここでは再現答案などは書きません。気が向いたら別の記事で書きます。)
1民法です。120分の試験時間がある早稲田の看板科目です。大問は二問構成であり、満遍ない分野から出題されます。加えて前述した通り、早稲田は家族法を論述で書かせる唯一のローです。ここの受験のためには家族法の対策も必須となりますので、論点の確認はしておいた方が良いでしょう。
2刑法です。刑法の試験時間は90分です。刑法はここ数年傾向が変わり、総論と各論をまとめて一つの大問で聞いております。その結果として問題の総合的な難易度は上がったと言えるでしょう。総論はいうまでもないですが、各論についても頻出論点の財産犯や生命・身体に関する罪ばかりやるのではなく、放火や文書偽造など少し頻度の落ちる論点についても網羅すべきでしょう。
3憲法です。試験時間は60分となっております。早稲田の憲法はそこまで捻った問題は出されないでしょう。王道の判例は判旨の範囲で良いので理解しておくという基本に忠実な勉強をしていれば、まずまずの得点は確保できるはずです。表現の自由が一番頻出であることには変わりはありませんが、財産権や損失補償などについても出題されたこともあるため、満遍なくやっておいてください。
4民事訴訟法です。王道の問題が出題されます。既判力、弁論主義など頻出論点を重点的にやることをおススメ致します。もちろんそこだけヤマを張るなんてことはしないことです。(たしかにあまり多数当事者訴訟などは過去出題されたことはないんですけど・・・)
5刑事訴訟法です。あまり捻った問題は出題されません。伝聞法則や逮捕捜索など頻出論点の判例などはしっかり理解しておくことが重要です。(補強法則や訴因変更などはあまり出題されたことは無いですが、基本事項はしっかりやっておきましょう。)
6商法です。基本的に会社法から出題されます。私の受験年で三回目の商法実施だったため、傾向らしい傾向はまだ掴めておりません。しかし、個人的な印象としては満遍なく出ると想定した方が良いです。(組織再編であまり出てこない株式交換に言及させた問題もあったため。)
早稲田ローの筆記の総合的な評価としては、一部科目は重いものの、基本的な論点理解の積み上げがあれば解ける、といった印象が強いですね。基本演習の積み上げが合格のカギです。
②明治について
明治大学については特筆すべきことは多くないです。私も試験が終わった瞬間に合格を確信したレベルです。筆記試験については総括という形で書いていきます。
全体的な印象としては重い科目はなく、どの科目も基本を抑えていれば合格点に到達できます、早稲田よりは明らかに難易度は低いです。科目によっては論証丸暗記で済み、一瞬で書き終わる問題もあるレベルです。その代わり45分1科目だったりとスピードは求められます。
民事訴訟法だけに関しては一言だけ。たまに要件事実論じみた問題が出ます。ですが、ガチの問題が出てくるわけではなく、今まで学んだ知識を使えば十分解ける問題で、論点理解を求めるものでもないため、そう身構えることなく落ち着いて解きましょう。
其の伍 一橋編
さて、最後の章として一橋について解説してゆきたいと思います!一橋の筆記を受けるころには第二志望の早稲田の合格結果を受けており、かなり気が楽でした。第一志望とはいえ、背水の陣となって受けるのと、気楽に受けるのとではコンディションが違うのかな、とは思います。しかし個人的には解説に一番熱が入るのかな、と。早速一次選抜から言及していきましょう。
①一次選抜
一次選抜はTOEIC又はTOEFL ibtのスコアによって選抜されます。簡単に言うと足切り、ですね。出願時までに公式スコアを取得せねばならないので、8月度試験までに高得点を取っておきましょう。足切りラインが気になるかと思われますが、他のどの大学院と比べてもトップクラスに高いものとなっております。私の受験した2024年度の足切りラインは755点です。今後もう少し上がってもおかしくは無いと思います。ですので今後一橋を受けようという人は800点を目指すべきですね。ちなみに私はTOEIC770点でなんとか足切りを切り抜けることができました。
勉強法としては市販の単語帳(出る単特急金のフレーズなど)を覚えること、リスニングはとにかく聞き、聞き取れないところほど繰り返すこと、リーディングについては文法の多肢選択式はパターン化されているため、パターンを理解して得点源とすること、などが挙げられるでしょうか。あまり参考にならないので自分なりに模索して欲しいです。
②二次選抜
二次選抜がメインの法律科目の筆記試験となっております。科目は憲法、民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法です。商法と行政法はありません。これだけを見ると簡単だと思われる方もいらっしゃるでしょうが、これから現実をお伝えしたいと思います。
一橋の筆記の特徴は、民事法、刑事法、憲法の三時限で構成され、民事法で民法と民事訴訟法を、刑事法で刑法と刑事訴訟法を一気に聞くと言う形になっております。では科目ごとに解説を加えましょう。
1憲法です。試験時間は90分です。一橋の憲法の特徴は、一応ベースとなる裁判例(判例とは限らないことに注意!)はありますが、大体の学生が知らない裁判例を用いることがしばしばあります。またこれにアレンジを加えて問題を作成するため、問題文だけを読むと、一応書いて欲しい権利及び自由はこれだろう、という大枠だけはわかるものの、問題が求める主張反論に何を書けばいいのか掴めないなんてことはザラです。一橋は憲法において裁判例の知識は問わないということを出題の趣旨に書いていることが多く、現場思考能力を問うているのだな、ということになりますね。問題形式は、2つある小問にそれぞれ違憲論、合憲論と私見を書かせるというものです。
傾向としては、一橋は6年連続で表現の自由がメイン論点となる問題を出題しています。しかし、表現の自由のみの論点しか書かない答案は不合格答案です。出題の趣旨によれば、表現の自由に加え、他のマイナー権利の知識を絡めた答案を書いてようやく合格答案となるようです。具体例としては、2021年度入試には表現の自由のほかにプライバシー権や思想信条の自由、ひいては請願権(‼)まで言及を求める問題が、2023年度は教育の自由について言及を求める問題が、2024年度にはパターナリズムに言及を求める問題が出されました。一橋の憲法は、他のロースクールとは一線を画す難易度で、憲法についての広い理解がないと解けるようにならないと思います。一橋の憲法に対抗するためにはマイナーな権利であっても教科書を読み、一定の知識をつけること、問題文が長いだけに一応解答のヒントはそこかしこに隠れているため、どの文言から何の知識を導くことができるか、という対応力を身に着けるため、問題演習を多くこなすことが求められるでしょう。
2民法です。民事法の大問3つのうち二問を構成しています。試験時間は実質的に90分を想定しましょう。一橋の民法の特徴は、総則から不法行為まで満遍なく出題すること、知識理解の深さや、現場対応力を求められることから、場合分けの問題が出されることが多いことにあります。問題文には「必要に応じて適宜場合分けしなさい。」と書かれています。場合分けがどういうことかわかりにくいと思いますので、一つ過去問を簡略化した具体例を挙げたいと思います。
例 AはBに対し売買契約にかかる代金債権(α債権・弁済期到来済み)を有しているが、Aはα債権を自己の債務の弁済に充てるために、Aの債権者Cに譲渡した。Aは債権譲渡をした旨の確定日付が付された通知を行い、通知は2023年12月22日にBの下へ到達した。その後Cがα債権を取り立てようとしたところ、BはAに対して有する貸金債権(β債権・弁済期到来済み)を自働債権とする相殺を主張して弁済を拒んだ。Bの主張は認められるか。現在は2023年12月31日である。(αβ債権は対等額だと仮定してください)
場合分けの余地を作るためにあえてこんな具体例を作ってみました。(間違っていたらごめんなさい。)この例ではβ債権がいつ取得されたのか、またどのような原因で取得されたのかが明記されておりませんね。民法468条1項や同469条2項1号などの話を使わなければならない、ということで場合分けが必要となります。場合分けが必要となる分、難しい論点理解を求められることはありません。問題文がどんな場合分けを想定しているか、これを見抜くことができれば基本に忠実に解くことが重要となるということになります。旧司法試験がこれと類似しており、場合分けを求めることも多かったみたいですね。
3刑法です。刑事法の大問3つのうち二問を構成しています。試験時間は実質的に90分を想定しましょう。一橋刑法の特徴は一問目が総論、二問目が各論の問題であることですね。総論も各論も満遍なく出題されると考えてよいと思います。総論については頻出論点も出ますが、ここもでるの!?というびっくりするような部分についても知識レベルで聞くことはありますね。(例えば片面的共同正犯や中止犯だとか不能犯だとか・・・)というわけで勉強してませんでしたという言い訳は絶対に通用しないと考えてください。加えて罪数論は他のローと異なりほぼ聞かれると考えてください。教科書の知識は身につけておきましょう。
各論も同様です。かなりマイナーな部分から出されることも多いので、頻出論点ばかりやっていると爆死します。(私文書偽造、犯人蔵匿、盗品保管など手薄になりがちな箇所を平気で聞いてきます。)かくいう私も盗品保管罪が出題されたせいで爆死した一人です。(本当になぜ筆記受かった!?)
4民事訴訟法です。試験時間は実質45分です。民事法の大問の一つを構成しております。特徴としては民法に比べて事例が長く、その分書くべき論点も多いということが挙げられます。加えてしばしば民法と同様場合分けが要求されることもあり、論点理解と現場対応力両方が求められるかなり厄介な問題となる年もあるでしょう。私の受験した2024年度入試もこのような問題で京大ローの過去問で類似論点の問題をやらず、のほほんとしていればおそらく解けない、という状況になっておりましたので運がよかったな、というのが感想です。出題範囲は全てですので、ほとんど出題されることはないとはいえ、控訴(控訴の利益や附帯控訴など)の論点も理解しておくことは必須となります。他のローみたいに出題範囲が限られることはないので、しっかり基本の条文の趣旨や主要学説から理解しましょう。
5刑事訴訟法です。試験時間は実質45分です。刑事法の大問の一つを構成しております。正直に言います、一橋の難しい入試問題の中でも最大の鬼門といっても過言ではない激ムズ問題です。大袈裟でもなんでもなく、東大や京大の過去問と比較しても両校の問題がかわいく思えるくらいでしょう。特徴としては、小問が複数あり、基本概念の確実な理解を問う問題や、条文の趣旨における本質的な知識や理解を求める問題、そして複数の判例を読ませて比較をさせたり、判決がこのような枠組みを取った理由について問うてきたり、極めつけは検察官の推論過程や弁護士側の反論を書かせる司法予備試験の刑事実務のような問題を出したりともはや通常のロー入試対策ではどうにもならないような年度も複数あります。
私も受験当時の問題はまだマシで、完全お手上げ状態ではなかったとはいえ、お世辞にも良い点数を刑事訴訟法で得たわけではないでしょう。(普通に高得点なんて無理!!)ですが、一定程度得点を少しでも積み上げるためのアドバイスは記しておきたいと思います。一橋の最近の問題傾向としては小問を3つ用意することが挙げられます。小問1や小問2は法律概念の定義理解や、条文の趣旨の本質的理解を問うもので、基本を疎かにしていないかという意図が感じられます。教科書をしっかりと読み込み、暗記や論点の理解を行っていれば決して解けないものではないですね。逆に言うと、テキストからすべて予備校頼みだと間違った理解をしていたりすることもあるので逆に得点を大きく下げられると思います。この二問はなんとか書くべきことを書き、他の受験者と差をつけられないようにしましょう。小問3については最悪できなくてもほとんどの受験生も同様なので大きく差をつけられることはないのではないかな・・・と個人的には感じますが(自分も小問3はお気持ち表明しか書いていないゴミのような答案を錬成したので)白紙で出すのはよしましょう。何も書けないという事はないはずなので、書けそうな論点は書き、一定の問題提起、規範定立、理由付け、結論という形式は保っておきましょう。これぐらいしか書けることが無いです、申し訳ない。
以上が一橋についての体験談やアドバイスとなります!いかがだったでしょうか。おサボり学部生の参考になれば幸いです。
さいごに
以上が三年生の頃、単位すら平気で落として全く勉強していなかった私が上位ローの筆記試験を次々突破できた勉強法、体験談になります!もしサボっている法曹志望の学部生がいらっしゃいましたら、まだロー入試なら間に合います‼️上位校であっても合格の可能性は十分残っています!この記事が出るのが2023年の12月下旬ですから、すぐに行動を開始してください!そこからのあなたの行動で夏から秋にかけてのロースクールの合否が変わってくることでしょう!逆に言うとここで行動ができなければ確実に不合格の結果を突きつけられる事になりますのでお気をつけて…!
では来年度2025年度以降のロー入試を受けようと思っているサボり大学生の皆さん!心を入れ替えて勉強してください、筆者は切実に応援しております。