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1991年6月6日 (木)
【子飼:立石 啓二・嶋本 麗華・菊川 小絵・多田隈 五月・富田 剛】
「あ、富田君お疲れ様」
「とみたんおそーい」
菊川 小絵の言葉の後に多田隈 五月の声が響く。ここは居酒屋『子飼』。本日立石 啓二と嶋本 麗華、菊川 小絵、多田隈 五月の4人は大学の講義を受けた後で『VIP』に集合し、ボウリングを楽しんだ。そしてその後どうするかを話し合った結果、『子飼』で飲むことにしたのである。富田 剛は何か別の用事があったらしく、ボウリングには参加しなかったが、飲み会には参加することにしていた。飲み会開催は19時ぐらいになると連絡を受けていたが、富田が参上したのは19時45分である。
「富田。遅かったな」
「まあ、そういうこともあらーな」
そういって富田は多田隈の隣に座り、ビールをついでもらう。富田は全員のコップにビールが入っているのを確認し、言葉を発する。
「少し遅れてすいません。その分飲むので許してください。カンパーイ」
そういって全員とグラスをぶつけ合い、一気にコップのビールを開けた。
「たくさん飲むのはいつものことだけどねー」
そう言いながら笑顔で多田隈が富田のコップにビールを注ぎ、多田隈のコップも空いていたので、富田の返盃を受ける。
「そう言えば昨日久しぶりにお兄ちゃんから電話がありました」
「ほうほう、菊川さん元気にしてた?」
菊川の言葉に富田と多田隈は興味深い表情を浮かべたが、立石と嶋田は菊川の兄のことは良く知らない。
「とにかく仕事忙しいらしくて、朝から夜まで休みなく働き続けてるみたいです。少し参ってました」
「そうなんだ。菊川さんが参るってのはよっぽどやな。日本企業やばす」
兄の状況を話した言葉に富田が感想を述べる。
「で、私が冒険者になったことを言ってなかったので報告したら、大きなため息をついた後少し文句を言われました。その後、何かを思いついたようにすごく大きな声で何か気をつけることを何度も何度も言われました。必死すぎて話が終わらなそうだったので、富田君とめいちゃんが付き合い始めた事を伝えたら何か落ち着きました。めいちゃんに大変だろうけど頑張れって伝えといてくれって言われました」
何か途中の意味が良くわからない話だったが、菊川の兄がとりあえず無事に頑張っていることがわかって安心した富田と多田隈であった。